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ベンチはまちの結節点



東京で1,200基、広がる「思い出ベンチ」


「東京とは すごいまち なんじゃな〜。」

そう初めて感じたのは、ぼくが東京に転勤で上京した2001年・・・では有りません。当時は仕事で忙しなくて、東京のことを一部しか分かりませんでした。

でも「東京ってやっぱすげーっ」と感激したのは、2003年。これ、強烈に覚えていまして。

理由は、その年から始まった「思い出ベンチ」(東京都の事業)です。

東京の各地の都立公園には、今では、たくさん置いてある見慣れた「思い出ベンチ」。これらは15〜20万円くらいの市民の寄付で設置できます。

一つ一つに寄付者のメッセージプレートが付けられていて、個人的な思い出やストーリーが刻まれていたり。哀悼の意を込めたメッセージもあるし、人生の節目の記念でのメッセージもあり。

今では1,200基以上に広がっています。

もし東京へ出掛ける方は、都立公園に寄る際にぜひ 1基1基 見てみてほしいです。


ベンチはまちの結節点、広がる「手作り市民ベンチ」


ベンチはまちの結節点。そう捉えてみると、その地域の人や訪れた人同士が歩いて繋がる地域コミュニケーションのしるしでもあります。

絵本「どうぞのいす」のように。


公共のベンチはもう待てない。それなら私たちが!ということで、まちの中に市民がつくる「手作りベンチ」プロジェクトも、だんだん注目されていたりします。

とまり木休憩所・おでかけベンチ協働プロジェクト
(京都市伏見区 深草・藤森・藤城学区)

赤い椅子プロジェクト
(東京・吉祥寺/大森. 群馬県 高崎市)


詳細はビッグイシュー BIG ISSUE 最新号No.481でも紹介されています


また、ベンチはまちの緩やかな幸福度を紡ぐセーフティネットの側面もあるようです。

徳島県南端にある太平洋に面した海部町(現 海陽町)は、日本で自殺率が最も低いことで知られていますが、重要な役割を果たす「路地ベンチ」についての考察、下記のように紹介されています。

※(SSIR)スタンフォード・ソーシャル・イノベーション・レビュー記事より

「海部町では隣人と立ち話をする機会が多いことがわかっているが、路地が多いという住環境と無関係ではないだろう。さらにそれらの路地には、江戸時代から続く建築様式「みせ造り(折り畳める雨戸が日中は縁台として使われる)」の「ベンチ」が点在している。
買い物や墓参り、診療所への行き帰り、これらの動線上にあるベンチに通りすがりの住民らが腰かけて世間話をする様子がよく見られる。ベンチは情報が集散する格好のハブとしても機能しており、ここでは困りごとの小出しが習慣化していた。当人たちは無自覚、無意識のようであるが、他愛ない会話を交わすなかで自分自身の悩みや隣人の変調、地域の気がかりな出来事などが頻繁に話題に上がっている。問題の早期開示と早期介入がうまく巡っていることが窺えた。」



ベンチを増やすプロセスに、住民や市民が参画しながら人同士の関わりを作る・・というのが 素敵ですね。

今求められる「すごいまち」とは、そういうプロセスを多分に含んでいるのではないでしょうか。きっと。


日比谷公園の思い出ベンチの行く末


東京・有楽町駅からすぐにある日比谷公園の思い出ベンチは202基。

進行中の再生整備事業では、うち55基が撤去されている最中です。

「管理する都東部公園緑地事務所は8月から、撤去したベンチのプレートを寄付者に返却するため、郵送や電話で連絡を取っている。寄付者からは「再設置できないのか」「ベンチごともらえないか」などと惜しむ声が上がったという。」

この「三笠山」もなくなる計画
正面の東京ミッドタウン日比谷から、直通の遊歩道デッキが架けられる。工事用道路も含め数百本から1000本の樹木が伐採される計画。



思い出を撤去する。

おいっ。これのどこか「すごいまち」じゃーいッッ。




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