不自由なシェアハウスで得た自由 シェアハウスの原点「モテアマス三軒茶屋8周年に寄せて」
僕は、現在シェアハウスを15棟運営してまして、人に任せているところもあれば、
自分で運営しているところもあります。
2015年から、始めたシェアハウス。モテアマスは2棟目でした。
モテアマスきっかけで、シェアハウスを拡大できた、と言っても過言ではありません。
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僕は普段、インターネット上で、モテアマスのことはあまり語りません。
モテアマスのことを嫌いな訳ではなく、
「僕がやっていると言うより住民自治で運営しているから」
です。
住民がそれぞれ自治でやってるのに、
「僕がやってるぞ」
みたいな感じだと、やっぱりつまらないですよね。
3歳から39歳まで住んでいて、管理されるのではなく、
住民が自治で運営するシェアハウス
それがモテアマスです。
シェアハウスの一部の界隈では、モテアマスは有名です。
「ぶっ飛んだ、やばいシェアハウスがあるぞ」
そんなイメージです。
僕の普段の事業からはかけ離れているので、あまり言いたくはない、と言うのも本音だったりします。
(社員にも来てほしくありません。)
しかし、住民自治でこれだけ面白いシェアハウスもなかなか無いのかな、
と思っています。
僕がシェアハウス、
そしてシェアハウスの運営を好きになったきっかけだったりします。
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そんなモテアマス、なんと来年秋で終わることになりました。
正直、永遠に続くものだと思ってた人もいたんじゃないでしょうか。
突然ですが、終わります。
で、ここまで読んだ人は、周りの人にネタバレしないでくださいね。
代わりに
「びっくりするから読んでみて」
と、周りの人におすすめしてください。
(あるいは、秘密を守れないモテアマスの民たちは、もうすでにネタバレしちゃってるかもしれないですし、先にカズキタさんのノートを読んじゃってる可能性、大いにありそう)
「なんで?」
という部分、気になると思うんですが、純粋に契約満了です。
びっくりしたみんな、ごめんね。
細かい部分については、記事の内容読んで、想像してみてください。
本当は、2021年には終わる予定でした。
2016年から5年間の契約でした。
それが延び、2024年まで3年間延びました。
具体的には、2024年10月末が最後です。
来年9月末あたりから片付けを始めようと思います。
多分、こんなやばいシェアハウスは僕では二度と作れないと思うので、備忘録として、どうやってできたか、最初の話を少しします。
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目次
モテアマスについて、書いたら、愛のあまり、6500字になっちゃった。まだまだ書けそう。
一応目次、置いときます。
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モテアマスは、無計画で始まった
モテアマスは、知り合いの不動産会社役員の方から
「三軒茶屋に社員寮があって、やらない?」
と言われるところからスタートします。
当時、世田谷で女性専用のシェアハウスをやっていた僕は、
「15部屋もあるシェアハウス、自分でできるだろうか」
とあまり自信はありませんでした。
当時の女性専用シェアハウス、トラブル満載だったので、
「シェアハウス運営はできるならもうやりたくない」
と思っていました。
具体的には、
「虫が出るから退治してください」
「隣の方の目覚ましがうるさいです」
などの連絡が深夜に来てました。
大家さんから管理を任されていたので、適当に流すわけにもいかず、
「しっかりしよう」
とし過ぎたため、めちゃくちゃ疲れてました。
しかし、三軒茶屋の社員寮は、大家さんから
「ある程度、好きにしていいから」
と言われ、三茶自体も立地は良かったので、
「それなら。」
と思い、アイディアを募るところからはじめました。
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アイディアソンには、確か20名くらい人が来ました。
老若男女。
みんなが、この物件をどう使ったら面白いか、話してました。
・英語の喋れるシェアハウス
・多世代で住めるシェアハウス
・ロボット付きのシェアハウス
などなど
面白いアイディアはたくさん出ました。
