見出し画像

C向けスタートアップが計測すべき指標 Consumer Startup Metrics

C向けスタートアップが留意すべき指標についての動画。非常に勉強になったので、記録用として要約記事を書く。
※英語が得意ではないので、正確な意味を知りたい場合は動画を参照してほしい。


アクティブユーザーの成長率

前月比15%(年次ユーザ数増加が5倍)は「good」
10%(年次ユーザ数増加が3倍)は「ok」
5%かそれ以下の場合は、画期的成功の可能性は低い。

多くのC向けスタートアップではマネタイズが後回しになるので、ユーザー数の成長が重要になる。本当の成長を計測するためには、ユーザー数増加の単純な観測だけでは不十分で、オーガニックによる獲得なのか、お金をかけた獲得なのかを識別する必要がある。

オーガニック成長と有料成長の比率

80%がオーガニックで20%が有料獲得は「good」
50%-50%は「ok」
それ以下はかなり心配。

有料広告による流入に頼り切ると、競合他社も同様の戦略を取っているため広告の奪い合いとなり、費用が上がっていく。この競争の最終的な勝者は、企業からなるべく広告費を取るように最適化をしたGoogleとMetaだけである。対して、オーガニックユーザーの比率が高ければ、資金が枯渇した時も常に流入するため、スタートアップの支えとなる。

バイラリティとネットワーク効果

オーガニック獲得の中で重要な2つの概念を理解し、プロダクトで意識しなくてはならない。

バイラリティ(Virality)とは、ユーザーが別の新しいユーザーに紹介すること。具体的には、人々が自然に共有したくなるようなポイントはどこか?を考える。例えばDuolingoでは新しいレベルに到達した時。

スイカゲームでは、気持ちよくスイカが消えた時だろう

ネットワーク効果(Network Effect)とは、ネットワーク内のノードが増えるとプロダクトがより良くなるということ。
例えばFacebookでは、友達が多ければ多いほど、投稿をするとリアクションされたり、タグ付けされたりするなど、価値は高まる。
具体的には、どのように複数の人数で利用した時に価値がより向上するのかを考える。銀行アプリの例では、個人間の送金をより速くすることや、共有口座が作れるようにして、複数人のグループで使う際の利便性を上げたことが挙げられる。

PayPayもネットワーク効果を意識しているのは明らかだと思う。

有料紹介スキームについて

有料紹介スキーム(紹介すると割引クーポンが貰える的なやつ)はオーガニックではなく、お金をかけた獲得に含まれる。
有料紹介スキームは、「共食い」と「詐欺」に気をつけなければならない。共食いとは、元々無料で獲得できたはずのユーザーにお金を払ってしまっていること。詐欺はプロダクトによるが、ただ金銭的な利益を得たいがために過剰な紹介を招き、意味のあるユーザー獲得になっていないことを指す。この種の動機が働くことに対して必然的に注意しなくてはならない。

有料獲得は良いトラッキングが重要

有料かオーガニックか、有料の場合はどの媒体から流入してきているのかを知る必要がある。そして、それをデータベースに記録することが重要である。
送金アプリmonzoでは、長年、安い広告費でユーザー獲得が期待できる紹介ブログに費用を払っていた。しかし、そのチャネルから流入したユーザーは一時的な長期休暇で使った後にすぐに利用をやめてしまい、顧客生涯価値が非常に低いことが後に判明した。結果的にそのチャネルでの広告は閉じる事になった。
顧客獲得コストは、アクティブでマネタイズできた定着ユーザーを軸に計測されなければならない。無料のユーザー登録を「獲得」として計測すべきではない。

ユニットエコノミクス

もしユニットエコノミクスがマイナスの場合は、スケールをする前に修正する必要がある。

ユニットエコノミクス(Unit Economics)とは、顧客から得られる収益から、それに関連する変動コストを差し引いたもの。
銀行アプリmonzoでは変動費として、カード紛失時に新しいカードを発送する費用や、問い合わせ対応費用、不正送金、銀行支払い時の手数料などを費用として支払っていた。
全体としての利益増減ではなく、顧客単位で追跡することで、どのようにコストを削減できるかを検討したり、収益を生むチャネルに投資することができる。ユニットエコノミクスがマイナスのままスケールをすると不経済性を拡大させることになるため、危険な状態である。

リテンション

Facebookでは1日にどれだけアクティブかの指標が重要だが、Airbnbでのリテンションは数ヶ月単位で計測することになる。このように、プロダクトによってリテンションの計測期間は異なるので、そのプロダクトを本当に気に入っている人は通常どのくらいの頻度でサービスを利用するのか?を基準とする。

魔法の瞬間を探す

魔法の瞬間(=アハ・モーメント)とは、長期維持と相関するユーザーの行動や振る舞いのことを指す。優秀なグループとそうでないグループの違いを分析する。
Facebookの有名な例では、最初の10日間で7人の友達を追加すると、そうでないグループよりも圧倒的に定着率が高かった。

数値の正確な定義に固執し過ぎない

友達追加が6人だろうが8人だろうが、おそらくそれほど重要ではない。自分たちの指標から正しいと思われる転換点を見つけて、それが目指すべき方向であることを全員で同意し、最適化することが重要である。

NPS(Net Promoter Score)

+50がほぼ最低のベースライン。

NPSとは、プロダクトを友人に勧める可能性を示す尺度。
(NPS自体の説明は動画内でも分かりやすく説明されているが、ここでは参考記事のリンクで省略。)

monzoでは+75~80を彷徨っていたそうである。テスラは現在96。
非常に古い携帯電話会社や銀行は、NPSがゼロかマイナスが多いそうだ。(注:これは筆者のディスではなく、動画内で語られていた言葉)

一貫性を保つ

NPSの聴取方法を途中で変えてしまうと、何が変化しているのかを特定することが難しくなる。アプリの様々な場所で、統一した方法で、聴取する必要がある。

定性的な質問をする

NPSを聞いた後に、なぜ好きなのか?何が問題なのか?を特定するために定性的な追加質問をする。スコアの低い人の気に入らない点を全て修正することがNPSをあげる確実な方法である。

最後に

monzoではオーガニックグロースが桁外れで、ユニットの経済性が非常に悪かった。この動画で挙げたのはベンチマークであり、すべてのビジネスや業界は異なっているため、自分のビジネスにとっては、どのように異なるのかを考えるように。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?