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我が子を素敵な大人に育てる方法_section5(全25)19〜21
こんにちは。
アメリカで「ベーコンの匂い付きマスク」が発売されたと知って「さすがアメリカ。ユニークだぜ」と思った、トッププロ家庭教師の酒匂です。
「我が子を素敵な大人に育てる方法」を紹介します。
※「子育てベスト100」をもとに書いています
今回はsection5 その19〜21です。
※過去記事一覧はこちら
section5 学力をつけるには?
〜効果的なフィードバックで「やる気」を引き出す〜
section5 その19 「ごほうび」をあげる
〜モチベーションを上げる報酬〜
ごほうびに関しては、いまも見解が分かれています。ロチェスター大学の心理学者、エドワ ード・デシ教授は、大学生の2つのグループに実験を行ないました。この実験では、ひとつのグループにはパズルが解けるたびに報酬を約束し、もうひとつのグループにはなにも約束しませんでした。
どちらのグループも、もともとはパズルを楽しんでいたのですが、この条件を聞いてからは、報酬を約束されたグループは、報酬がないときにはパズルにあまり触れなくなってしまいました。「ごほうび」を与えることで、脳がパズルをりごほうびがもらえる労役 」と認識して、モチベーションが下がってしまったのです。
また 、ハーバード大学の経済学者、ローランド・フライヤー教授は、「テストでいい点を取ればごほうびをあげる」という場合と、「本を1冊読むたびにごほうびをあげる」といった場合、どちらが子どもの学力が上がるか、大規模な実験を行いました。
その結果、成績がよくなったのは、本を読んだらごほうびをもらえると言われた子どもたちでした。ほめるときと同様、ごほうびは、パズルが解けるとかテストでいい点を取るといった「結果」ではなく、本を読むなどの「努力」に対して与えれば効果がある、といえそうです。
うまく「ごほうび」をあげるにはどうすればいい?
■結果ではなく努力にあげる
たとえば「音読が3回終わったら」「縄跳びの練習を15分がんばったら」といった努力に対してごほうびをあげます。
逆に、「100点取ったら」「塾のクラスがアップしたら」「ピアノを間違えずに弾けたら」といった結果はごほうびの対象にはしません。
■あげる理由を明確にする
結果へのごほうびだと、その結果が出ないかぎりなかなかもらえません。でも、努力へのごほうびは、やるべきことをちゃんとやれば確実にもらえます。先々の結果ではなく、いまこの努力をしたらごほうびをあげると明確にすることで、道筋がわかりやすくなり、やる気がアップしてがんばれます。
■トロフィーや賞状をあげる
シカゴ大学の社会経済学者、スティーヴン・D・レヴィット教授らが行なった実験からは、子どもが小さいうちは、ごほうびはお金よりも、メダルやトロフィーのようなもののほうがやる気を刺激することがわかりました。
メダルやトロフィーは100円ショップでも手に入りますし、インターネット上には賞状を無料で作成できるテンプレートもあります 。ネットや文具店で売っている「ごほうびシール」にもさまざまな種類があり、子どもは喜びます。
画像:—『子育てベスト100――「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』加藤 紀子著
■「お金」をあげるときは注意
ハーバード大学のフライヤー教授の調査では、ごほうびにお金をもらった子どもたちは、お金を無駄遣いせず、きちんと貯蓄をするなど、堅実なお金の使い方をしていました。
教育経済学者の中室牧子教授は、この結果は、ごほうびと一緒に貯蓄用の銀行口座をつくったり、家計簿をつけさせるなどの「金融教育」が同時に行なわれていたことが一因ではないかと見ています。
お金に関する正しい知識を与えれば、ごほうびにお金をあげることも悪くはなさそうです。
section5 その20 「やる気」をつくる
〜「自分からやる」意欲をつくる〜
どうやったら自分からすすんで勉強するようになるのか。やる気にさせるにはどうすればいいのでしょうか。心理学では、人をやる気にさせることを「動機付け」といいます。
動機付けはアメとムチ(ごほうびと罰)のように自分以外から影響を受ける「外発的」なものと、自分自身の中にある関心や興味、意欲による「内発的」なものに分けられます。
外発的な動機付けは親がコントロールしやすく、すぐに効果が出ますが、長くは続きません。
たとえば子どもが「悪い成績をとると怒られる」という理由で勉強すると、怒られるのを避けることが目的になってしまい、自発的に勉強しようとする意欲が低くなってしまうからです。
効果が出るまでに時間はかかるものの、やる気を継続させるには、「内発的な動機付け」が必要といえます。
「やる気」をつくるにはどうすればいい?
