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ファイナルホイッスル:君との試合は終わらない
この作品は『キックオフ:君との試合が始まる』の続編です。
前編はこちらからご覧ください🙇♀️
影山優佳は、○○との新しい関係が始まってからも、仕事とサッカーに忙しい日々を送っていた。リヴァプールへの情熱は変わらないが、最近では○○と一緒に過ごす時間が、彼女にとってかけがえのないものになっていた。二人でカフェに行くことや、休日にサッカー観戦をするのが、自然と彼らの日常に溶け込んでいた。
そんなある日、彼らはまたスポーツバーでリヴァプール対アーセナルの試合を観戦する約束をした。その日は、プレミアリーグの重要な一戦。リヴァプールはシーズン終盤に差し掛かっており、アーセナルも好調だった。
バーに到着すると、すでに大勢のファンが集まり、席はほとんど埋まっていた。二人はなんとか隅のテーブルに座り、スクリーンに映し出される試合前の映像をじっと見つめた。
優佳:今日は負けられないよ
○○:それなら俺もアーセナルの勝利を信じてるから。今日もサカとマルティネッリが決めるんじゃないかな
試合が始まると、二人はすぐに興奮し始めた。リヴァプールのサラーとヌニェスがボールを持つたびに、優佳は身を乗り出して応援し、アーセナルのガブリエル・ジェズスやウーデゴールが攻撃に出るたびに、○○も熱心に声援を送った。
前半は激しい攻防が繰り広げられたが、どちらのチームも決定的なチャンスをつかむことができず、0-0で折り返した。二人はハーフタイムにドリンクを注文し、ふと静かに試合の話をし始めた。
優佳:今日は引き分けっぽいね
○○:いや、まだ後半がある。どっちかがきっと決めるよ
後半が始まり、試合はますます激しさを増していった。リヴァプールは前線からのプレッシングを強め、アーセナルはそれをうまくかわしつつ、カウンターで反撃を試みた。
やがて、試合は動き出す。70分過ぎ、リヴァプールがついに得点を決めた。サラーが見事なドリブルでアーセナルのディフェンダーをかわし、ゴールネットを揺らした瞬間、バーの中は歓声で包まれた。優佳は興奮して立ち上がり、○○の肩を軽く叩いた。
優佳:ほら、やっぱりリヴァプールでしょ!
○○は悔しそうに笑いながら、「まだ終わってないよ」とつぶやいた。
その後、アーセナルも猛攻を仕掛けたが、リヴァプールの守備陣が粘り強く対応した。特に、アリソンのセーブが何度も決定的な場面を防ぎ、リヴァプールはリードを守り抜くために全力を尽くしていた。
試合終了間際、アーセナルは最後の攻撃を仕掛ける。ウーデゴールからサカへパスが通り、彼がペナルティエリアに侵入。バーの中のアーセナルファンは総立ちで声援を送った。優佳も思わず身を乗り出し、見守る。
優佳:やばい…
しかし、サカのシュートはポストをかすめて外れ、リヴァプールは何とか逃げ切った。ファイナルホイッスルが鳴り、試合は1-0でリヴァプールの勝利となった。
優佳はガッツポーズをしながら、「やった!」と叫び、○○をからかうように笑った。
優佳:リヴァプールの勝ちね!どう?悔しい?
○○:まぁ、今日は認めざるを得ないな
○○は苦笑しながらも、どこか満足そうな表情を浮かべた。
試合後、二人はバーを出て静かな通りを歩いていた。夜風が心地よく、街灯に照らされた影が二人の足元に伸びていた。
優佳:今日もいい試合だったね
○○:本当に。お互いのチームがぶつかり合うのを見るのは、やっぱり面白いよな
優佳:ねぇ、私たちってやっぱりサッカーみたいだよね。時には激しくぶつかり合って、時にはパスを出し合って。試合中は勝ちたいって思うけど、終わってみるとそれが楽しいって思えるの
○○はしばらく黙って歩いた後、ふと立ち止まり、彼女の目を見つめた。
○○:優佳、そうかもな。でもさ、俺たちの試合には終わりなんてないよ。いつかゴールを決める瞬間が来たとしても、それで終わりじゃなくて、新しい試合が始まるんだと思うんだ
と静かに言った。
優佳はその言葉にじっと耳を傾け、しばらく考え込んだ。
優佳:そうだね。私たちの試合はずっと続いていくんだね。
微笑みながら彼女は答えた。
その後、二人は手を繋ぎ、再び歩き出した。彼らの間には、サッカーを通じて培われた深い絆があった。それは、試合が終わっても消えることのないものだった。
彼らはこれからも、どんな試合が待っていようとも、共に戦い続けるだろう。サッカーと同じように、人生の試合には終わりがなく、次のキックオフが常に彼らを待っているのだ。