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明日、もう一度君に…⑤
東京の夜空に煌めく星々が、街の喧騒を静かに見下ろしていた。○○の初めてのワンマンライブが行われるライブハウスは、期待に胸を膨らませた観客で溢れかえっている。その中に瞳月の姿もあった。彼の歌声を聞くために、そして彼がどんな未来を描いているのかを知るために。
瞳月:○○、どれだけ成長したんやろな。
小さく呟いたその言葉に、隣で聞いていた友人の谷口愛季が微笑む。
愛季:ずっと追いかけてきた夢、きっと最高の形で見せてくれるよ。
瞳月は頷きながら、心の奥で抑えきれない期待と緊張を抱えていた。二人が別れてから月日が流れ、それぞれの道を歩んできた。それでも彼女にとって○○は特別な存在であり続けた。
ライブが始まり、会場は熱気に包まれた。次々と披露される楽曲に、観客たちは酔いしれている。そして、最後の曲が近づくと、○○がマイクを握り直し、静かに語り始めた。
○○:この曲は、僕にとって大切な人に向けた曲です。僕の夢を追うために支えてくれた人、そして今でも心の中でつながっている人に。
会場が一瞬静まり返り、○○はギターを手に取り、優しいメロディを奏で始めた。その音色に続くように、彼の歌声が会場全体に響き渡る。
空は青く澄み渡り
海を目指して歩く
怖いものなんてない
僕らはもう一人じゃない
その歌声は、まるで直接語りかけてくるようだった。瞳月は思わず涙をこぼしそうになる。○○が紡ぐ言葉一つ一つに、彼のこれまでの努力や想いが凝縮されているのを感じた。
大切な何かが壊れたあの夜に
僕は君を探して一人で歩いていた
ペルセウス座流星群
君も見てただろうか
歌詞が進むにつれて、瞳月は過去の記憶を辿るようだった。二人で過ごした日々、共に見上げた星空、そして別れの日。すべてが瞼の裏で鮮明に蘇る。
彼が言う「大切な何か」とは、自分たちのことだったのかもしれない。その夜、壊れてしまったと思っていた絆が、今また新たな形で紡がれようとしている。
「方法」という悪魔にとり憑かれないで
「目的」という大事なものを思い出して
○○の歌詞は、自分たちがこれまで抱えてきた葛藤を象徴しているように感じた。どうすればよかったのか、何を選ぶべきだったのか、迷い続けた日々。しかし、○○は「目的」を見失わなかった。それは瞳月への想いと、音楽を通じて伝えたい何かだったのだろう。
空は青く澄み渡り
海を目指して歩く
怖くても大丈夫
僕らはもう一人じゃない
この歌詞に、瞳月は○○の強い決意を感じた。彼は一人ではなく、いつでも自分を信じてくれる人がいることを知っている。そして、それは自分も同じだ。
○○が最後の音を奏で終えると、会場は静寂に包まれ、次の瞬間、割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。
ライブが終わり、観客たちが帰路に着く中、瞳月は会場の出口で立ち止まった。すると、○○がその姿を見つけて近づいてきた。
○○:来てくれてたんだな。ありがとう。
彼の表情は、どこかホッとしたように見えた。
瞳月:当たり前やん。絶対見に行くって約束したやろ?
二人は自然と笑顔を交わし、互いに見つめ合った。
○○:どうだった?俺の作った曲。
瞳月:最高やった。正直、涙止まらんかったもん。
○○はその言葉に安堵しながらも、どこか誇らしげに笑った。
○○:君のために書いたんだ。君に届けば、それでいい。
その言葉に、瞳月の胸は再び熱くなった。
二人は東京の夜空を見上げながら、これからの話をゆっくりと語り合った。それぞれの夢を追いかける中でも、こうしてまた再会できたことの奇跡を感じながら。
○○:俺たちはこれからも遠く離れることがあるかもしれない。でも、いつだって君のことを想ってる。それだけは忘れないでほしい。
瞳月:あんたの歌聴いたら、すぐ分かるわ。私も、ずっと応援しとるから。
二人は静かに手を取り合い、また新たな一歩を踏み出した。それは、これまでとは違う未来への始まりだった。
「明日、もう一度君に…」
そう誓い合いながら、二人の物語は新たなステージへと続いていく。