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僕たちの薔薇色の人生

夕暮れの風が校庭を吹き抜けると、木々の葉がさわさわと揺れ、どこか寂しげな音を立てた。放課後、部活の終わりを告げる鐘が鳴り響く中、○○は部室の片隅で黙々と練習ノートに目を落としていた。彼にとって、この静かな時間は一日の中でも特別なものだった。だが今日は違った。ふと顔を上げると、窓の向こうから見覚えのある姿が近づいてくるのが見えたのだ。

天:○○君、ここにいたんだ

そう言って無邪気な笑顔を見せる彼女の名前は山﨑天。彼とは同じクラスで、時折廊下ですれ違うことはあったが、こうして話すのは初めてだった。

○○:どうしたの?こんなところまで

驚きつつも、自然と笑顔になった○○。彼女の存在が、この場所に柔らかな空気を運んできたようだった。

天:今日の夕焼け、すごく綺麗だから一緒に見ようかなって思って

そう言って彼女は無邪気に窓辺へと歩み寄る。彼女の姿は、まるで校庭の夕日に照らされた一輪の花のように輝いていた。

二人はそのまま黙って夕焼けを眺めた。沈みゆく太陽がオレンジ色に染めた空と、それに染まる彼女の横顔。その瞬間、○○はふと心の中で思った。彼女はただの同級生以上の存在なのではないかと。

日が経つにつれ、二人の距離は少しずつ縮まっていった。休み時間になると自然と隣に座り、何気ない話題で笑い合う。天は好奇心旺盛で、いつも○○を驚かせるような発想をする子だった。それがまた、彼を引き寄せる大きな魅力でもあった。

ある日の放課後、彼女がふいに言った。

天:○○君は、好きな人とかいるの?

○○:えっ、急にそんなこと聞かれても

顔が熱くなるのを感じながら、○○は視線をそらした。彼女が見せた何気ない微笑みが、心の奥底に染み込むようだった。

天:だって、○○君って誰にでも優しいから、つい気になっちゃうんだよね

その言葉に、○○は思わず彼女の顔を見つめた。彼女の瞳は、まっすぐに彼を見つめ返している。そんな彼女の純粋な眼差しに、自分の心が揺さぶられているのを感じた。

数日後、校外学習での自由行動の時間が訪れた。グループ行動でありながら、自然と二人は抜け出し、少し離れた場所で二人きりになる。彼女が選んだ場所は、小さな花園が広がる丘の上だった。

天:ねえ、○○君。私、ずっとここに来たかったんだ

彼女の視線は遠く、花の咲き乱れる草原の先に向けられている。その姿はどこか寂しげで、○○は思わず手を差し伸べたくなった。

○○:どうして?

天:私、小さい頃から夢見てたんだ。こうやって、好きな人と一緒に綺麗な景色を見ることを

その言葉に驚き、彼は一瞬言葉を失った。しかし、すぐに気づく。これは彼女なりの告白だと。

○○:俺も、天と一緒にいると…なんだか心が落ち着くよ

天の顔が少し赤く染まり、○○もそれにつられて笑みを浮かべた。心が通い合う瞬間が、確かにそこにあった。

それから、二人は付き合い始めた。だが、彼女は相変わらず自由奔放で、どこへ行くにも好奇心に引っ張られて歩き回っていた。ある日、○○が少し目を離した隙に、天は校内の片隅で知らない人たちと楽しげに話しているのを見かけた。

その瞬間、彼の胸に小さな嫉妬が芽生えた。彼女がどこかへ行ってしまうのではないかという不安が、ふと心をよぎる。

○○:天、勝手にどこか行かないでよ

不意に出たその言葉に、彼女は驚いたように○○を見つめた。

天:どうしたの?○○君、嫉妬してる?

からかうようなその言葉に、○○は少し困惑しつつも、素直に頷いた。

○○:君は、全部、全部、僕のものだから

その瞬間、彼の胸の中にあった想いがはっきりとした形を持った。彼女の存在が、彼にとってかけがえのないものであることを自覚したのだ。

天:うん、私も○○君が好き。だから、どこにも行かないよ

彼女はそう言って、○○の手を優しく握り返した。二人はそのまま黙って空を見上げた。二人だけの「La vie en rose」、それはこれからも続いていくのだと確信しながら。

その日以来、二人はどこに行くにも一緒だった。放課後も、休日も、そしてふとした瞬間も、○○のそばにはいつも天がいた。彼女の笑顔は○○にとって「La vie en rose」、つまり、人生のすべてを美しく染め上げていく存在そのものだった。

ある土曜日、二人は市内の小さな公園で待ち合わせをしていた。陽射しは少し柔らかく、まばらに咲いた花たちが風に揺れている。天が○○のそばに歩み寄ると、彼女は少しはにかみながら小さな箱を取り出した。

天:はい、これ

○○:…え? 何これ?

天:この前言ってたでしょ?○○君、欲しいものがあるって

○○は思い出した。以前、何気なく「最近時計が壊れてしまって…」と話したことがあったのだ。しかし、それが彼女の記憶に残っていたとは思わなかった。

○○:これ、俺に?天が選んでくれたの?

天:うん。いつも○○君に支えてもらってばかりだから、少しでもお礼がしたかったんだ

彼女が渡してくれたのは、シンプルだけれどどこか優雅なデザインの腕時計だった。彼は驚きつつも、深い感謝の気持ちが胸に広がるのを感じた。

○○:ありがとう、天。すごく嬉しいよ。でも、無理して買ったんじゃないの?

天:気にしないで。それよりも、ちゃんと毎日使ってね?

○○は笑いながら頷き、腕時計を大切に装着した。今まで以上に彼女が自分にとって大切な存在であることを、改めて感じる瞬間だった。

そんな日々が続く中、ある夕方、彼女がいつになく真剣な表情で話し始めた。

天:ねえ、○○君…将来のこと、どう考えてる?

○○:将来?

天:うん。私は…○○君と一緒に、ずっとこの先も一緒にいたいって思ってる。でも、いろいろな夢があって、時々不安になっちゃうんだ

彼女の言葉に、○○は少し驚いた。天はいつも自由奔放で、どんな困難にも負けずに笑い飛ばす強さがあると信じていたからだ。そんな彼女が「不安」を口にするなんて、初めてだった。

○○:俺も…天と一緒にいたいよ。これから先も、どんな未来が待っていたとしてもさ

彼は彼女の手をしっかりと握り締めた。その温もりが、彼女の心に少しでも安らぎをもたらすようにと願いながら。

天:ありがとう。○○君がそばにいてくれるなら、きっと大丈夫だって思える

彼女は笑顔を取り戻し、二人の間には再び温かな空気が流れ始めた。夕焼けの空に染まる彼女の横顔を見つめながら、○○は心に決めた。彼女をずっと守り続けることを、そして共に未来を歩んでいくことを。

その日から数年後、大学を卒業した二人は、それぞれの夢を追いながらも、同じ道を歩み続けていた。

○○:ねえ、覚えてる?初めて二人で夕焼けを見た日

天:もちろん!あの時は、こんな風に一緒に未来を歩けるなんて思わなかった

○○:あの日からずっと、君との日々は俺にとってのLa vie en roseだったんだよ

彼は照れくさそうにそう言い、彼女の手をしっかりと握り締めた。二人の視線はこれからもずっと交わり続け、たくさんの花が咲き乱れる未来へと歩み出していく。

人生の道に咲く、たった一輪の「Rose」を手に入れた二人。どんな困難が待っていようと、その愛は永遠に色褪せることはないだろう。

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