■ 「成功体験 」を与える
ロチェスター大学のエドワード・デシ教授は、「自分はやればできるという有能感があるとやる気が高まり、自分は何をやってもできないのだと思うほど、やる気が下がる」と指摘しています。
ベネッセ教育総合研究所「小中学生の学びに関する実態調査報告書」(2014)の調査でも、自分はできるという気持ちが強い子どもほど内発的動機付けで学習に取り組み、成績もよい傾向にあることがわかっています。
では、自分はできるという気持ちが弱いために子どもにやる気が出ない場合はどうすればよいでしょうか。
法政大学の発達心理学者、渡辺弥生教授は、「成功体験」を与えることが重要だといっています。そのためには、「子どもが成功することができるよう、がんばれば必ず到達できるような目標や狙いを具体的に設定してやり、到達すれば『やったね』と達成感を与え、また次に成功できそうな目標を立ててやるといった、『スモ ールステップ 』を設定するやり方が効果がある」といいます。
達成感を得やすくすると、段階的に自信がつき、学習意欲につながります。
■自分で選ばせる
やることを自分の意思で自由に選択することができれば、内発的動機付けが高まります。
デシ教授による実験では、ひとつのグループには「どのパズルを解くか、そのパズルにどのくらいの時間をかけるか」を自分で選択させ、もうひとつのグループには、最初のグループが選んだのと同じパズルを渡し、同じ時間内に解くように伝えました。
すると、選択の機会を与えられた前者のグループは、後者のグループにくらべて意欲が高くなりました。何をいつ、どこで、どの順番でやるかなど、自分で自由に選択できることが、やる気をアップさせるのです。
■頼り、ほめ、励ます
また、デシ教授は、最初は外発的動機から始めたことでも、のちに内発的動機が大きくなってくることがあるといいます。
最初は好きで始めたわけではなくても、まわりの誰かに頼りにされたり、ほめられたり、失敗しても温かく見守られていたりという経験をすると、楽しい、もっと知りたいという興味や関心に変化していくというのです。
とりわけまだ意欲が低い段階だと「一緒にがんばれる存在」がモチベーションをアップさせます。
学習に対して消極的な子には、大人がそばで励ましながら勉強を見てあげたり、年下の弟や妹など、ほかの子に教えさせたりすることが意欲を引き出すきっかけになります。
■好きなことを主体的に学ぶ
オックスフォード大学の心理学者であり 、教育学者だったジェローム・ブルーナー教授は、好きなことを学ぶときに感じる楽しさや好奇心は、内発的動機付けの重要な源だといっています。
好奇心を生かすには、子どもの好きなことを深掘りさせて、「知りたい」という気持ちを刺激し、親子で一緒に楽しむことです。主体的に取り組む姿勢が、学ぶ意欲を引き出します。
画像:—『子育てベスト100――「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』加藤 紀子著
section5 その21 「サポート」する
〜過干渉にならない支え方〜
ハーバード大学子ども発達センターでは、子どもにとって、周囲の大人の適切なサポートは、記憶力や集中力、自制心などをつかさどる脳の機能の発達にとても重要だとしています。
ただし最近では、必要なまでに親が手を貸してしまう「過干渉」が問題になっています。
過干渉な子育てでは、子どもが困ったり失敗したりしないよう、親が先回りして障害物をすべて取り除こうとします。親が子どものまわりをいつもブンブンと巡回しているので「ヘリコプターペアレント」、あるいは「カーリング育児」などとも表現されます。
アメリカでは、ヘリコプターペアレントに育てられた大学生に、高いレベルでうつ病の発症が見られるという調査結果もあります。
京都大学の心理学者、河合隼雄名誉教授は「昔の親はお金がなく、子どもに最低限の衣食住ですら十分なことができなかったため、何をしてやろうかと考えた。けれどいまの親の愛情は『何をしないか』を考えなければならない」という言葉を残しています(『私が語り伝えたかったこと』河出文庫)。
少子化が進むなかにあって、そのさじ加減は難しいところです。
うまく「サポート」するにはどうすればいい?
■3分類で片づける
脳は散らかった机を前にしているだけでも、注意が奪われ、余計に疲れてしまいます。子どもが片づけが苦手なようなら、親が一緒に手伝ってあげます。近藤麻理恵氏に師事した片づけコンサルタントの安藤貢氏は、モノを分類するときは「3分類」までにしておくと、子どもでも簡単に仕分けられるといいます。どのように分類するかは親子で相談して決めます。長く使わないものは思い切って捨てるか、衣装ケースなどにまとめてしまいます。
画像:—『子育てベスト100――「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』加藤 紀子著
■ルーティンワークを決めておく
子どもは予定を立てるのが苦手です。やらなければいけない宿題や家庭学習については、毎日のルーティンワークとし、何をいつやるかを親子であらかじめ決めておきます。
■どうやるかは子どもに選ばせる
ただし、一から十までお膳立てをしてしまうと、子どもは自分で何をすべきか、何をやりたいかが決められなくなってしまいます。
何をやりたいか、どっちを先にやりたいかなど、意思決定は子どもにまかせます。子どもがすぐに決められなくても、自分で決めるまで待ちます。子どもの決定を尊重し、大人の都合を優先しないように気をつけます。
■邪魔をしない。手を貸さない
運動でも勉強でも、子どもが途中で手こずったり、気を抜いてぼーっとしていたとしても、見守るのが基本です。
もちろん、命に関わるようなケガをしそうだったり、誰かを傷つけてしまいそうなときは手を貸さなければいけませんが、大人の都合で子どもの邪魔をしたり、過剰に手を貸して、子どもの達成感まで奪ってしまうのは本末転倒です。
■勇気づける
子どもにとっては「ここは助けてほしい」と思う場面があるでしょう。とはいえ、親がすぐに手伝ってあげていては、子どもは安易に大人を頼るようになってしまいます。
心理学者のアドラーは、親のサポートとは、子ども自身が自分の課題を自分の力で解決しなくてはいけないと思えるよう、子どもに「どうしたらいいと思う?」と問いながら勇気づけていくことだといっています。
今回はここまでです
いかがでしたか?
「ごほうび」に関しては賛否両論で色々な意見を聞きますが、私の経験上「与え方」と「与える理由」を正しくすれば、ごほうびは効果的だと思います。上記の通り、結果に対してではなく努力に対してあげるようにしましょう。
またサポートの仕方は「見守ること」が大切です。すぐに干渉せずに見守る姿勢を心掛けましょう。
それでは素敵な一日をお過ごしください。
トッププロ家庭教師の酒匂でした。
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