ギターの音作りについて (Marshall編)
はじめに
メタルギタリストのRyoです。今回は2022年現在の自分のギターの音作りについて書きます。レコーディングでは色々と音を使い分けていて全部書くときりがないので、ライブを想定した音作りの話がメインになります。
前置き
レコーディングではMarshall JMP-1とVHT 2902をTwonotes Torpedo Liveに繋いで使用しており、真空管アンプが最高だと思っている古いタイプのギタリストです。ただ、ライブやスタジオでのリハなどでは可搬性を重視して現場のアンプ (Marshall JCM2000かJCM900)を使うようにしています。50分程度の本番のために30 kg以上あるラックを運ぶ気力はありません。
ギターが一本のバンドの場合はできるだけアンプで歪ませます。ツインギター編成だったり、どうしても複雑なエフェクターの組み合わせが必要な場合はLine6 Helix Stompを使ってリターンで鳴らします。Helixはよくできていますが、生アンプの歪みの方がテンションが上がるので好きです。今回はアンプで歪ませる場合の音作りについて書きます。
音作りについて
どんな音を目指すか
具体的な方法の前に、どんなことを考えて音を作りにいくかについて以下に列挙しました。
相対的にミドルが出ているが、ローもハイも出ていて嫌な張り出し方をしない
リズムもリードも同じ音色で弾き切る (ディレイを踏むくらい)
コード感が失われない程度の歪み量
クリーンはギターのボリュームを絞って作る
大事なのは2と3です。2についてはあまり足元でエフェクターを踏み替えたりしたくない性格であることと、メタルの場合リードのようなオブリガードが多いので、その度に音色を変えるのはかえって不自然だろう、という考えに基づきます。3については、広がりを演出するためにオープンコードや7thコードなどのアルペジオを使用することが多く、歪みすぎているとコード感が失われてしまうためです。そのため、リードを弾ける程度には歪んでいるが、余裕はない、くらいの歪み量にしています。この時、アンプの歪みだけだとサステインが短くて苦しいので、ODやクリーンブースターでアンプを歪みを足すようにしています。個人的には歪みは少なければ少ないほどいいと考えています。
クリーンについてはチャンネル切り替えではなく、ブースターを切ってギターのボリュームを下げることで作るようにしています。理由は(1) 現場のアンプのイコライザーがチャンネル間で共用となっている場合が大半で設定を追い込めないことと、(2) 軽く歪んでいる方がコンプレッションが効いて弾きやすいことの2点です。カッティングが必要な場合は何とかしてクリーンチャンネルを利用します。正直なところクリーンでの演奏はそんなに好きではないので、同期演奏が可能な場合は音源を流してしまいます。自分にとっては気持ちよく弾けることの方が大事です。
具体的な音作りの手順
JCM2000ではLEAD 1のチャンネルを使用します。LEAD 2の方がよく歪みますが、LEAD 1の方が太い音が出せる気がします。DEEPスイッチやTONE SHIFTは使いません。具体的な手順は以下の通りです。これは以前Syuさんに習ったものになりますが、非常に汎用性が高いです。
ざっくりゲインと音量を決める。
イコライザーを全て0にする。ブースターも切る。
6弦をブリッジミュートで刻みながらBASSを上げていき、音がボワつく一歩手前で止める。
ツマミの位置を覚えて0に戻す。
5弦をブリッジミュートで刻みながらMIDDLEを上げ、好きなポイントを探す。
ツマミの位置を覚えて0に戻す。
2弦をブリッジミュートで刻みながらTREBLEを上げ、耳が痛くならない程度まで上げる。
BASSとMIDDLEを覚えた位置に合わせる。
PRESENCEを上げて抜け感をコントロールする。
TS系のODなどのハイもローも削るタイプのブースターや、VerocityのHigh-gain expanderのようなアンプのキャラクターを大幅に変えるようなエフェクターを使用する場合はオンのまま上記の手法で音作りをします。以下の動画はJCM2000をtc electronics SPARKでブーストし、恐らくセンドリターンにHigh gain expanderを噛ませています。
JCM900の場合もDRIVEチャンネルを使って同様に音を作りますが、少しレンジが狭い感じになるのと、歪み感をJCM2000と合わせるとボリュームを絞ってもクリーンにならなくなります。ただ、バンドアンサンブルに混じると多少歪んでいる程度なら十分にクリーンに聴こえます。以下はJCM900をtc electronics SPARK BOOSTERでブーストしたものです。
どちらもアンプのゲイン設定は大体半分くらいで、まだまだ歪ませる余力が残った状態です。これ以上アンプで歪ませると音が潰れてくるのですが、ブースターでプッシュするといい感じに歪みとコンプ感が足されます。tc electronics SPARK BOOSTERはアンプのキャラクターを変えずにブーストする用途では非常に優秀で、今でもファーストチョイスとして使用しています。ただ、TS系のODのようなおまけしてくれる感じは薄く、レスポンスも速いので、丁寧な演奏を心がける必要がある点は注意が必要です。
おわりに
今回は2022年現在におけるギターの音作りに対する考え方を書きました。しばらくしたら好みが変わる可能性もありますので、その際は別途まとめたいと思います。あらゆるスタジオ、ライブハウスにJCM2000が存在することを望みます。次はギターの好み (買う時に何を考えているか) について書きます。
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