税務調査で痛い目を見ないために。外注費と給与の区別を知っておこう
たまには税理士っぽい記事を。
副業解禁の流れもあり、最近よく相談を受ける「給与vs外注費」について、僕の経験と知識をもとに深掘りしていこうと思う。
このテーマは、税金に関する話で、特にフリーランスの方々にとって重要なポイントだ。
最近、副業解禁やSNSの普及によるフリーランスの増加に伴い、従業員としてではなく、業務委託という形で働くスタイルが急速に増えてきた。
雇う側からすれば、
「同じ働き方でもフリーランスとして雇えば、社会保険も入らなくていいし、気楽でいいじゃん」
と思ったら大間違い。
この「従業員(給与)」なのか「業務委託(外注費)」なのかの区分は、発注側にとって税務上非常に大事な問題となる。
まず、この区分が何故重要なのかを理解してもらうために、具体的なケースを想像してみてほしい。
外注費だと思っていたものが、税務調査で「いや、これは給与だ」として否認された場合、どんな影響があるのか。
ここで起こり得る主な事案を3つ挙げてみよう。
まず一つ目が「消費税の仕入税額控除の否認」だ。
会計上、発注側が外注費として処理していた場合、決算のときに支払う消費税計算の際に、支払った外注費の消費税部分を控除できるが、これが給与とされると、その控除ができなくなる。
つまり、払ったはずの税金をさらに払わなければならなくなるという、二重苦が待っている。
そして、これに対して過少申告加算税というペナルティが追い打ちをかけてくる。
次に、「源泉所得税の徴収漏れ」だ。
外注費の場合、特定の業種を除き、源泉所得税を天引きする必要はないが、給与となると話は別だ。
本来天引きして税務署に納めるべきだった税金が未納となり、それを追加で支払う羽目になる。
本来天引きすべきものだったから
そして、不納付加算税というさらなるペナルティがここでも襲いかかる。
最後に、「延滞税」という恐怖の利息が発生する。
税金の支払いが遅れたから、それに対する利息がかかるのだが、この利息、今の金利水準からすると結構えげつない。
もう罰則みたいなものだ。
こうなると、「あの時もっと慎重に処理しておけば…」と悔やむことになるだろう。
こういったリスクを避けるためには、業務委託として仕事を依頼する場合、事前に注意すべき点をしっかり確認しておくことが重要だ。
そこで、代表的なチェックポイントを7つ挙げてみたので、これを参考にしてほしい。
なお、一つでも該当したらアウトというわけではなく、これらを総合的に考慮して判断される。
この点を踏まえてチェックしてみてほしい。
その業務は他の人でも代替できるか?
一つひとつの作業について発注者の指揮監督を受けないか?
発注者から、空間的・時間的な拘束を受けないか?
ユニフォームや制服が支給(貸与)されていないか?
他にも顧客がいて、同様のサービスを提供しているか?
請求書を発行しているか?
個人事業として確定申告を行なっているか?
これらのポイントを踏まえ、適切な会計処理を行うことで、税務上のリスクを最小限に抑えることができるだろう。
もちろん、すべての判断を自分で行うのは難しいかもしれないが、その際は専門家に相談することをお勧めする。
何事も「備えあれば憂いなし」だ。
今回は「給与vs外注費」という少し硬めのテーマだったが、しっかりと理解しておくことで、将来的なトラブルを避けることができる。
フリーランスや業務委託で働く方々には特に重要なポイントなので、ぜひ参考にしていただきたい。
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