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ユーザーになると机上の空論がいかに検討違いなのか思い知らされる

日々ユーザーの心理をどう動かすか、仮説を考える。ペルソナやカスタマージャーニーの設定など、細かく論理を立てて、ユーザー心理を追ってみる。

マーケターとしての日常であるように思う。しかしながら、そんな風にして立てたロジックがいかに机上の空論であるのか、思い知らされる時がある。

本気でwebサービスを使った時だ

これ響くと思ってたけど、実際全然見ないやん!みたいなことが多発する。細かい話は置いといて、僕がwebでディナーを探す際の心理状況を分析した過程をご覧いただきたい。

プロフィール
○23歳社会人1年目
○金に余裕はない
○あまり店にこだわりはない

1.Google順位よりブランド名

検索してみる。何となく、知らないサイトよりもrettyの方が信頼できそう。そんなイメージでタイトルや順位を確認せずrettyをクリック。

現場だとSEO対策とか、タイトルのPDCAを回したりするけど、ブランド認知だって大切やん!

ってツッコミが入る。もう少し考えると、そもそも○○10選みたいな記事がそこまで役に立たなかった過去の経験から、反射的にrettyを選択していたと気付く。

滞在時間とか、直帰とかでは見えない世界で、ユーザーはサイトに失望し、再訪しなくなる。それなのに現場ではCVRなどを目先のKPIに施策を回しがちだ。

その裏で数々のユーザーが失望しているのに


2.ぶっちゃけ、口コミは見ない

口コミが大切!体験談があるとリアリティーが増す!みたいなことをwebの製作者としては考えたりする。でも実際に口コミ一押しのrettyにおいて、口コミを見ていない。

rettyなんだから口コミを最適化して、人気な店だけ集めてるんでしょ?

という前提で、妄信して店を選ぶ。それほどまでに、人間は面倒くさ臭がりなのだろう。情報がたくさんあることは、それを見るためではなくて、情報がたくさんあってその中で最適化してくれたのだろう。というブランドイメージの形成のために役立っているという仮説が生まれた。


3.値段、写真、店名で選ぶ

そんな中、レコメンドされた数ある人気店の仲から、候補の店を探すフェイズに入る。「久しぶりにあう異性の友人とディナー、大衆居酒屋はまずいけど、高級店に行くほど金持ちじゃない」みたいなシチュエーションを想定していただきたい。

僕が店を選ぶパターンは

・値段が~3000か~4000円
・写真の料理が美味しそう
・店の名前がテンプレートじゃない

であった。特に値段に関しては大切で、値段と価値が比例するかは分からないにも関わらず、「安すぎると質が低いんじゃないか」という憶測が入り込むことだ。

安ければいいって訳でもないのだなと気付かされた。


4.シェアが前提の店選び

社会人になって店1つ決めるのに、10分くらい時間を使うなんて思いもしなかった。つくばで過ごした大学生時代は、つくばという限られた土地での評判良い店は先輩に連れていただいて分かっていたからだ。

ただ、東京に出ると話は違う。得体のしれない普段住んでいない土地で、大量にあるそれっぽい店の中から、良さげな店を選ぶ必要があった。ん、そもそもなぜ良さげな店を選ぶ必要があるのか問いかける。

友人をがっかりさせたくないからだ

僕は美味しくてユニークな料理店を求めているのではなかった。そこまで食にこだわりはない。それより、失敗したくないのだ。割高じゃね?とか、料理少なくね?とか、騒がしくて話集中できん!みたいな不の感情が生まれて、楽しいはずの時間が壊れるのが怖いのだ。

ありきたりな店名や写真より、おしゃれな店名や写真を求めるのも、シェアした際の「恥ずかしくなさ」を求めているのだと感じた。


5.必ず食べログを見る

店ここね!選ぶ際に送るのは大体食べログである。送られてくるのも食べログが多いように思う。これは食べログの評価なら安心という共通言語があるからだ。

rettyでも、ヒトサラでも、aumoでも、他のサイトで美味しそうな店を見つけても必ず友人とLINEでやり取りするのは食べログであるように思う。食べログという共通言語で僕たちはコミュニケーションを図るのだ。

