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この命ある限り

教会の扉がゆっくりと開かれ、純白のドレスに身を包んだ彼女、友香が一歩一歩、ヴァージンロードを歩いていく。会場に集まったゲストたちがその姿を見つめ、微笑む。彼女の隣には、涙ぐむ父親の姿があった。友香は小さな頃からの夢だったこの瞬間に、胸がいっぱいになるのを感じていた。

新郎の○○は、祭壇の前で彼女の姿を見つめる。彼女の姿は、映画のワンシーンのように美しかった。そこに音楽が重なり始める。

映像が流れ始める。ムービーの最初に映るのは、二人が出会った日の映像だ。

○○:友香、覚えてる? あの時、初めて君と出会った時、僕はまさかこんな風に君と結ばれるなんて想像もしていなかった。

友香は笑顔を浮かべ、その映像を見つめている。出会いの場所は、友人の紹介で訪れたカフェ。二人とも、最初はお互いに意識することなく、ただ普通の会話をしていた。それでも、何か特別なものを感じたのは、初めて目が合った瞬間だった。

次のシーンでは、二人の思い出が次々と映し出される。初めてのデート、何気ない公園での散歩、些細な喧嘩の後に仲直りした夜。○○が映像を見つめながら呟く。

○○:あの夜、君が泣いていたこと、今でも胸が痛むよ。僕が些細なことで怒ってしまって、本当にごめんね。

映像の中では、二人が手を繋ぎ直すシーンが映る。彼女の涙を拭いながら、○○はそっと「ごめんね」と言った。すると、友香は小さく頷き、笑顔を見せた。

「ほら、ここで君が笑うシーンが見どころなんだからさ」

この歌詞が流れると同時に、二人が笑い合う瞬間が次々と映し出される。友香の笑顔は、どんなに暗い日でも、彼にとっての光だった。どんなに疲れていても、彼女の笑顔を見れば、すべてが報われるような気がした。

映像はさらに進み、プロポーズのシーンが映し出される。○○は緊張しながら、友香に指輪を差し出した。

○○:友香、僕と一緒に、これからもずっと過ごしてくれないか?

友香は一瞬驚いたような顔をした後、涙を浮かべて頷いた。その瞬間、会場中から拍手が湧き上がり、映像の中の二人は幸せそうに抱き合った。

映像の最後に映し出されたのは、二人が新しい家に引っ越した日だった。引っ越しのダンボールに囲まれながら、○○は笑っていた。

○○:まだ何も整ってないけど、これから二人で作っていくんだね。

友香は「そうだね」と笑顔で答えた。その後、二人は一緒にダンボールを開けたり、家具を組み立てたりしていた。その何気ない日常が、二人にとっては最高の思い出となった。

「苗字がひとつになった日も、何ひとつ代わり映えのない日も」

歌詞の通り、結婚生活は決して特別なことばかりではなかった。仕事で疲れて帰った日もあれば、時には小さなすれ違いで口論になることもあった。それでも、二人はいつもお互いの手を離さなかった。

映像がクライマックスに差し掛かると、会場のスクリーンには友香と○○の未来の家族が映し出された。まだ見ぬ未来、二人の子供が笑顔で駆け回る姿。友香はその映像を見て、涙をこぼした。

○○:これからもずっと、君と一緒にいられることが僕の幸せなんだ。

最後の歌詞が流れる。

「エンドロールなんてもん作りたくもないから」

○○:僕たちの映画は、まだまだ終わらない。これからも君と一緒に、ずっと撮影を続けていこう。

彼の言葉に、友香は微笑みながら頷いた。そして、二人は見つめ合い、キスを交わす。

教会の中で、二人は誓いのキスを交わす。会場の拍手が鳴り響く中、彼らの物語は新たな章に入った。涙を浮かべながらも、笑顔を見せる友香の姿は、この映画の最高のシーンだった。

「さあ、これから生まれる名場面を探しにいこうよ」

○○:これからも、ずっと一緒にいようね。君が主演の僕の映画は、まだ始まったばかりだから。

友香:うん、ずっと一緒に。

エンドロールの代わりに流れるのは、二人が出会ってから今日までのたくさんの写真。どれも何気ない日々の一コマだが、その一枚一枚が彼らの愛の証だ。映像はフィルムのように永遠に続き、これからも二人の物語が刻まれていく。

映像が静かにフェードアウトし、会場は一瞬の静寂に包まれる。だがその沈黙はすぐに割れるような拍手と歓声で満たされる。友香は涙を拭い、○○と手を取り合って微笑んでいた。二人の瞳には、新たな決意と、これからの未来に対する期待が輝いている。

