別れのステージ、始まりの光
言葉遣いがおかしな部分もあるかもしれません。
その時はご指摘ください🙇♀️
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暗いステージ上、眩いばかりのスポットライトに照らされて、森田ひかるは静かに立っていた。
彼女の衣装は赤と金を基調とし、しっかりと装飾された美しいドレスが揺れている。
ステージの奥には、静かに構えるもう一人の女性、小林由依がその存在感を示していた。
二人の間には、かつての絆と別離が静かに流れているようだった。
それは、かつての仲間との最後のパフォーマンスになることを、誰もが予感していた。
小林由依が卒業を発表してから数ヶ月。
森田はその時から、何度も何度も「別れ」の意味を考え続けてきた。
彼女にとって、小林はただの仲間ではなく、先輩であり、時には姉のような存在だった。
何かに迷ったとき、彼女はいつも小林に頼っていた。
無言の理解と温かい微笑みが、どれだけ森田を支えてきたことか。
しかし今、その先輩は新しい道へ進もうとしている。
彼女の背中を見送りながら、森田は胸に込み上げる感情を抑えつつ、パフォーマンスに集中しようとしていた。
ステージの照明がまた一段と明るくなり、音楽が流れ出す。
二人の手が高く掲げられ、まるでシンクロするかのように動く。
観客の視線が二人に注がれ、その瞬間、彼女たちだけの空間が生まれた。
森田の心は、過去と未来の狭間で揺れ動いていた。
かつて、彼女がデビューしたての頃、小林に教わった数々のことが頭をよぎる。
笑顔で乗り越えること。
困難に直面したときでも決して諦めないこと。
そして何より、仲間を信じること。
あの時の小林の言葉が、今も彼女の中で生き続けている。
森田:(これが最後のステージなんて信じられない…)
森田は心の中でそう呟いた。
だが、小林の背中が徐々に遠ざかっていく現実を、否応なく感じていた。
彼女にとってこのステージは、小林との最後の共演であり、彼女の存在がどれだけ大きなものだったかを再確認する時間でもあった。
曲のクライマックスが近づくにつれ、二人の動きは一層鮮やかさを増していく。
ステップを踏むたびに、森田の心には新たな決意が芽生え始めていた。
(このステージが終わっても、私は前に進む。先輩が教えてくれたことを胸に、私はもっと強くなれる)
彼女はそう心に誓いながら、一歩一歩を踏みしめていた。
そして、最後のポーズで二人は完全にシンクロした。
観客からの拍手が一瞬の静寂を破り、会場全体が歓声に包まれる。
その瞬間、森田の目に一筋の涙が浮かんだ。しかし彼女は、それを隠すように微笑み、静かに小林の方を見つめた。
小林は、まるで全てを理解しているかのように、優しく微笑み返す。
ステージの幕が下りると、二人はゆっくりと向き合った。
何も言わずとも、二人の間には深い感謝と敬意が流れていた。
森田はその瞬間、自分が新しい一歩を踏み出す準備ができていることを感じた。
小林もまた、次のステージへと向かう決意を持っている。
森田:「ありがとう、由依さん」
と、小さな声で呟いた。
小林:「こちらこそ、ありがとう」
と微笑みながら応えた。
その瞬間、二人の心は一つになり、これからも続くそれぞれの道を祝福するかのような静けさが、ステージの裏側を包み込んだ。
森田はその後、ひとり静かに楽屋へと戻り、ステージ上での余韻に浸りながら、自分が今後どのように進んでいくかを考え始めた。
ステージは一つ終わったが、彼女の物語はまだ始まったばかりだ。
そして、あのステージでの経験と小林との絆が、彼女のこれからを強く後押ししてくれるだろう。