集客してもNo1の信頼度がないと離脱される

これはwebサービスを作る上で大切だと思った。失敗するか不安な人たちは、食べログが美味しいって言ってたよ!という指標で安心を得たいのだ。どれだけ他のメディアで企画を用いて訴求をしていても、それが本当かのジャッジは食べログに移るようだ。

CVRをKPIに置いたら泥沼になりそう

仮にどれだけユーザーが満足して納得いく店を見つけても結局他サイトにいく構造になっているとしたら、満足度をCVR(応募率)で図るのは間違っている。


6.予約は主にホットペッパーから

食べログで店を見つけた後は、予約はホットペッパーに移行。N=1の理由としては

①リクルートID持っていて会員登録が不要
②1番ネット予約できるイメージがある
➂リクルートポイントが溜まっている

である。電話料金は節約したいし、予約特典もあった方がいい。会員登録をするのが面倒くさい、という理由で使い始めて以来、何となく使い続けいてる。本当に良いのかと言われれば、分からない。

人間は変化を嫌う生き物である

1度ホットペッパーで予約して、ポイントが溜まったら、今後もそれでいいのではと思うのだ。差別化とよく言われるが「食べログ retty ホットペッパー 違い」と検索するユーザーは恐らく少ない。差別化よりも独自性とブランド力が物をいうとはこのことなのかと思う。

<参考までにN=1の行動パターン>
軸を選択し、rettyなどで良さげな店を探す→食べログで評価確認→ホットペッパーで予約→なかったら食べログで予約→rettyは情報の登録が面倒くさい(イメージ)→ぐるなびはそもそも使わない(よく分からないから)

ちゃんと考察されたい方はこちらの記事がお勧めだと思います。


7.リアル店舗での体験が第一

以前、店選び失敗したなと思うことがあり、「あれ、このサイトの評価は参考にならない?」と感じた。それ以降は友人のおすすめに頼ったり、別サイトの評価を参考するようになり、そのサイトで探すことはしなくなる。

目に見えない満足度こそが大切

web担当者だと「どれだけ魅力的に魅せることができるか」を考えがちであるが、実情を伝えないと長期的にはユーザーが離れていく。まさにwebの世界で測れるPVやCVで測れない店舗での体験で顧客は次の利用を決めているのだ。

特に価格帯についてはあまり参考にならないと学んだので、ビール1杯の値段などを基準に相場を調べて店を選択するようになった。


8.評価は相対性がないと無意味

口コミを全部見るのは面倒くさい。でもいい店を選びたい。そう思った時に見るのが満足度である。しかし、この評価に関しては食べログが圧倒的地位を感じているように思う(僕の脳内では)

3.0と3.5という最強の基準

食べログの強い点はここに尽きると思う。評価システムに詳しくない人でも食べログでは「3.0だったら普通、3.5だったらいい店」という共通の認識があるように思う。ランキングがあるのも分かりやすい。

よくよく考えれば、そうなるように調整されているのだと思うが、ユーザーからしたらそんなことは関係ない。

これが72点、満足度★★とかだとよく分からない。他サイトで4.3と付いていてもそれがどれだけ良いのか分からない。評価システムはあくまで相対値で数値に意味づけが行われていることが1番大切なのだと思った。


まとめ

僕というN=1のデータから裏付けられた結論は、施策の評価は短期で行うものではなく、長期的なブランド認知で決まるということだ。

①検索結果画面からはブランドでページを選ぶ
②ブランド力があると友人との共通言語になる
➂ブランド力を高めるのは顧客体験

ということである。大切なのは評価システムを設計することではない。顧客体験の積み重ねで食べログの3.0と3.5は間違いない、とブランド認知を確立することである。

食べログの評価を信じるか、信じないかは自分次第だが、元筑波大生の僕は圧倒的ラーメンランキングへの共感を得て、信者になったのであった。(でも予約はホットペッパーという皮肉)



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