君がいる未来
この物語は「君がいる風景」の続編です。
よければ先にそちらからご覧下さい。
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あの冬の日、〇〇の告白を受けた小林由依の心は揺れたが、次第にその心は彼への思いで満たされ、二人は自然と恋人同士になった。二人の交際は穏やかで、互いに無理をすることなく、日常の中にゆっくりと愛を育んでいった。
大学を卒業した二人は、それぞれが新しい道を歩み始めた。〇〇は希望していた企業に就職し、忙しい毎日を送っていた。一方で、由依はモデルやアーティストとしての仕事を続けていた。彼女の生活も忙しく、仕事で地方へ出ることも多かったが、そんなときも二人は欠かさず連絡を取り合い、会えない時間をお互いに支え合った。
それでも、社会人としての新たな環境に慣れるのは簡単ではなかった。仕事のストレスや生活の変化に戸惑う日々が続く中、二人は少しずつ距離を感じることもあった。しかし、そんな時こそ〇〇の変わらない誠実さが由依を支えた。彼の優しさに触れるたび、由依は心が癒され、自分自身の不安を乗り越えることができた。
二人が付き合い始めてから3年が経った頃、〇〇は少しずつ結婚を意識し始めていた。由依もまた、〇〇との未来を想像するようになっていたが、互いに多忙な生活の中で、その話題を出すタイミングをつかめずにいた。
そんなある日、二人は久しぶりに旅行をすることにした。行き先は、初めて一緒に訪れた思い出の場所――海辺の小さな町だった。冬の冷たい風が吹く中、静かな海岸を二人で歩きながら、ふと立ち止まった〇〇は、由依に向き直った。
〇〇:由依、少し話があるんだ。
その真剣な表情に、由依の心臓は一瞬ドキリと鳴った。彼が何か大事なことを話そうとしているのが、すぐに分かった。
〇〇は深呼吸をし、ポケットから小さな箱を取り出した。由依の目の前で、その箱を開けると、中にはシンプルで美しい指輪が輝いていた。
〇〇:ずっと君と一緒にいたい。君と過ごす毎日が、僕にとってかけがえのない時間なんだ。これからも、どんな時でも君を支えたいし、一緒に未来を築いていきたい。だから、結婚してほしい。
〇〇の言葉に、由依は涙が浮かび、震える声で答えた。
由依:もちろん…私も、ずっと〇〇と一緒にいたいと思ってた。これからも、ずっと一緒に歩んでいきたい。
涙を拭いながら、由依は〇〇の手を握り、彼の優しい目を見つめた。
その瞬間、二人は新たな一歩を踏み出した。海の冷たい風が吹きつける中、二人の心は温かな愛で満たされていた。
プロポーズから半年後、二人は結婚式を迎えることとなった。結婚式は、由依の希望で自然豊かなガーデンチャペルで行われた。親しい友人や家族に囲まれ、温かい雰囲気の中で誓いの言葉を交わす二人。渡邉理佐をはじめ、大学時代のサークル仲間も参列し、懐かしい顔ぶれが並んでいた。
由依は純白のドレスに身を包み、晴れ渡る空の下で誓いのキスを交わした。〇〇もまた、彼女の美しさに心から感動し、彼女と共に歩む未来への期待に胸を膨らませていた。
その後の披露宴では、由依の友人である理佐がスピーチを行った。
理佐:由依とは高校からの付き合いで、彼女がどう成長してきたかをずっと見てきた。今、こんなに幸せそうな由依を見ることができて、本当に嬉しい。〇〇くん、どうかこれからも由依をよろしくお願いします。
理佐の温かい言葉に、由依は思わず涙ぐんだ。
披露宴は、笑顔と涙に包まれた温かな時間となり、二人にとって忘れられない一日となった。
結婚してから数年後、二人の間に新たな命が宿った。やがて生まれた女の子に、二人は「美青(みお)」という名前をつけた。由依は美青を抱きしめながら、〇〇との家族としての絆がさらに深まったことを感じた。
由依:美青、おはよう。
由依は優しく赤ちゃんの美青を揺り起こし、ベビーベッドから抱き上げた。〇〇も朝早くから、娘の世話を手伝い、家族としての生活は忙しくも充実していた。
二人の生活は、子育てに追われながらも、笑顔に満ちていた。美青の成長は二人にとって何よりの喜びであり、仕事の疲れも彼女の笑顔ですべて吹き飛んでしまうようだった。
由依:〇〇、私たちの家族、これからもずっと一緒だね。
由依がふとそう呟くと、〇〇は笑顔で頷いた。
〇〇:もちろんさ。君と美青がいる限り、どんなことがあっても乗り越えられるよ。
二人の未来には、まだまだ続く物語が待っていた。由依と〇〇、そして美青――三人の家族としての歩みは、これからも続いていく。
彼らの物語は、冬の告白から始まり、結婚、そして新しい命と共に新たな章を迎えた。どんな困難があろうとも、彼らは互いに支え合い、愛し合いながら、未来を切り開いていくのだった。
やがて、美青は幼稚園に通うようになり明るく元気な性格で、友達からも好かれる存在だった。特に、彼女の笑顔は周囲を和ませる力があり、由依や〇〇もそんな娘の成長を微笑ましく見守っていた。
由依:美青、お友達とは仲良くしてる?
