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ココがダメだよ派遣業界 #1319

みなさん、元気ですかー?
高付加価値アウトソーシング研究会の12月回のパネルディスカッションで登壇させていただきました!


「そこまで言って委員会」というテーマで好き放題言うというただ、僕が楽しいだけの回だったのですが、ここから、その時に出た8つのテーマを少し掘り下げてnoteにまとめていこうと思います。

まず1つ目のテーマは「ココがダメだよ派遣業界」でした。派遣業界に20年近く身を置いている僕が感じるのは、この業界には構造的な課題がいまだに存在しているということです。その中でも特に強く感じるのが「短期利益至上主義とKPI管理が従業員や派遣スタッフをすり減らしている」という問題です。

短期利益至上主義が派遣業界を苦しめる

派遣業界の多くの企業は、短期的な利益を追うマネジメントに陥りがちです。その背景には、常に数字で成果を問われる業界特有の構造があります。稼働しているスタッフさんの数だけ売上と利益が上がるという非常にシンプルな構造が故のプレッシャーがあります。そういった背景から、KPIの達成が評価の基準となり、目の前の「稼働数」や「売上」を最優先にした動きが優先されがちです。

このような状況下では、派遣スタッフは単なる「労働力」として扱われることが多く、キャリア形成や満足度に配慮される余地が少なくなります。たとえば、派遣スタッフのスキルアップや希望を聞くよりも、「いま、この案件に埋め込めるかどうか」が最優先されることがしばしばあります。こうした短期的な視点がもたらすのは、スタッフのモチベーション低下や派遣への不信。早期離職の増加、さらにはクライアント企業との信頼関係の崩壊です。長期的な視野での信頼構築が軽視されている結果、業界全体が信頼を失い、労働力の流出を招いているのではないでしょうか。

SaaSモデルの分業に反対する理由

さらには最近、派遣業界にもSaaSビジネスモデルに基づいた分業制が取り入れられることが増えてきました。営業と求職者対応を分けたり、案件獲得とマッチング業務を別部門にしたりといった動きです。

確かに分業によって業務効率は上がるかもしれません。しかし、僕はこのモデルが人材サービスの本質的な価値を損ねていると感じています。

人材サービスの良さとは、クライアント企業と派遣スタッフの間に立ち、それぞれのニーズや想いをつなげることで、新しい価値を生むことです。もっと言えば、派遣サービスそのものに価値があり、その過程で得られる「人と人とのつながり」こそが、業界の本質的なバリューだと思います。

分業制では、このつながりが極端に希薄になります。スタッフの希望を直接ヒアリングせずにマッチング業務をする、クライアント企業のニーズを深掘りせずに案件を紹介するなど、浅いコミュニケーションが増えることで、結果的に両者の満足度が低下してしまいます。

業界全体で長期的な信頼構築を

派遣業界が持続的に発展するためには、短期的な利益追求ではなく、長期的な視点で信頼を構築する取り組みが必要だと僕は考えています。そのためには、以下のような考え方が求められるのではないでしょうか。

  1. 派遣スタッフのキャリア形成を支援する
    単なる「稼働数」ではなく、スタッフのスキルアップやキャリアパスを重視し、長く働き続けられる環境を提供する。

  2. クライアント企業との深い信頼関係を構築する
    短期的な案件受注だけでなく、企業の人材戦略に寄り添い、長期的なパートナーシップを築く。

  3. 従業員の働きやすさを見直す
    営業担当者が短期的なKPIに縛られず、じっくりと顧客やスタッフと向き合える環境を作る。もしくは、利益以外の目的を持ったKPIを設定する。

派遣スタッフを中心として、クライアント企業も、営業担当者も、全員が満足できる仕組みを目指すことが、業界全体の活性化につながると信じています。

最後に

派遣業界は、人を支える仕事だからこそ、人をすり減らしてはいけない業界です。短期的な利益や数字だけを追うのではなく、長期的な視野で「人を大切にする」姿勢を持つことが必要です。

パネルディスカッションで話した内容を振り返りながら、僕自身も改めて「業界をどう変えていくべきか」を考えるきっかけになりました。一緒により良い、少しでも良いサービスを創っていきましょう!
では、また!


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櫻井 諒|あえて今の仕事を選んでいる人を増やす
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