恋せずに生きていたかった
恋するという機能を自分のなかから取り除いてしまおうと思った
好きな人に少しそっけなくされて、眠れないまま朝を迎える
着ていく洋服を選ぶ前日の、ワクワクする夜
何度も何度もLINEのメッセージを眺めては
ベッドの上をゴロゴロ転がるような
誰かを好きになると
いつも見ていた風景さえもきらきらして見えたり
楽しいことがたくさんあるけれど
それとおなじくらい
切なくて自分が消えてしまいそうな夜もある
私は結婚をした
だからもう誰かに心を動かされずに生きなければならない
恋多き女だった、という自覚はある
だからうっかり誰かを好きになってしまうことは十分考えられた
貞操を守る、とかそういう意味合いはすこしだけで
どちらかといえば
もうそういうことで心を乱されたくないなあと思った
疲れちゃう
疲れるんだよ、誰かを好きになるっていうのは
大人になって
さらには結婚もして、それでも男に振り回されて右往左往する人生
それも良きかなとは思うけれど
恋愛市場から降りたかったのだ、きっと
でもだからとて、そういう恋する機能を取り除く手術があるわけではなく
自発的に、生理的に好きとか好感を抱く異性がいれば距離をとり
可能な限り「そういうこと」もしくは「そうなりそうなこと」を避けて過ごしてきた
でもね、それなのに落ちてしまったんだ
すとんと
あらかじめ決められていたかのように
だからこの気持ちが行き着くところは何処なのか
目を逸らさずに見届けようと思ったんだ
これは恋ではない、実験なのだ、と言い聞かせて
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物書きの端くれとして精進してまいります。
気が向いたらよろしくお願いいたします。