ストラクチュアル・ホール
先日出た研修の話(越境のやつです)。
ストラクチャル・ホールというキーワードを得られました。
早稲田大学の入山章栄先生がモデレーターとして登壇されていて。
非常に面白い話を聞くことができました。
人間関係、特に人との繋がりだけでご飯を食べているようなものなので、僕は。
自分が築いてきたネットワークの本質的な強みについて、考える機会になりました。
ネットワークのどこにポジションをとるか?
そのためにどう行動するか?
これからの時代をフリーランスで生きていく上での大きなヒントをもらえたと思っていて、それを今回は言語化してみました。
人間関係を通じてイノベーションを生み出すという視点を持つのに、ちょうどよい内容かもしれません。
ストラクチュアル・ホールとは
日本語に翻訳すると、構造的な隙間(structural holes)
シカゴ大学のロナルド・バートが提唱したネットワーク理論の一つです。
ちなみに、ストラクチュアル・ホールとあわせて論じられることがおおいもので。
「弱い結びつきの強さ」(strength of weak ties)というものもあります。
人間同士の弱いつながりの方が、情報が伝達されるに際して無駄なく伝わりやすいこと。
また様々な情報が遠くからでも入ってくる。
なので結果としてイノベーションが起きやすい(新結合が起きやすい)ということですね。
そして今回の主題のストラクチュアル・ホールですが。
その情報のやり取りの中でも、ハブとなるポジションに立つことができている人のところを、すべての情報が経由していくのでビジネスの上でとても有利であるという考え方です。
複数のネットワーク同士が繋がる部分、ハブに自分をポジショニングすることの重要性が語られていると思います。
いちおう統計的にも証明されていることらしく。
また、単にネットワークの中心にいるということを述べているだけではなく。
ネットワーク間に隙間があることを利用して情報伝達やコミュニケーションを操作(あまりいいニュアンスではないですがw)して活用していくわけです。
ストラクチュアル・ホールはすぐに埋まる時代
商取引でいくと、基本中の基本ともいえることなのでしょう。
シルクロードの商人だって、右から左に何かを流してその情報格差で稼いていたわけです。
ただ、ネットワークが進化し、人と人が繋がることにそれほどのコストがかからなくなってきた時代において、このストラクチュアル・ホールはあっという間に埋まってしまうようになりました。
僕はストラクチュアル・ホールのポジションをとることができていた期間が長かったのかなと感じています。
特に前職の中では。
イメージしやすいようにという例ですが。
ビジネス色の強い株式会社が運営する福祉事業所において、医療福祉とのネットワークがまだ構築されていない時代というのがありました。
そこに僕が登場して、僕はもちろんもともとの医療福祉業界とのネットワークがあったわけです(ソーシャルワーカーなので)
その二つを結びつける中心に立ち、情報操作とかはしてませんがw
基本は僕を介して両方のネットワークが交流をすることになるので、必然的に僕の価値は上がっていったわけです。
結果としてその会社の中で重宝がられることになり、意図したわけではないですが、ストラクチュアル・ホールのポジションに立つことができました。
でもやがて、僕を介さなくても、それぞれの人たちの繋がりが深まり、両者でやりとりが開始されると、いちいち僕を介する必要はなくなります。
もちろんそういう繋がりつくりを意図していたので、ソーシャルワーカーとしては、それで良いのですが。
相対的に、その価値は低くなっていくわけで。
昔の繋がりにあぐらをかいているだけだと、足元をすくわれるというか、価値はなくなってしまいますね。
そういう場合、僕らはどのように行動すべきなのか。
意図的に作るためには?(いかにネットワークのハブとなるか)
例で書いたように、元々の医療福祉業界で培ってきたネットワークにあわせて、僕があまり交わることのなかった、ビジネス界隈へ一歩踏み出したことによってもたらされていると言えます。
以前書いた「越境」をしたわけです。
早稲田の入山章栄先生も同じことを述べておられました。
同じ業界内で、同じ人間関係や文化で育った人たちの中にいると、ネットワークの隙間はなく似たような人間関係の繋がりが広がっていきます。
そうなると、僕の友達と友達も友達同士というわけで。
良い意味で深いつながりが広がるわけですが、ネットワークのハブにはなりにくいのかなと。
ここは常に「越境」する姿勢を持つことが大切ですね。
そのためにも、具体的には
たとえ仕事に関係のないものであっても興味関心をもち(好奇心に近いですかね)繋がりを作っていくこと。
余白の時間をもって、フットワーク軽く好きなことができるゆとりを作ること。
この2つくらいが、とても重要かなと思っています。
ストラクチュアル・ホールにポジショニングし続けること。
僕の場合であれば
福祉×ビジネス以外にも
×金融とか
×海外とか
で価値を発揮していた時期もありました。
最近だと、ビジネス系の大学院にも行くようになり、そのネットワークは広がってきています。
イノベーションは、ある業界では当たり前とされる「知」と、また別の業界では当たり前とされる「知」が掛け合わされた瞬間に価値を生み出すといわれています。
シュンペーターさんの新結合です。
ストラクチュアル・ホールにポジショニングし続けることが、社会にイノベーションを起こし続けるキーにもなりますし、自分自身の相対的な価値を高めるうえでも大切なことかなと考えています。
そのためにも、行動し続けること。
現状のポジションに安住するのではなく、意図的に越境し続ける姿勢が重要といえるのではないでしょうか。
今日はこれくらいで、ありがとうございます。
(参考文献↓)