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零時のペンダント~episode3~
翌日、○○は学校で不安を抱えたまま過ごしていた。
過去を変えた代償は、想像以上に大きい。何かを取り戻せば、必ず別の何かが失われる――その現実が、じわじわと彼の周囲を侵食していた。
昼休み、瑛紗が再び話しかけてきた。
瑛紗:○○くん、少し時間ある?
○○:……ああ、いいけど。
二人は校舎裏に移動し、人気のない場所で向き合った。瑛紗は何かを決心したような面持ちで口を開く。
瑛紗:昨日、変なことを言っちゃってごめんね。でも、どうしても気になるの。私の夢のこと。
○○:夢のこと……?
瑛紗は一瞬言葉を詰まらせるが、やがて静かに語り始めた。
瑛紗:毎晩見る夢の中で、私は何かを探してるの。探してるはずなんだけど……見つける前に、いつも目が覚めちゃうの。
○○:……何を探してるんだ?
瑛紗:それが分からないの。でもね、一つだけ確かなことがある。○○くん、あなたがその夢に出てくるのよ。
その言葉に○○の心臓が高鳴る。瑛紗は自分に何かを感じ取っている――過去改変の影響を。
○○:瑛紗、その夢って……どんな場所なんだ?
瑛紗:えっと……暗い空に歪んだ光が差し込んでいて、何か壊れかけた場所。まるで現実じゃないみたいな。
瑛紗の言葉が、玲の忠告を思い出させた。
玲:過去改変による『歪み』は、現実の一部に浸透していく。それを感じ取れる者もいるだろう。
○○:(まさか瑛紗が、その一人だっていうのか……?)
放課後、○○は瑛紗を見送った後、玲を探しに公園へ向かった。いつも現れる場所に行くと、彼女は待っていたかのように立っていた。
玲:やあ、○○。どうやら問題が表面化し始めたようだね。
○○:玲……瑛紗が変なんだ。過去を変えた影響で夢を見ているみたいで……。
玲は静かに頷く。
玲:それは当然のことだよ。時間の歪みは、人間の感覚にも影響を及ぼす。特に感受性の高い者ほどね。
○○:じゃあ、どうすればいい? 瑛紗を元に戻す方法はないのか?
玲:簡単な方法は一つ。君がペンダントを使い、さらに過去を改変することだ。
○○:……!
その提案に○○は息を飲んだ。過去改変のリスクを知っている以上、再びそれを繰り返すことには大きな抵抗があった。
○○:……それじゃ、余計に歪みが広がるだけじゃないのか?
玲:そうだね。ただ、何もしなければこの歪みはやがて現実そのものを崩壊させる。それを防ぐには、君が原因となった過去を再び調整するしかない。
玲の冷たい声に○○は拳を握りしめた。
○○:(本当にこれが正しいのか……?)
その夜、○○は瑛紗から突然の電話を受けた。
瑛紗:○○くん、今から少し話せない?
○○:……どうしたんだ、こんな時間に。
瑛紗:話したいことがあるの。……大切なこと。
○○は瑛紗の声に引かれるように約束の場所へ向かった。夜の公園、街灯の下に立つ瑛紗の姿はどこか儚げだった。
瑛紗:来てくれてありがとう。
○○:何を話したいんだ?
瑛紗:ねえ……正直に言って。私、何かおかしいよね?
瑛紗の問いに、○○は言葉を失った。瑛紗の目は真剣そのもので、隠し通せる状況ではなかった。
○○:……瑛紗、実は……。
○○が真実を話そうとしたその時、空間が突然歪んだ。空に裂け目のようなものが現れ、強烈な光が二人を包む。
瑛紗:何……これ!?
○○:瑛紗、下がれ!
裂け目から現れたのは、不気味な光をまとった人影だった。その姿は人間の形をしていたが、明らかにこの世界のものではなかった。
???:過去を弄った罪人よ……覚悟しろ。
○○:お前は……誰だ!?
瑛紗:○○くん、危ない!
瑛紗が叫ぶと同時に、人影が二人に向かって手を伸ばしてきた。
その瞬間、瑛紗の体が眩い光に包まれた。
瑛紗:やめて……○○くんを傷つけないで!!
その声と共に、瑛紗の周囲に強烈なエネルギーが発生し、人影を弾き飛ばした。
○○:瑛紗……今のは……?
瑛紗:わ、私にも分からない……。でも、あの人影を見た瞬間、体が勝手に動いたの。
○○は瑛紗を見つめ、確信する。彼女は『特別な何か』を持っている。そしてそれは、過去改変の影響を受けた結果かもしれない。
玲:ふむ、面白い展開になってきたね。
突然現れた玲が静かに笑う。
○○:玲……瑛紗に何が起こっているんだ!?
玲:どうやら、彼女の中に眠る『可能性』が目を覚ましたようだね。この世界を救えるかもしれない力が。
瑛紗:……私が?
玲は瑛紗に向き直り、意味深に微笑む。
玲:池田瑛紗、君がこれからの鍵になる。覚悟はいいかい?
瑛紗:覚悟なんて……でも、私にできることがあるなら……やってみる!
その言葉に、○○の心も揺れ動く。
○○:(瑛紗を巻き込むことになるかもしれない。でも……彼女と一緒なら、この歪みを正せるかもしれない)
二人の運命が交わり、物語は新たな局面へと進み始める。