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Ryo的HX STOMPの使い方 [2024夏]


Abstract

この記事ではLINE6社のHX STOMPの活用法について書きます。具体的には、ライブでの使用を想定して、HX STOMPのみで以下の3点を達成するミニマルシステムを考えました。主に対バンでの転換の効率化に寄与すると期待されます。

  1. ステージ上のアンプをリターン接続で鳴らし、マイキングできる。

  2. ライン信号をPAに送ることができる。

  3. 自身の音と、PAから返したクリックや音声をワイヤレスイヤモニに送れる。

Introduction

HX STOMPについて

ギタリストなら誰もが知っているので紹介不要だと思いますが、念のため紹介すると、HX STOMPとは米国LINE6社から販売されている小型のマルチエフェクターです。
ギターを弾かない人向けに説明すると、皆さんもギタリストの足元に色々と鉄の箱が転がっているのを一度は見かけたことがあると思います (一個も使わない漢ももちろんいますが・・・)。その箱一つ一つに音声信号を加工するための回路が入っていまして、我々はそれをエフェクターと呼んでいます。マルチエフェクターというのはそれらのエフェクターを一つの筐体にまとめたものです。最近のものは大体はDSP (Digital Signal Processor)という半導体チップで、個々のエフェクターの回路を模した信号処理を行うような作りになっています。超大雑把に言えば、パソコンみたいなものです。古い印象がロックミュージシャンにもDxが進んでいるのです。

さて、このHX STOMPですが、小さい筐体のくせに、LINE6社のフラッグシップ機であるHelixと同じサウンドエンジンが搭載されているので、それはそれは素晴らしい音質で演奏することができます。
ただし、上記のDSPが価格相応のものになっているので、同時に使用できるエフェクターの数に限りがあったり、入出力が限定されているので繋ぎ方を色々考えて運用する必要があります。

ライブ向けギターシステムに求めること

これまで、Ryoは1st0、Shiver of Frontierでのライブ (主に対バンイベント)にてHX STOMPを積極的に活用してきました。これら二つのバンドでは、演出の都合上イヤモニの使用が必須であり、様々な接続方法を検討しています。Ryoがライブ環境として求める要件は以下の通りです。

  1. 自身の音が確実に聴けること。

  2. 可能であればクリックが聴けること。

  3. マイキングとライン出力の双方に対応できること。

  4. 可能な限り少ない機材で上記を実現すること。

まず、1. については自身の信号をPAを介さずにモニターすることで解決しました。特に対バンイベントの場合、PAとのやり取り次第ではイヤモニのセッティングが上手くいかず、全く音が返ってこないことがあります(これは大体コミュニケーションの問題だったり、単純に時間が足りないなど、色々原因があります)。そのため、確実にモニターしたい自身の音は自分の配線で完結させることにしました。
2. については1st0, Shiver of Frontierの現在の活動規模では、ステージ上でドラムが聴こえなくなることは殆ど無いため、最悪無くても大丈夫なのですが、あるに越したことは無いものです。上記の通り、リハーサルでイヤモニが返せない場合ももちろんありますし、本番で全然違うセッティングになってしまうことも多々あります。
3. については、今はステージ上のアンプを鳴らしてマイキングした音の方が好みですが、将来的にライン出力の方が好みになる可能性を考えて、システムとして対応できるといいなぁ、と思っている要件です。
4. は電車移動バッチこいな都内バンドマン全ての願いでしょう。ワンマンならいざ知らず、45分の演奏のためにクソ重たいアンプヘッドやラックを電車で運ぶ男気はありません (もちろん、それが一番いい音だと知っていますが、、、)。
これまで、電車移動で対応できる範囲で上記を実現するために、外部のミキサーを用意して音を取りまとめたり、HX STOMPの一部の機能を別の機材で代用したりと、理想的な条件探しを進めてきました。そんな中、HX STOMP単体で解決できそうな接続方法を見つけたので、皆さんにも共有します。

Method and Results

Ryo的ミニマルセッティング

ここまで引っ張ってきましたが、答えは以下の通りです。

図1. Ryo的ミニマルセッティング用HX STOMPの配線

アンプへの接続はSEND端子から出して、RETURNのL, Rのどちらかにダミープラグ (防塵用のものではなく、変換プラグみたいなもの)を挿すのがミソです。これだけ挿すとHX STOMPがハリネズミのようになるので、MIDIフットコントローラーで制御するか、ジャンクションボックスで配線を整理するなどの対策をしてもいいと思います。
シグナルルーティングの例は以下の通り。

図2. ルーティングの例

上段がライン用、下段がアンプ出力用です。ライン用の最後段にステレオのリターン入力をセットすることで、片側のみにモニターの信号が乗るようになります。モニターの信号はXLRで返ってくることが殆どのはずなので、その変換は別途用意しましょう。
自分はオーバードライブとディレイがあれば問題ないので、HX STOMPのエフェクト数でも足りますが、もっとたくさん無いとダメな皆さんはパッチ切り替えで対応しましょう。それでもダメな場合は潔くHelixに乗り換えるか、Quad Cortex・・・。

Conclusion

この記事ではRyo的HX STOMPの使い方を紹介しました。ライブで使ってみて使用感をレビューしたいと思います。秒速セッティングと快適ライブを実現できますように!


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