その後の披露宴は、和やかに進んでいく。友人や家族からの祝福の言葉、楽しい余興が続き、会場は笑顔で満ち溢れていた。

友香は一度控室に戻り、もう一度鏡の前で自分の姿を見つめる。少し涙で乱れたメイクを直しながら、ふと、今までのことを振り返っていた。

ドレスの裾を整えながら、友香は○○とのこれまでの道のりを思い出す。些細なことで喧嘩をした日々、仕事で忙しくすれ違った時期、そして互いに励まし合い、支え合いながら過ごした時間。どの瞬間も、今では大切な思い出だ。

友香は少し笑って呟く。

友香:なんだか、本当に映画みたいな人生だね。

○○が控室にそっと入ってくる。

○○:どうした?急に静かになったから心配になって。

友香:ちょっと、これまでのことを思い出してたの。ただ、それだけ。

○○は彼女の手を取り、優しく握り返す。

○○:大丈夫。これからの僕たちの映画は、もっと素敵なシーンが増えるよ。

友香:そうだね。

二人は微笑み合い、手を繋いで再び披露宴の会場へと戻っていく。

披露宴もクライマックスに差し掛かり、二人は最後のスピーチを行うことに。○○がマイクを手に取り、会場を見渡す。

○○:今日は、僕たちのためにたくさんの方々が集まってくださり、本当にありがとうございます。この場に立って、改めて思うんです。僕たちは、一人ではここまで来られなかった。友人や家族、そして何より、隣にいる友香のおかげで、僕たちはここにいます。

会場がしんと静まり返り、○○の言葉に耳を傾けている。友香もじっと彼を見つめ、涙ぐんでいた。

○○:これからも、僕たち二人の映画を作り続けていきます。その映画には、まだまだたくさんのシーンが待っている。酸いも甘いも、全部一緒に味わっていこうね。

友香は頷き、マイクを受け取る。

友香:○○くん、私はあなたと一緒にいると、何でもない日常が特別に思えるんだ。あなたと一緒に笑って、泣いて、過ごしていきたい。これからも、どうか私の隣にいてください。

二人は手を取り合い、会場中から再び大きな拍手が送られる。ゲストたちは笑顔で、二人の幸せを心から祝福している。

結婚式の数ヶ月後、二人は新しい生活を始めていた。小さなマンションの一室だが、二人にとっては夢のような場所だった。○○が仕事から帰ってくると、友香がキッチンで料理をしていた。

○○:ただいま。今日は何作ってるの?

友香は振り返り、笑顔を見せる。

友香:今日はあなたの好きなハンバーグ。お疲れさま。

○○は彼女の背中にそっと手を回し、キスをする。

○○:ありがとう。君の料理があるから、毎日頑張れるんだよ。

二人は笑い合い、テーブルにつく。些細な日常が、二人にとっては一番の幸せだった。

数年が経ち、二人には新しい家族が増えていた。小さな赤ちゃんが、友香の腕の中ですやすやと眠っている。

○○はその光景を見て、感慨深げに微笑む。

○○:やっぱり君の笑顔が、一番だね。どんな暗い日も、その笑顔があれば乗り越えられる気がするよ。

友香は赤ちゃんを見ながら、静かに微笑む。

友香:この子にも、たくさんの思い出を作ってあげたいね。私たちの映画、どんどんキャストが増えていくね。

○○は頷き、友香の肩を抱く。

○○:これからも、僕たちの物語を一緒に紡いでいこう。フィルムがなくなるその日まで。

二人は年を重ね、やがて老いていく。だけど、○○は変わらず、友香のことを見つめ続けていた。ある日、庭先で二人は静かに座りながら、これまでの思い出を語り合っていた。

○○:振り返ると、あっという間だったな。でも、一つ一つが本当に特別なシーンだったよ。

友香:うん、本当に。たくさんの名場面があったね。

○○は微笑んで、友香の手をぎゅっと握りしめる。

○○:エンドロールなんて、まだまだ作りたくない。君と一緒にいる限り、僕たちの映画は終わらない。

友香:ずっと一緒に、撮影を続けようね。

二人の視線は、遠くの夕焼けに向けられる。その光景は、まるで一生分のフィルムのように、静かに刻まれていく。

音楽が再び流れ出し、歌詞が響き渡る。「撮影を続けよう、この命ある限り」という最後のフレーズが、会場を優しく包み込む。

披露宴は終わりに近づいていたが、二人の映画はまだ始まったばかり。これからも、二人の物語は続いていく。115万キロのフィルムが尽きるその日まで、彼らは一緒に笑い、泣き、愛し合いながら過ごしていくだろう。

エンドロールはない。なぜなら、彼らの物語はまだまだ続いているのだから。


Inspired by “115万キロのフィルム”

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