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元社員寮がクレイジーハウスになったわけ
モテアマスは、カズキタさんと武田さん、僕の三人で始まりました。
カズキタさんを知らない人のために、他己紹介をしておくと、
「ふざけた企画を真面目にやる人」
です。
モテアマスを一日ラブホテルにしたり
リビングのものを全部持っていける「盗めるシェアハウス展」
牛と話せるカレー
インドからの刺客
など、プロジェクト名は色々あるんですが、正直中身はよくわかりません。
割と初対面から「とんでもないことを言う人だなあ」と思っていました。
そんなカズキタさんですが、アイディアソンにきた人の中で唯一、
「シェアハウスを住みながら運営したい」
と言っていました。
なんなら次に会った時には、今の賃貸を解約してました。
「ぶっ飛んでるなあ」
と思いつつ、
「武田さんも運営に入ってくれて、スタートするのでいいか」
と思い、シェアハウスがスタートしました。
武田さんは、カズキタさんの同級生であり、良き理解者であり、そして良識人でした。そして、三人でシェアハウスをスタートしました。
そんな良識人の武田さんは、入居一年目で結婚しました。
退去の危機です、いきなり不安になりました。
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結局、武田さんは会社員で、奥さんは離島に行ったため、結婚生活は、遠距離。
モテアマスは退去するまで3年間、手伝ってもらいました。
その間になんとか形になりました。セーフ。
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最初は、喧嘩ばっかりだった。
モテアマスがスタートした頃、それこそ、まだ名前も決まっていなかった頃、(「三茶のクレイジーハウス」とか呼ばれてました。)運営サイドの喧嘩が多かったです。
正確には、お互い大人なので、喧嘩する、というより、意見が食い違うことが多かったです。
大家さんに家賃を払っている僕としては、
「早く入居者に家賃を払ってもらい、満室にしたい」
と思ってましたし、カズキタさんとしては、
「いろんな人を呼んで面白い家にしたい」
と思っていました。
特に、シェアハウス界隈では、こういった対立って多いように思います。
僕らも例外ではありませんでした。
最初の頃、カズキタさんはどんどん人を呼び、毎週お祭りみたいでした。
当時、僕が思っていたことは
「こんなに空室ばかりなのに、水道光熱費ばっかり上がっちゃうな」
ということでした。
また、カズキタさんは
「ここを直したい」「リフォームしたい」
と言われてて、今となってはリフォームした方がよかった部分は多いのですが、
当時は、
「お金出ていくばかりで大丈夫なんだろうか」
と思っていました。
今思い返すと、めっちゃケチな野郎ですね、すみません。
そんな僕の、意見が変わったのは、一年目の春、住みはじめて半年経った頃でした。
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床の張り替え、そして天井の照明
床の張り替えと天井照明の工事を行い、元々事務所っぽい印象が一気に払拭されました。
(照明の工事費用は大家さんが出してくれました)
雰囲気はとても良くなりました。
シェアハウスの運営されている方にお伝えしたいのは、
最低限の工事をするとめっちゃ雰囲気良くなるよ、ということです。
当たり前っちゃ当たり前なんですが、大事です。
でも、初めてのシェアハウスで、
投資としてリスクとる場合って不安だと思います。
大丈夫。床と照明は裏切りません。
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モテアマスで印象的なことはたくさんありますが、僕がモテアマスに対して持つ印象は、寛容さ、です。
僕自身、モテアマスに関わらなければ、
ここまで他者に寛容になれなかったと思います。
僕がモテアマスに関わるようになったのは、僕自身が起業したての頃だったので、ぶっちゃけ、全然お金はなかったです。
どちらかというと日々の運営にいっぱいいっぱいでした。
メインの事業に人件費がかかり、預貯金数百円、となったことも多々ありました。
「いいよ、今日は奢るよ」
「ビール買ってきたから、一緒に飲もう」
など、気前のいい人たちに恵まれ、毎日生活してました。
まあ、みんなめちゃくちゃ稼いでたんで、日々のお酒代なんて多分大したことなかったのですが。
また、カズキタさんもすごく寛容なので、モテアマスの居心地の良さ、気前の良さは、カズキタさんから出ているようにも思います。
