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星降る夜に…

冷たい風が頬をかすめ、山崎天は一瞬身震いをした。この季節、昼間の陽射しはまだ柔らかいものの、日が傾くと一気に寒さが身に染みる。それでも、彼女はふとした思いに駆られ、その寒さに逆らうようにして街を歩いていた。

隣には、最近よく一緒に過ごしている男性、○○がいる。彼と出会ってからまだ数週間しか経っていないが、二人の間にはなんとも言えない安心感があった。お互いのことを深く知っているわけでもないが、それでも心が安らぐ相手だった。

天:今日は特に寒いね。冬がもう近いんだなって、こうして歩いてると実感する

○○:うん。でも、天がいると寒さが和らぐ気がするよ

○○の言葉に、天は思わず頬を染めた。普段から口数が多いわけではない彼だが、たまにこんなふうに真っ直ぐな言葉をかけてくれる。それが彼女の心を不思議と温かくし、自然と笑顔がこぼれてしまうのだった。

彼女は無意識に足を止め、公園の方へ視線を向けた。色とりどりの葉が地面に散らばり、枯れ葉の絨毯を作り上げている。秋が過ぎ去り、冬が顔を出し始めた景色に、彼女は少し感傷的な気分になった。

○○:天、ベンチに座って休もうか

天:うん、そうだね

彼に導かれるまま、二人は枯れ葉が舞う静かな公園のベンチに腰を下ろした。周りには人の気配が少なく、聞こえるのは風に揺れる木々のざわめきだけだった。その静寂が、逆に二人の距離を近づけるような気がして、天は少し緊張した。

ふと気づくと、○○がじっと自分を見つめていた。彼の穏やかな視線に包まれると、自分が守られているような、不思議な安心感を覚える。こんな風に誰かと一緒にいられる時間が心地よく、また続いてほしいと思う自分がいることに気づいた。

天:…ねえ、○○くん

○○:ん?

天:もし…こうして一緒に過ごすのが、これからもずっと続いたらどう思う?

彼女の問いかけに、○○は少し驚いたように目を見開いたが、すぐに柔らかい笑みを浮かべた。

○○:それが叶うなら、僕はどんなに幸せか分からない

その答えに、天は胸がドキドキと高鳴るのを感じた。自分でも意識していなかったが、いつの間にか彼に対する気持ちがこんなにも大きくなっていたのだと気づかされる。彼の言葉が嬉しくて、自然と視線を逸らしてしまった。

○○:天の手、冷たいね

彼がそう言いながらそっと彼女の手を握った瞬間、天は驚きと同時に嬉しさを感じた。彼の温もりが自分の手の冷たさを溶かしていくようで、心まで温まる気がした。

天:うん…でも、○○くんが温めてくれるから平気

そう言って微笑んだ瞬間、彼がさらに彼女の手をしっかりと握りしめるのがわかった。その仕草に、彼女はますます彼に対する思いが深まっていくのを感じる。

やがて、空が一段と暗くなり、街の灯りがぽつぽつと点り始めた。冷え込む空気の中で二人はゆっくりと歩き出し、互いの温もりを確かめ合いながら冬の訪れを感じていた。

○○:天、僕は…ずっと君のそばにいたい。君とこうして季節を一緒に感じて、いろんな場所を一緒に歩いていきたいんだ

天:…私も、○○くんと一緒にいると、とても心が温かくなるの。こんなに誰かの隣にいるだけで幸せを感じるなんて、自分でも驚いてるくらい

その言葉に、○○は嬉しそうに微笑み、そっと彼女の肩に手を回した。天も、彼に身を預けるように少し体を寄せた。彼の温もりが全身に染み渡り、冷えた空気の中でも二人だけの小さな世界が広がっているように感じた。

すると、○○が空を見上げながらぽつりと呟いた。

○○:星が見えてきたよ

天:本当だ…冬の空は澄んでて、星が綺麗に見えるんだよね

二人は夜空を見上げ、静かに輝く星たちを見つめた。夜の闇が一層深まるにつれ、星の輝きはますます鮮やかに、冷たい空気の中で瞬いていた。

その美しさに見とれていると、○○がそっと天の頬に手を当てた。彼の手は少し冷たかったが、心には確かな温かさが伝わってくる。

○○:天、君とこうして星を見ていると、なんだか夢の中にいるみたいだ

天:私も…○○くんがいると、どんなに寒くても安心できる。○○くんが隣にいるだけで、心が温かくなるの

彼女の言葉に、○○は静かに微笑むと、ゆっくりと顔を近づけてきた。天も自然に目を閉じ、彼の唇が自分の唇に触れるのを感じた。静かな公園、夜空の下で、二人だけの時間がゆっくりと流れていく。

唇が離れたあとも、二人はその場でしばらく抱きしめ合っていた。冷たい空気の中、彼の体温が自分に伝わり、心がじんわりと温かくなっていくのを感じる。星空が見守る下で、天は自分がこんなにも彼を大切に思っていることに改めて気づき、胸がいっぱいになった。

○○:これからも、ずっとこうして一緒にいたい。僕の隣にいてほしい

天:うん、私もずっと○○くんと一緒にいたい

天はそう答えると、また彼にそっと身を寄せた。これから迎える冬も、そしてその先の季節も、彼と一緒ならどんな日々も心が温かいと思えた。冷たい風の中でも、二人の想いが寄り添い、共に歩んでいく決意が心に刻まれた。

二人は手をつないだまま、帰り道を歩き始めた。空には幾千もの星が輝き、夜の静寂の中で、二人の未来を祝福しているかのように瞬いていた。

彼女は、彼と共に過ごすこれからの日々に胸を躍らせ、幸せな気持ちで一杯だった。

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