むしゃくしゃ

アルバイトの帰りに業務スーパーに寄った。店もあと1時間で閉まる時刻で、レジには仕事帰りと思しきお客さんの列ができていた。レジは2つのうち1つだけ開いており、もう一つは閉じていた。僕は開いている方のレジに並んでぼーっとしていた。すると売り場から70代くらいのおばちゃんがレジを急いで開け、僕に向かって「コチラへどうぞ」と声をかけてくれた。僕はすかさずそのレジに乗り換え、精算を済ませた。
驚いたのはこの次だった。僕の次に精算した客が、おばちゃん店員に向かって「元からいる客を抜かすってどういうことなん?」と因縁をつけ始めた。僕は「あちゃ」と思い、何も考えず自分が最初にレジに並んだのを後悔した。店員さんは申し訳なさそうに「すみませんねぇ」と平謝りしたが、客の怒りはさらに増し「もっと周り見て接客した方がいいよ」と余計な一言を放ち、顔も見ずにサッカー台に向かっていった。おばちゃんは後半から無言になり、正気を奪われたように次の接客をしていた。僕は何度も捕まえて口論をしようとしたが、怖くて何も出来なかった。そのことがまず情けないし恥ずかしい。色々と罵詈雑言をその客にぶつけて帰ればよかったのだ。向こうも言いすぎたと反省して、おばちゃんもスッキリする未来が描けていたのに、舵を取れなかった。

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