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アメリカ陸上大学記⑪ アメリカで学んだこと

こんにちは。樋口諒です。
NCAA D1 アメリカ・カンザス大学の陸上部で中長距離をしています。

今回はアメリカに来て学んだこと+意識していることを書いてみようと思います。主にトレーニングについて書いていきます。自分で練習メニューを立てている人、また競技に本気で取り組む部活生の参考になってくれたら幸いです。
ちなみに私は2023年8月に渡米しました。入学してから約1年半ほど経ち、トレーニングにやっと慣れてきたところです。

学んだこと

まずはじめに言えることは、アメリカのトレーニングに秘密や近道はありません。たくさんトレーニングして、なるべく早く回復する。この繰り返しです。

ですが、大学で専門のコーチにコーチングしてもらって学んだことはたくさんあります。その中でも一番は継続性・一貫性です。

継続性とは「日々の積み重ね」で、長期的にトレーニングを途切れることなく行うことです。一貫性はトレーニング内容や方針に対してブレずに同じ考え方・アプローチを続けることです。

大学では長期的な視点でも短期的な視点でも一貫したトレーニングをしてると感じます。
長期的な視点でみると、6月のトラックシーズンが終わってオフをとったあと、ベース期に入ります。ジョグが中心でたまにテンポ走があったりします。そこから9~11月のクロスカントリーシーズンが終わるまでは持久力にフォーカスしたトレーニングです。スピード上げるのは短いインターバルと流しだけで、それ以外は有酸素を中心にやります。1月からトラックシーズンが始まります。走行距離は少し減り、スピードにフォーカスしたトレーニングが増えていきます。シーズンの終盤になると、レースに近い特異性の高い練習が増えていきます。一般性の高いトレーニング→特異性の高いトレーニングという流れで一貫性があります。
短期的な視点だと曜日ごとに練習メニューが決まってます (ほとんどの場合ポイント練は週2、ロングランは週1、ジョグが週3~4)。 練習のほとんどはジョグです。ポイント練習に関しては、毎回ペースや距離は違いますが一貫して似たような構成のメニューが多いです。あれこれ手を出さず、やるべきことを継続してやっています。
継続性ももちろん大事です。私は幸いアメリカに来てから1回も怪我で走れなくなることなく、毎日チームと一緒に走ることができています。継続して走行距離を積むことで入学時から徐々に走行距離を増やせています。走行距離(特にジョグ)が増えると回復力がついて身体が疲れにくくなり、より負荷の高い練習をこなすことができます。またこれは経験ですが、走行距離を増やすとポイント練習や試合で外すことが格段に減りました。ウエイトトレーニングもアメリカに来てから継続して行っています。継続して行なっているおかげで、できる運動が増えたり、それぞれの運動がより効果的になったり、より重いウェイトを挙げられるようになったりしています。今感じるウェイトの効果としては、スピードを上げた時の出力感が小さくなっている気がします。

私は高校時代は、2年生の夏以降はセルフコーチングのような感じで自分で練習メニューを組み立てていました。その時は本を読んだり他校の先生の話を聞いたり、ネットやSNSをみたりして試行錯誤しながらやっていました。今は情報が余るほどあって、どれも取り入れたくなりますよね。
ジョグ、LSD、ロング走、ファルトレク、ペース走、分割閾値(CV含)、インターバル、レペティション、タイムトライアル、坂、タイヤ引き、サーキット、ウエイト、コア、ドリル、流し等、一通り全部試しました。成果が出るまでやれてないものももちろんあります。色々やっていたせいか距離はあまり踏めませんでした。(高校で陸上を始めたので、一般的な基礎体力をつけたり練習の合う合わないを知ったりするためには良かったかもしれません。)

新しい練習方法、練習スタイル、練習サイクル(シーズンのサイクル)に慣れて成果が出るまでには、1年2年3年とそれくらいの時間がかかってもおかしくありません。
もし自分で練習メニューを立てている人はまずは自分の練習を信じて一定期間ブレずにやってみる。コーチのいる学校やクラブに入っている選手は、まずチームの練習を100%信じてついていく。こういった心構えが大事だと思います。もしチームの練習に疑問があったり不安があったりしたら聞けばいいです。私もたまにコーチに聞きます。「マイレージが少なくて不安です」「うちのチームは閾値付近のペースでの練習が少ない方だと思うんですが」こんな感じの質問をしています。

もちろん変化をつけるな、思考錯誤をするなという意味ではありません。私自身毎日どうやったら強くなれるか、何か変えられないかを考えながらトレーニングしています。トレーニングにはトレンドや流行り廃りはありますし、日々新しいことは分かってきていますが、原理原則や基礎はいつも同じです。新しいことに飛びつく前に、まず自分の練習に一貫性をもってしっかり取り組めるかということを考えてもらえるといいと思います。正しいトレーニングをブレずに積み重ねていくことが強くなるために本当に大切です。

意識していること

簡単にですが、私が毎日練習で意識していることを3つあげます。どれもありきたりです。

  1. 気持ち
    「俺は絶対に強くなるんだ」「絶対に目標を達成してやる」「今年は絶対全国行くんだ」
    単純ですが、強くなってやるんだという気持ちで毎日練習に臨んでいます。そのモチベーションがどこから来ているのかは分かりませんが、きっと走るのが好きなんだと思います。
    前向きな気持ちで練習に行くのか、後向きな気持ちで練習に行くのかでどれだけ強くなれるかは大きく変わってくるはずです。

  2. 目的
    練習に目的を持つこと。たくさんの人が日々練習で意識していることだと思います。「今日この練習はどんな目的でやろう」とか「このエクササイズはどこを鍛えているんだろう」など、目的もって練習しましょう。そして分からなければ聞いたり考えたり調べたりするといいです。
    また、1日の目的だけを考えるんじゃなくて、週、月、年単位での目的も大事です。そうすると目標になるのかな。例えば、「今月はシーズンに向けてとにかく貯蓄を作るぞ」とかです。年単位の例だと、私は昨シーズンはずっと「とにかく慣れるぞ」ということを頭に置いて取り組んでいました。

  3. 怪我しない
    最後は怪我しないということです。これは継続性・一貫性というところにも繋がってくると思います。中長距離はどれだけ継続して練習できたかというのが大事です。休むときは休む。オーバートレーニングをしない。痛みが出たらすぐ対処する。基本的なことですが意識しています。また、オーバートレーニングにならないようにコーチが止めてくれたり、痛みが出たらすぐにトレーナーに診てもらえたりする環境には感謝しています。

さいごに

長い文章になりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。少しでも参考になったなら嬉しいです。
不定期ではありますがアメリカの大学の陸上競技について書いているので今後ともよろしくお願いします。


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