通常だと断られるようなことも、
「いいね、やってみよう」
とやってみることが多いです。
(もちろん、それで怒られることもあります。)
勉強部屋は何故か嵩上げし、中に人体模型が埋まってますし、空いてる屋外スペースにテント張って住んでる人もいました。部屋に単管を組み、ロフトを作った人もいました。モテアマスを1日ラブホテルに見立てたこともありました。
多分、読んでて意味がわからないと思うんですが、僕自身も、書いてて意味が分かりません。
とにかくやってみよう、を応援される家だと感じます。
一つ印象的なエピソードを挙げるなら、モテアマスに正式にドミトリーが生まれた日です。
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モテアマスにドミトリーが生まれた日
元々、モテアマスは15部屋の元社員寮で、全て個室で貸してました。
一部屋5畳あるかどうか、の大きさなので、一人暮らしから引っ越してくると狭く感じます。
リビングは別であるので、「ほぼ1LDK」と言いながらみんな住んでました。
で、そんな狭い個室なんですが、立地もいいので、水道光熱費を合わせると、まあまあな家賃になります。
(それでもすぐ近くのシェアハウスに比べると家賃は1万円以上安いです。)
そこにフリーランスになりたての人が
「お金は無い、でも住みたい」
という話をしてきました。
普通なら意味がわからないのでお断りだと思うのですが、カズキタさんは
「誰か1人連れてくるならいいよ」
と答え、そのフリーランスは大学の同級生を連れてきて、無事入居しました。
ちなみにその同級生、僕の記憶が正しければ一度も内見しなかった気がします。
カズキタさんはその後も、お金が無い人もあの手この手で入居させています。
お金がない人には仕事を斡旋したり、
他に家があるのにモテアマスに住みたい人は二拠点プランを提供しています。
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宿泊?どうぞどうぞ
普通の家なら断られること、だと、例えばモテアマスはよく知らない人が泊まりに来ます。
正確には、住民の知り合いなんですが、毎日、住民じゃない人が泊まりに来ます。
自己紹介を毎日やってる月も全然あります。
知らないやつに
「お前、誰?」
って言われることもあります。
お前が誰だよ。
で、普通のシェアハウスなら、断られると思います。
というか、満室なら泊まる部屋もないので泊まれません。
モテアマスではあの手この手で、住民を寄せて、部屋や空きベットを作っています。
駐車場にモバイルハウスを置いたり、空きスペースにテントを張ったりしてました。めちゃくちゃですね。
あと、二拠点住民を積極的に入れることにより、理論上は満室、実態は空室を作り出すことが可能となりました。イマジナリー空き室です。
満室なのに人が泊まれる状態ができています。
それでもたまにリビングまで人が溢れがちで、リビングのソファで寝てたりします。
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フリーライダーはさようなら
で、宿泊者なのですが、2,3泊なら、あまり厳しく言わず、静観してます。
が、月に何度も泊まる、何ヶ月も定期的に泊まる、などある場合は、
定期的に、僕がキレ散らかし、家賃をもらってます。
だって、住民にリスペクトがないじゃないですか。
逆にリスペクトがあるなら、宿泊もどうぞ、という感じです。
他のシェアハウスを運営している人が無償で泊めてくれたり、たくさんビールを持ってきてくれたり、などです。
(それでも断られるならコミュニケーションの問題かと。)
ちなみに、こっそり彼女を連れ込み住ませてた人、退去させたこともありました。
もっと堂々としてほしい。し、コミュニティに興味を持って欲しい。
そして、事前に教えて欲しい。家賃をもらうので。
フリーライダーはお断り。
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あ、ちなみに宿泊料をとる場合は、住宅宿泊業(いわゆる民泊ですね)に引っかかるので、うちは、お金とってないです。無償です。
ただ、実費分の請求は良いそうです。
モテアマスは数が多く、面倒なのでとってないです。
代わりに、変な人がくるのは嫌なので、基本的に住民の紹介で。
やばいやつが宿泊したら、その住民が責任持って追い返したりします。
