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秋風ときみの隣
言葉遣いがおかしな部分もあるかもしれません。
その時はご指摘ください🙇♀️
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小坂菜緒は、教室の窓際に座って外をぼんやりと眺めていた。10月の涼しい風がカーテンを揺らし、心地よい秋の気配を感じさせる。隣の席には金村美玖がいて、スマホを片手に何かを検索している様子だ。
菜緒:「なぁ、美玖、今日は何しよっか?」
美玖:「うーん、どうしようかな。映画とか見に行きたいけど、宿題も多いしなぁ…」
菜緒:「せやなぁ。でも、こんな天気やと外に出るんも悪くないで?」
菜緒の軽い関西弁が美玖を和ませる。ふたりは本当に仲が良く、どんなに忙しい日でも一緒に過ごす時間を大切にしていた。教室の後ろからふわふわした歩き方で河田陽菜が近づいてくる。
陽菜:「おはよう、菜緒、美玖~」
菜緒:「おはよ、陽菜。今日は元気やなぁ」
陽菜:「うん!天気がいいからかなぁ~」
いつもどこか夢見がちな河田陽菜。その無邪気な笑顔に、菜緒も美玖もつられて笑ってしまう。
その時、ドアの方から〇〇が入ってきた。彼は同じクラスで、菜緒とは少しずつ話すようになったばかりだ。特別仲がいいわけではないが、最近気になる存在になっていた。
〇〇:「おはよう、小坂。今日は…その、調子どう?」
菜緒:「あ、〇〇くん。おはよう。うん、元気やで。ありがとう」
少し照れくさそうに言葉を交わすふたり。その様子を見ていた美玖は、何かを察してくすっと笑う。
美玖:「ふたりとも、最近よく話してるね~?」
菜緒:「な、なんやの!べつに普通やん…」
美玖:「ふふ、そうかな~?」
その時、高橋未来虹が駆け足で教室に入ってきた。彼女は2年生で、小坂菜緒に憧れている後輩だ。未来虹は少し息を切らしながら菜緒に声をかける。
未来虹:「菜緒さん!おはようございます!」
菜緒:「未来虹、おはよう。元気そうやな」
未来虹:「はい!今日は部活が早く終わるので、また先輩と一緒に練習できたら嬉しいです!」
菜緒:「うん、またよろしくな」
未来虹は菜緒に強い憧れを抱いていたが、それはただの尊敬以上の気持ちかもしれない。美玖と未来虹、ふたりの視線が一瞬交錯する。どちらも菜緒が大好きだが、その思いの形は少しずつ異なっているようだった。
その日の放課後、菜緒は校舎の裏で〇〇とふたりきりで話していた。彼が急に「少し話がある」と声をかけてきたからだ。
〇〇:「実は、ずっと気になってたんだけど、君と…もっと話したいと思ってたんだ」
菜緒:「え…?」
〇〇:「クラスではなかなか話す機会がなかったけど、君と一緒にいると、何か特別な感じがするんだ」
菜緒は驚きながらも、〇〇の真剣な表情を見て、心が少しずつ温かくなっていくのを感じた。
菜緒:「〇〇くん…私も、同じ気持ちやと思う。最近、君のこと気になってた」
〇〇:「本当?それなら、もっと仲良くなりたいな…」
菜緒:「うん、そうやな。これからも、よろしくな」
ふたりはお互いの気持ちを確かめ合い、少しぎこちない笑顔を浮かべながら歩き出した。その姿を見て、校舎の窓から美玖と未来虹がそっとふたりを見守っていた。
美玖:「ふふ、菜緒、頑張ってるね」
未来虹:「そうですね…でも、ちょっと寂しいな」
美玖:「私たちには私たちの場所があるよ。ね、未来虹」
未来虹:「…はい」
数日後、〇〇は勇気を出して、菜緒を放課後デートに誘った。ドキドキしながら返事を待っていたが、彼女は少し驚いた顔をしつつも、すぐに微笑んで答えた。
菜緒:「ええよ、行こか」
その日、ふたりは近くの公園へと足を運んだ。紅葉が美しく色づいており、静かな秋の風が心地よく吹いていた。
〇〇:「ここ、いい場所だね」
菜緒:「うん、私もこの季節が一番好きやねん。なんか、気持ちが落ち着く」
〇〇は、菜緒の柔らかな笑顔に見惚れていた。そして、どうしても自分の想いを伝えたくなった。
〇〇:「菜緒…」
彼はふと彼女の手を取り、ぎゅっと握った。菜緒は少し驚きながらも、その手を離さなかった。
菜緒:「どうしたん?」
〇〇:「やっぱり、菜緒のことが好きなんだ。ずっと伝えたかったけど、なかなか言えなくて」
菜緒の心臓は早鐘のように鳴り始めたが、落ち着いた口調で答えた。
菜緒:「私も…〇〇くんのこと、好きやで」
〇〇はその答えに驚き、そして嬉しそうに微笑んだ。
ふたりはそのまま手をつないで、公園を歩き続けた。
その日から、菜緒と〇〇の距離は一気に縮まり、ふたりの関係はクラスメイトから特別なものへと変わっていった。
菜緒は、〇〇との新しい関係に幸せを感じつつも、どこかで美玖や未来虹のことを気にしていた。ふたりとも、大切な友達であり、特別な存在だ。けれど、少しずつ違う道を歩み始めている自分に、何か違和感を覚えていた。
放課後、菜緒は美玖に相談することにした。
菜緒:「なぁ、美玖…最近、私ちょっと変やと思う?」
美玖:「ううん、全然。むしろ、すごく幸せそうに見えるよ。〇〇くんとも上手くいってるんでしょ?」
菜緒:「うん、まぁ…でも、なんか美玖との時間が減ってしまうんちゃうかって思ってな」
美玖はその言葉に優しく微笑んだ。
美玖:「大丈夫だよ、菜緒。私たちはずっと友達だから、変わることなんてないよ」
菜緒はその言葉に少し安心し、改めて自分にとっての大切な人々の存在に気づくのだった。