ダークでクールなビジュアルをもってピエロを演じると、シンプルにカッコよくて面白くなる <ルーベン・フライシャー監督『ヴェノム』>
物語が複雑化し、単純摂取的娯楽が「幼稚なもの」とみなされる昨今。しかし、その中身を冷静に分析してみると『鬼滅の刃』しかり『半沢直樹』しかり、小難しいように見せている要素はただのアクセサリーに過ぎない。物語の構造は至ってシンプル。
悪い奴がいる
いい奴がいる
倒す
これだけだ。それを批判するものもあるが、僕はそうしようとは思わない。物語とは自由であり、それを阻害する行為よりも唾棄すべき内容など極めて限られてくると思うからだ。
ダークと見せかけて王道という気持ちよさ
『ヴェノム』に関していえば、日本の宣伝キャッチコピーが
「最も残虐な悪が誕生する」
といったものになっているなど、かなり正義と悪が曖昧になっているのではないか? と思わせる印象を受ける。
しかし、蓋を開けてみるとその内容は普通に
主人公側なのでいいやつ
敵側だから悪い奴
というシンプルな構造に落ち着いている。いちおう理由らしきものを説明したりしているが、どれもこの構造を正当化するための飾りに過ぎない。
しかし、単純に1人のヒーローなのにバディものであるという構造がすでに上がるものがある。『仮面ライダーダブル』なんかもそうだが、それだけでいろいろとドラマを産むことができるだろう。
次回作も決定しているらしいので、公開→配信までゆっくりと待ちたい。別段映画館で見たいと思うほどではないが、Netflixに入っていたら喜んで再生ボタンを押そう。
一言コメント
『ジョーカー』とは真逆のエンタメ極振りっぷりだなあと。