美青:うん!今日はみんなでお花作りしたの!ママにも見せたいな。
由依は美青が作った小さな紙の花を見ながら、娘の優しさや思いやりに触れ、胸が温かくなった。〇〇も仕事から帰宅すると、美青の幼稚園での話を楽しそうに聞くのが日課となっていた。
月日はあっという間に流れ、美青は小学校に入学した。ランドセルを背負い、元気に学校に通う姿を見て、由依は自分の子育てがここまで進んだことに感慨深さを覚えた。
小学校に入った美青は、勉強や運動に加え、友達と遊ぶことにも積極的だった。由依と〇〇は、美青の成長を見守りながらも、自分たちの時間を大切にすることを忘れなかった。週末には家族で公園に行ったり、映画を観たり、時には旅行にも出かけた。そんな日常の中で、家族の絆はより一層強くなっていった。
ある週末、家族で訪れた海辺の町は、由依と〇〇にとって思い出深い場所だった。かつて〇〇がプロポーズをしたその場所で、今は美青が笑い声を響かせながら走り回っている。由依はその姿を見ながら、ふと懐かしい気持ちに包まれた。
〇〇:ここに来ると、あの時を思い出すね。
由依:うん、あのプロポーズの日のこと、今でも鮮明に覚えてるよ。でも、こうして美青と一緒にまたここに来られるなんて、当時は想像もしてなかったな。
〇〇は微笑んで由依の手を取り、遠くで遊ぶ美青に視線を向けた。
〇〇:これからも、三人でたくさんの思い出を作っていこう。
その言葉に、由依も静かに頷いた。彼らの未来には、まだまだ新しい物語が待っている。それは、決して特別なものではなく、穏やかな日常の中に溶け込んでいるものだった。
月日はさらに流れ、美青は小学校を卒業する時を迎えた。卒業式の日、由依と〇〇は美青の成長を感慨深く見つめながら、式に参加していた。
美青:ママ、パパ、見て!これが卒業証書だよ!
由依:すごいね、美青。頑張ったね。
〇〇:おめでとう、美青。これから中学校でも、君らしく頑張ってね。
美青は少し照れくさそうに微笑みながら、二人に卒業証書を見せた。その姿は、もう幼い頃の彼女ではなく、次のステップに進む強い意志を持った少女だった。
由依と〇〇は、これまでの歩みを振り返りながらも、これからの美青の成長を楽しみにしていた。家族として過ごしてきた日々は、笑いと涙に満ちており、今後も三人で手を取り合いながら、未来へと進んでいく。
美青の成長を見届けながら、由依と〇〇もまた、新たな家族の形を作り上げていた。彼らの物語はこれからも続き、それは単に結婚や子育てという形だけでなく、家族としての絆や愛を深めていく旅でもあった。
由依は、家族のそばにいることが何よりも幸せだと感じ、〇〇もまた、彼女と共に歩む未来に期待を膨らませていた。これからも、美青と共に新たな章を刻んでいく――それが、彼らの愛の物語だった。