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地域まちづくりファイナンスのリアル ~資本金100万円、創業1年のまちづくり会社はどう3億円の資金調達をしたのか~

こんにちは。「地域からハッピーシナリオを共に」 NEWLOCALの石田遼です。
NEWLOCALは人口減少社会における持続可能な地域モデルの実現を目指すまちづくり会社です。
この度、NEWLOCALの子会社である野沢温泉企画で、融資・助成金合わせて3億円の調達を完了しました。創業1年、資本金100万円で実績もほぼない会社です。VCからのエクイティー調達ならまだしも、融資でこれだけ調達をするのははっきり言ってかなり無茶です。

 では、なぜこんなことができたのか?
この記事ではその裏側をできるだけ包み隠さず書きます。

はじめに断っておきますが、特に裏技や魔法は使っていません。3億円の資金調達はとても大変なものだし、生じる責任を考えるとそうあるべきです。私たちにとっても全く簡単な道ではなかったし、何度も諦めかけました。
でも、とても大変」と「不可能」には大きな違いがあります。実は今、男鹿でも同じ条件で同程度の調達を進めています。これが完了すれば一定の再現性を持つと言えるのではないでしょうか。(もちろん一般解でないのであくまでもケーススタディーとして捉えていただければと思います。)

また、当たり前ですが、資金調達の成功は事業の成功を意味しません。私たちはまだスタートラインに立っただけで、勝負はこれから。ただ、不動産を絡めたまちづくりで資金調達は避けて通れず、その低くはないハードルを越えなければスタートラインにすら立てないこともまた事実です。

この記事は、地域で挑戦をする事業者の皆さん(つまり私が勝手に同志と思っている皆さん)に向けて書いております。特に「不動産を絡めた地域のまちづくりで十分に与信のないローカルベンチャーが調達をする」場合は読んでいただいて損はないと思います。(長文ですが….)

なお、この記事は同志である稲とアガベの岡住修兵さん、さいとうしょうたさんの資金調達ポストに影響を受けて書いたものです。彼らの記事もめちゃくちゃ面白いのでぜひ読んでみてください!
(不動産と酒造りでアプローチが違うのも面白いです)

では、さっそく始めましょう!


結論:資金調達に必要なもの4つ


まずは結論から。私が考える資金調達に必要なものは以下の4つです。

  1. チーム:自分が集められる最強のチームを揃える

  2. 事業計画:考え抜かれ確信を持てる事業計画をつくる

  3. ファイナンススキーム:あらゆる仕組みを活用し大胆な調達計画を立てる

  4. 根性と熱意:困難を前提とし、とにかく諦めずに動き続ける

・・・はい、残念ですが近道はありません笑(少なくとも私は知りません)。では、具体的に見ていきましょう。

調達の概要: 資本金100万円、創業1年で3億円調達

株式会社野沢温泉は株式会社NEWLOCALの子会社として2022年8月に設立したまちづくり会社です。資本金は100万円、NEWLOCALと、野沢温泉の個人とでつくりました。親会社のNEWLOCALも2022年7月の創業間もない会社です。野沢温泉企画では古民家を改修した宿を計画しており、この初期投資3億円ほどの調達を2023年12月に終えました。

経緯

少し長くなりますが、できるだけ具体的な動きがわかるように時系列で1.5年分の出来事を見ていきましょう。

創業~第1回調達失敗: 2022年7月-12月

  • 2022年7月にNEWLOCALを起業、1つ目の地域として野沢温泉を選びました。同年8月地域のキーパーソン、河野健児と八尾良太郎と共に野沢温泉企画を設立。(創業の経緯などはこちらをご覧ください)

  • 野沢温泉企画は、「野沢温泉を世界が憧れる村に」をビジョンに村の文化と自然を持続可能なかたちで次の世代へ引継ぐ仕組みをつくっています。村は、高齢化・老朽化に伴う民宿の有休化、観光の冬偏重という課題を抱えています。野沢温泉企画は、遊休施設を長期定借し改修・活用することで、村の抱える課題を解消し ①観光地強化 ②移住・定住促進 ③起業・雇用促進 を実現する事業を行なっています。

  • はじめのプロジェクトとして、河野健児の実家である元民宿「旧白樺」を改修して通年で村に人を呼び込むデスティネーションホテルをつくることを決め、2023年冬開業を目指し企画を詰めていくことに。

  • 初期投資2.4億円の予算で、総務省のローカル10000の助成金と地銀・日本政策金融公庫からの融資で調達をすることを想定に調達を開始。年末時点でローカル10000は資料を細かく詰め(村全体の計画も役場の代わりにこちらで作成しました) 自治体および総務省事務局と最終まで握れました。しかし、地銀・公庫の融資可能金額が5,000万円ほど予算に足りませんでした。

  • 自治体の予算枠確保の関係で1ヶ月で残り5,000万円を集めなければならない状況に。隣接県地銀含め5行ほどに当たるも融資確保ができませんでした。また工務店見積もりが当初想定を遥かに上回っており建築計画自体も見直しが必要に。この時点で一度計画をバラし、2023年冬開業は断念。スケジュールを延ばすことに。こうして第1回調達は失敗に終わりました。
    設計事務所・役場・オーナーには事情を説明し頭を下げました。野沢温泉事業の出鼻でつまずいてしまい正直かなり苦しい時期でした。。

立て直し~明るい兆し: 2023年1月-6月

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