BIAS FX 2 Version 2.6.0 新機能の紹介&レビュー
2023年5月25日にPC版 BIAS FX 2に大規模アップデートが入りました。
少し遅くなりましたが、今回のバージョン2.6.0.で追加された新機能の紹介と簡単なレビューをしていきたいと思います。
1.新規アンプモデル10機種が追加
アンプモデルにRemaster Series 10機種が追加され、これまでのアンプモデルはLegacy Seriesという名称になりました。
新機種のカテゴリーはLow Gainに2機種、Crunchに3機種、High Gainに5機種となっています。
Low Gain : Blackface, AC Chime
Crunch : BE-101, British Rock, Plexi Lead
High Gain : Boogie IV, Insane III, Paul Arch, SLO, Treadplate
リマスターシリーズのアンプモデルはコントロールパネルのデザインが実機に近づけられており、例えばBlackfaceモデルはMiddleがついておらずReverbが内蔵されていますし、AC ChimeはTreble,Bass,Tone Cutのみの3コントロールでまとめられ、BE-101にはBE-Mini Headのような3段階のCutスイッチとTightスイッチが搭載されています。
また、レガシーシリーズのツマミの数値は0-11までの設定ですが、リマスターシリーズは0-10の設定になりました。
実際の操作面では0-10までの方が感覚的に掴みやすいですし、実機のイメージを持って音作りをする場合、実機にないコントロールをどうするべきか悩ましい部分もあったので、より扱いやすくなったと思います。
キャビネットモデルは完全に新しいデザインとなり、マイクセッティングのヨコ軸とタテ軸が数値で表示されるようになりました。
一画面内でフェーダーによるマイクレベルの操作やミュートのオンオフなどもできるようになったので、単純に操作しやすくなっています。
ルームマイクでアンビエンスも設定できるようになり、エキスパンションパック・OMNYSSで追加されたReality ModeとStudio Modeの切り替えも完備。
アンビエンスは後処理の邪魔になることもあるので、個人的には大抵切ってしまいますが、後付けのダブリングよりも自然な広がりが出るのでヘッドホンで演奏する際にはオンにしておくと気持ち良く弾けると思います。
Reality ModeとStudio Modeの違いについては「Reality Modeはアンプの目の前で弾いているような迫力が感じられる、ローエンドが強調された派手めなトーンでリハーサルスタジオや自宅での練習向け」「Studio Modeはより正確なIRでレコーディングやミキシング、ライブ時のPA送りなどに向いている」と公式のフォーラムで説明されています。
弾いてみた限りではReality Modeの方が元気が良く、Studio Modeの方が少し落ち着いた感じがしました。
リマスターシリーズのアンプモデル、キャビネットモデルは圧倒的に質が上がっており、ノイズが少なく、輪郭のはっきりしたサウンド傾向になっています。
今後はTwin ReverbやHIWATT、MatchlessやDiv13あたりのクリーン〜クランチアンプが充実してくれたら嬉しいです。
これまでレガシーシリーズで作ってきたサウンドよりも良すぎるくらい良いので、やたらと数が多くなってしまったレガシーシリーズをいっそ削って動作を軽くする機能をつけてくれてもいいんじゃないかと思うくらいです。
2.Guitar MatchにQuick Modeが追加、アコースティックギターモデル2種とエレキベースモデル2種が追加
Quick Modeではボディシェイプとピックアップ配置を選択するだけで、Guitar Match機能が使えるようになりました。
もちろんFull Matchで各弦ごとの計測を行った方がより良い質感でマッチングが取れますが、手間なくトーンキャラクターを変えられるのは楽しいです。
音域はドロップBチューニングやドロップC#、7弦のローB程度なら違和感なく反応してくれました。
8弦のローF#やバリトンギターのドロップGなどではさすがに濁るのですが、普通のギターで半音下げや1音下げ程度なら気にせず使っていけると思います。
僕が持っているギターの中では、純正ピックアップが載った90年代のFender ストラトや58/15が載ったPRS P245よりも、Dimarzio Steve's Specialを載せたIbanez RGやEMG 85/81を載せたPRS SEなどの方がトラッキングの精度が良かったように感じたので、ローパワーなピックアップよりはある程度パワーのあるピックアップのギターの方が扱いやすいかもしれません。
