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零時のペンダント~episode14~
瑛紗は早朝の公園に立っていた。昨日の夢の中で玲から聞いた「鍵を見つける」という言葉が、彼女を突き動かしていた。
瑛紗:(○○くんのことを思い出すためには、この鍵を見つける必要がある。私は何があっても諦めない……!)
ふと、冷たい風が吹き抜けた瞬間、公園の中心にある時計台が微かに光り始めた。
瑛紗:……あれは?
玲の声が、突然どこからともなく響く。
玲:その時計台が、君の心の中に眠る“鍵”へと繋がる道だよ。
瑛紗:玲さん!これが鍵なんですね?
玲:そうだ。ただし、この道は一度開いたら戻れない。裂け目の力が再び動き出す可能性が高いからね。それでも進む覚悟はある?
瑛紗は迷いのない瞳で頷く。
瑛紗:はい、進みます。私は、○○くんとの記憶を取り戻したい。
玲:いい返事だね。では、この時計台の扉を押してごらん。
瑛紗が時計台に近づき、恐る恐る扉を押すと、眩い光が彼女を包み込んだ。
目を開けると、瑛紗は真っ白な空間に立っていた。周囲には幾つもの扉が並んでおり、それぞれに違う色の光が灯っている。
玲:これが君の記憶の断片だ。それぞれの扉に、君と○○の関わりの記憶が収められている。
瑛紗:全部……○○くんとの記憶なんですか?
玲:ああ。でも、気をつけて。一つの扉を開くごとに、裂け目の力が強まる。最後の扉までたどり着けるかどうかは、君の意志次第だ。
瑛紗は深く息を吸い、一番近くの扉に手をかけた。
扉を開くと、そこには中学時代の瑛紗と○○の姿があった。
○○:瑛紗、これあげるよ。
瑛紗(中学生):え?これって……ペンダント?
○○:そう。俺、こういうの作るの好きなんだ。瑛紗に似合うと思って。
瑛紗(中学生):ありがとう……すごく綺麗。大事にするね。
瑛紗:これ……覚えてる!あのペンダント、私、今でも持ってる!
記憶が鮮明になると同時に、空間が揺れ始めた。
玲:裂け目が反応している……。瑛紗、次の扉へ進んで。
瑛紗は決意を胸に、次の扉へと向かった。
次の扉を開いた瞬間、瑛紗は激しい風に吹き飛ばされそうになった。その中で、不気味な影のような存在が現れる。
影:記憶を取り戻すな……お前が進むほど、この世界は壊れる……!
瑛紗:あなたは何者!?
影:裂け目の守護者だ……お前が“鍵”として覚醒すれば、全てが終わる。
瑛紗:そんなこと信じない!私は進む!
影が瑛紗に襲いかかる。しかし、その瞬間、瑛紗の手のひらから眩い光が放たれ、影を弾き飛ばした。
瑛紗:(これが……私の力?)
玲:瑛紗、その光は君自身の意志の強さだ。その力で道を切り開いて。
瑛紗は再び扉に向かい、勇気を振り絞って進む。
全ての扉を通過した先に、最後の大きな扉が立ちはだかっていた。扉には、ペンダントと同じ模様が刻まれている。
瑛紗:(この扉を開けば……○○くんとの記憶が全部戻る……!)
瑛紗が扉に手を触れた瞬間、玲の声が再び響いた。
玲:この扉を開くと、君の記憶だけでなく、裂け目そのものも完全に目覚める。それでも、覚悟はできている?
瑛紗:はい。私はどんな結果になっても、○○くんと過ごした日々を取り戻したい。
扉を押し開くと、眩い光とともに、○○の声が聞こえた。
○○:瑛紗……やっと、会えたね。
瑛紗:○○くん……!
涙がこぼれる瑛紗の目の前に、○○の姿がはっきりと浮かび上がる。