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いつの間にか春になっていました。
自分がやりたい活動が、生活のための活動に圧迫されている日々を過ごしています。
いかにこの状況を良い形で抜け出すのかについて考え始めました。
最近は何かと「正直さ」を大切にすることが重要という考えに触れていて、大野くんの「わからなかったことを素直に受け止めること」というのが、それに通じると思いました。ここでの「正直さ」というのは社会的な実直さとは全く異なり、自分に対しての「正直さ」の重要性なのだと思います。それは恐らく社会的な規範や価値を内面化させることをやめるということです。レポート課題では調べたことに対して「何もわからなかった」っていうだけのレポートに点数はつかないですが、知ることのできない対象がどのように掴みえないものなのかという輪郭を探ることは芸術だからできることかもしれないなと思いました。(そんなこともないか)
世の中の価値観の変化に対応して、それを更新していくというのは僕は重要だと思っているのですが、そこでの価値観とは社会的なものであって、それを内面化させるかどうかというのはまた別の話だなと考えています。社会的な規範や価値観を持ちつつ、個人の規範や価値観を各々が大切にすることが同時代的な価値観の形成につながるのではないでしょうか。
「正直さ」という観点では、僕は倫理観がないと言われても仕方ないような価値観を持っています。
名前も知らないような病気で人が死ぬのと同じくらいにコロナで人が死んでいくことに興味がないし、政治やジェンダーについて語るときのポリコレ的な考えや「正しさ」が含む暴力についてうんざりしています。間違っていなくても、正しく正しさを振るう人に対してアレルギーを持ち始めました。もちろんそれらの課題に対して問題意識がないわけではないのですが、自分の生活が脅かされず、自分にとって大切な人が傷付かないかぎりにおいては、個人の価値観や規範の方が社会的なそれよりも重要だし、そのように行動しています。
自分の制作についての話に変わりますが、僕は最近自分の肌について考えています。僕はアトピー性皮膚炎というものを患っていて、普段は症状がそれほど酷くはないんですが、季節の変わり目やストレスによって身体中ボロボロになってしまう時があります。この数ヶ月は今までで一番症状が酷くなり、困っていたので自分なりに原因を調べていました。その中で人の肌にはいくつもの菌が常在しており、良い菌もあれば悪い菌もあることを知りました。悪い菌が繁殖すると痒くなるので、それを除菌すればいいと思ったのですが、そうすると良い菌も一緒に殺してしまうので違う方法が必要だとわかりました。また腸の状態と肌の状態にも関連があるようで、乳酸菌の摂取の仕方や、肌の免疫力向上や修復に必要な栄養素などを調べていく中で、この身体はなんと面倒なやつなんだと感じるようになりました。自分の身体が自分の意思とは関係ないものであることの気付きが、自己の身体が一番近い他者であること、またそこに棲むあらゆる菌との連関が多様な存在と自分がどのように共に存在しうるのかという問いへの回答になりうると思いました。「わたしの皮膚からあなたについて考える」ことが今度の作品になりそうです。