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「無償で泊まっていいよ」の理由
宿泊を無償で受け入れるメリットは、結構あります。
わかりやすいところで言うと、宿泊した人が住民になることも多々あるからです。
ぜひ住民になってほしい。
ちなみに、つまらない人やコミュニティに合わない人は、
宿泊にきても、住民に誘われません。
次に、宿泊者を受け入れてる理由は、住民が喜ぶから。
運営的には、人の出入りがあると、まあ、大変なこともあるんですが、それでも日常が非日常になるので、面白いです。
僕も、モテアマスに住んだから、たくさんの人と友達になり、そこから一緒にシェアハウスを運営する人や、他のシェアハウスの住民が見つかりました。
ほぼネットワークビジネスですね。楽しいねずみ講です。
出逢いに感謝、可能性は無限大。
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出会い系シェアハウス、モテアマス
モテアマスは出会いが多いシェアハウスだと思います。
なんだかんだ、毎年結婚してる人がいます。
住民同士で結婚した人は4組、
来客者と結婚した人は3組。
冒頭の武田さんもモテアマス婚でした。
モテアマスに入居する前から2人は出会ってましたが、いろんなきっかけを経て結婚しました。
ちなみに、僕は大家としてスピーチを頼まれましたが、めちゃくちゃ噛んじゃったんで、もう一回スピーチやりたいです。
人生初スピーチでした。
すみません。
そして、みんなおめでとう。この場を借りて。
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無職量産ハウス、モテアマス
モテアマスに住むと、会社辞める人が多いです。
びっくりするくらい多かったです。
最近は、無職の人もめちゃくちゃ多いです。
なんで家賃払えているのか謎ですが、住民自身でも家賃払えてるのが謎のようです。
知ってましたか?
年金って払わなければ、封筒の色が変わっていき、
最後には赤になるんですよ。
住民の郵便で知りました。
—
そんなお金に困った住民は、
住民同士で仕事を振り合ってます。
すごくいい。
カズキタさんは仕事を振り過ぎて、
ついには会社を作りました。
あと、アルバイトを紹介していたりもします。
カズキタさんが紹介した住民、アルバイトを飛んで、カズキタさんにもクレーム来てました。
なんだか大変そうです。
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僕は、かなりのコミュ障です。
パーティは好きですが、初対面は苦手です。
知ってる人と酒を飲みたい派です。
でも、コミュ障の方がシェアハウスの運営って向いてると思います。
コミュニケーションを取れない人の気持ちがわかるからです。
—
色々書きましたが、全くどうやって納めたらいいかわからなくなってきました。
が、そろそろお酒を飲みたいので、この辺りで締めようかと思います。
最後によく聞かれることですが、
「人と住んで大変じゃないの?トラブルないの?」
ということについて書こうと思います。
—
トラブルあってのシェアハウス
シェアハウスの
「トラブルは、あって当たり前。」
だと思います。
特にモテアマスは関わる人が多いです。
大家さんや近隣の方に謝罪に行ったのも、一度や二度ではありません。
また、住民同士のトラブルもあります。
「〇〇が無くなった」
「うるさい」
「こういうことはやめて欲しい」
など。
でも、トラブルはトラブルと感じる人がいて、
初めてトラブルになるのだと思います。
きちんとコミュニケーションを取れていれば問題にならないことも多々あります。
モテアマスでは、基本的にリビングに置いてあるものはなくなります。
カズキタさんはモテアマスを「三茶のインド」と呼んでます。
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また、誰がトラブルを起こすか、も大事。
片付けはしないけど、みんなにめちゃくちゃ料理を振る舞う人
口うるさいけど、食品をめっちゃ買ってくる人
イベント開いて住民希望者集めてくれる人
ゴミ捨ててくれる人
など。
僕も、片付けほとんどできませんが、ビールを振る舞ってるので、
許してもらってる、はずです。(だめかも)
好きな言葉に
「奪い合えばたらず、分け合えば余る」
というものがあります。
善行を奪い合い、資源を分け合えたら、
それはきっとすごく楽しいシェアハウスなんだろうなと思っています。
モテアマス、最後の年も
迷惑かけあって生きていきましょう。