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零時のペンダント~episode9~

静かな廃墟の中、瑛紗は薄暗い天井を見上げながらゆっくりと目を覚ました。隣には○○が心配そうに座っている。

○○:瑛紗、起きたのか。良かった……。

瑛紗:……ここは……?私……何か大事なことをしてたような……。

○○:裂け目の向こう側で力を使いすぎて気を失ったんだよ。でも、もう大丈夫だ。

瑛紗はぼんやりとした記憶を辿りながら、手のひらを見つめた。

瑛紗:(あの時、光を放った瞬間……確かに何かが私に囁いていた。でも、それが何なのか思い出せない……)

玲がその場に現れ、冷静な声で二人に話しかけた。

玲:瑛紗、無理はしないで。あなたの力はまだ完全に制御できていないわ。そのせいで精神や肉体に負荷がかかっている。

瑛紗:でも……私、この力を使わないと何も解決できないんですよね?

玲:そう。ただし、その代償が何かを理解しないままでは危険よ。

玲は二人を連れて古びた記録が保管されている場所へ向かった。そこには過去に裂け目を封じようとした者たちの記録が残されていた。

玲:ここには、裂け目の影響を受けた人たちの歴史が記されているわ。あなたたちが直面している運命も、これを知れば少しは見えてくるはず。

○○:でも、どうして瑛紗が“鍵”なんだ?他にも裂け目に関わった人はいるんだろ?

玲は少し躊躇した後、静かに語り始めた。

玲:裂け目が現れるたび、その影響を抑えるために“時間の鍵”となる存在が選ばれるの。そして、その鍵の力が強ければ強いほど、代償もまた大きい。

瑛紗:……代償って、どういう意味ですか?

玲:過去の記録によれば、鍵の力を使い続けた者は、次第に自分自身を失い、最終的には存在そのものが裂け目に飲み込まれる可能性があるのよ。

その言葉に瑛紗の顔が青ざめる。

瑛紗:そんな……。じゃあ、私が力を使い続けたら……消えるかもしれないってこと?

玲:そう。でも、あくまで“可能性”の話よ。だからこそ、力を正しく制御することが大事なの。

○○は拳を強く握り締め、玲に向かって言った。

○○:そんなこと、絶対にさせない!瑛紗を守るために俺もできる限り協力する。

瑛紗:○○くん……ありがとう。

その夜、三人は裂け目の力を封じる方法を探るため、次の目的地へ向かうことを決めた。しかし、道中で再び“裂け目の使者”が現れる。

玲:来たわね。今度は前よりも強力よ、気を抜かないで。

○○:またかよ……!でも、もう逃げない!

瑛紗:私もやります。絶対に負けない!

使者は巨大な影の姿を取り、彼らを包囲し始める。瑛紗は震える手で光を呼び起こし、○○と一緒に戦いを挑む。

○○:(守るって決めたんだ。この戦いに絶対勝つ!)

瑛紗:(私の力が必要なら、迷わない……!)

追い詰められたその時、別の影が使者に攻撃を仕掛けた。驚いて振り返ると、そこに現れたのは見知らぬ青年だった。

玲:……あなたは?

謎の青年:俺か?“裂け目の番人”を名乗る者だよ。君たちがこちら側で何をしているかは知っている。そして、それを止めるつもりもない。

瑛紗:……番人?どういうこと?

番人:君たちがどんな結末を迎えるか、少し興味が湧いただけさ。それに、裂け目の真実を知りたいんだろ?俺が手伝ってやるよ。

玲:信用していいのかしら。

番人:信用するかどうかは君たち次第だ。ただ、ここから先に進むには俺の助けが必要だよ。

不信感を抱きながらも、玲たちは青年の言葉に従い、共に先へ進むことを決めた。

瑛紗:本当に……信用していいんでしょうか。

○○:分からない。でも、今は少しでも力が必要だ。

玲:どちらにせよ、選択肢は多くないわ。この先で裂け目の本当の謎が明らかになる。覚悟しておきなさい。

瑛紗は○○の顔を見て、小さく頷いた。

瑛紗:(この力に代償があるとしても、私は……進むしかない。○○くんと一緒に、この裂け目を終わらせるために――)

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