アコースティックギターモデルはMartin OMタイプとDタイプ、エレキベースモデルはP BassタイプとIgnition Bassタイプとなっています。
アコースティックギターモデルはノイズが若干気になりましたが、ノイズゲートを置いたり、ギター側のVolumeやToneを少し変えるなどちょっとした工夫でリアルさを増すことができる可能性は感じました。
BOSS AC-2などと同じようにブリッジピックアップで弾くと悲惨な音になってしまうので、なるべくネックピックアップかミドルピックアップでの使用をお勧めします。
エレキベースモデルはオクターバーを掛けてドライ音を消したようなサウンドでリアルかと言われると難しいですが、これも指弾きにしてみたりピッキング位置を変えてみたり、手元のToneを絞ってみたりと工夫のしがいがあると思います。
どちらも音質的な不完全さやチープさを活かしてLo-Fi系のアレンジなどで積極的に使ってみるのも面白そうです。
「ギターを持ち替える前にとりあえずGuitar Matchでキャラクターの違うトーンを試してみる」とか「プレイバックのクリーントーンをアコギに差し替えて聴いてみる」くらいの用途であれば充分楽しめるので、リアルタイムでプレイする以外の用途も考えてみたい機能です。
3.Rewind機能
BIAS FX 2を立ち上げて、音を出した瞬間から自動で録音をしてくれる機能です。
記録時間は5分、10分、15分から選ぶことができ、録音されたWavデータはフルレングスか、カット編集した任意の長さで書き出すことができます。
エフェクトの試奏やアンプの音作りをしている間に適当に弾いたリフやフレーズからインスピレーションを得られることは少なくないので、個人的には今回のアップデートで一番嬉しい機能でした。
音作りを進めていて迷った際の客観的な聴き比べにも使えるのでとても便利です。
他にはバックアップやパッチの同期を行えるCloud Bankサービスや、Tonecloudのインターフェイス変更などがあったようです。
以下は僕が操作していて気になった部分、また2023年6月19日時点での表示バグなどについて触れておきます。
-気になった部分と個人的要望
アンプヘッドを選ぶとキャビネットもマッチングされたものに強制的に入れ替わってしまう。キャビはそのまま、ヘッドだけを差し替えたくてもできません。
各アンプモデルやキャビ、エフェクト毎のお気に入り設定保存機能などがないのでその都度1から設定し直す必要がある。パッチをまたいだブロック毎のコピー&ペースト機能はありません。
SCENEとQUICKSNAPの機能でできることがほとんど被っている。
ツマミを動かさないと現在の数値が表示されない。マウスオーバーあるいはクリックだけで現在の数値が把握できた方が楽です。
各パラメーターの数値を直接入力できない。マウスホイールで最小値ずつでの操作は可能ですが、フィルター系や空間系エフェクトの周波数やタイムなどは数値を直接入力できた方が速いはずです。
-表示バグ、機能不具合など
レガシーシリーズのアンプヘッドとリマスターシリーズのキャビネットを組み合わせると、いくつかの項目でマウスオーバーしても数値が表示されなくなる。
Dualモード使用時、キャビネットのマイクセッティングの表示が後に操作した方にグラフィック、マイク名ともに引っ張られる。(=A側のキャビネットを操作するとB側も同じ設定になってしまう)
SCENEとQUICKSNAPの機能を順に使うと、CLEAR、DELETEの文字が重なって表示される。
ギターアンプモデリングプラグインについて、これまで僕は
UAD>>Guitar Rig6>Brainworx≧BIAS FX 2≒AmpliTube
という位置付けで捉えていましたが、細かい部分の操作性がもう少し改善されてくれないことにはAmpliTubeの方が上かなとも思うようになりました。
とはいえ相変わらずハイゲインサウンドは強力ですし、これまで弱かったクリーントーンやクリーンクランチも改善はされてきていると感じました。
追加された新機能はどれも魅力的なものだったので、今後のさらなる進化に期待したいです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ご自身の音楽の役に立つ内容や、機材、ソフト、プラグインアプリケーションに対しての興味を持っていただける要素が何かしらあったなら幸いです。
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