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中編

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#山﨑天

不器用な告白

不器用な告白

高校2年の夏。
〇〇はクラス替えで新しく同じクラスになっていた山崎天に目が留まった。
クールで無口な印象が強い彼女は、一見すると近寄りがたかった。
しかし、その無表情の奥に時折見せる少し抜けた表情や、不器用さが〇〇には妙に気になった。

文化祭の準備が本格化し始めた9月、𓏸𓏸と天は偶然同じ実行委員になった。
〇〇は彼女が頭が良さそうに見えるものの、少し手際が悪いのに気づき、そっとサポートするこ

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夕暮れと君の手

夕暮れと君の手

放課後の教室は、いつものように穏やかな空気が流れていた。窓から差し込む夕陽が、ほんのりオレンジ色に染まった机や椅子に影を落とし、どこか懐かしいような香りが漂う。

天は、窓際の席に座ってぼんやりと空を眺めていた。ノートを広げているものの、そこに書かれている数式や文字は、彼女の頭にほとんど入ってこない。

天:数学って、なんでこんな難しいんやろ…

ぽつりと呟いた言葉は、誰に聞かれることもなく、ただ

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秋の夕暮れに染まる君へ

秋の夕暮れに染まる君へ

〇〇は、かつての高校時代からの友人たちと同じ大学に通うことになった。渡邉理佐、田村保乃、山﨑天。あの頃からずっと一緒で、今も変わらない日々を過ごしている。キャンパスは広く、どこか懐かしい感じがしたが、それでも毎日が新鮮だった。4人の関係もまた、少しずつ変化していた。

理佐と〇〇は幼なじみで、小さい頃から何でも言い合える間柄だった。彼女の落ち着いた性格と無駄のない言葉遣いに、〇〇はいつも安心感を抱

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HeとSheの境界線

HeとSheの境界線

言葉遣いがおかしな部分もあるかもしれません。
その時はご指摘ください🙇‍♀️
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朝のホームルームが終わり、天は静かにスケートボードを手に教室を出た。いつもと変わらない様子で、短髪にキャップ、そしてオーバーサイズのパーカー。男装をしていることなど誰も気づかないし、彼女自身もそれを特に気にしていない。

教室の窓から外を見下ろすと、〇〇の姿が目に入っ

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夕暮れに響く天音

夕暮れに響く天音

呼称や話し方に間違いがありましたらすいません。
間違いがあった際にはご指摘頂けると幸いです。
尚、写真の天ちゃんが持ってるのトランペットじゃないやん!というツッコミは受け付けてません笑
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夕焼けが校舎の窓を赤く染める頃、吹奏楽部の練習は終わりを迎えていた。
山﨑天はトランペットを片手に息をつく。
部活が終わった後の校庭は静かで、遠くに部員たちの笑い

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