COVID-19による安全の危機

はじめに

著名な方も命を落とすCOVID-19の脅威が留まることを知らない。以前Facebookに書いたことだが、私の考えとしては、COVID-19は防ぎようのないものとして国内における企業活動を再開し、検査による感染状況の確認は諦め、政府の資金投入をすべて治療と補償に回すべきである。日本での感染者が増え始めた頃からこの考え方は変わっていない。

これはつまり、検査にお金を投じ、医療にお金を投じ、補償にお金を投じ、と後追いで資金を投入していては国家が破綻することを危惧しているのだ。もちろん税収等によって資金調達は無限に可能であるが、その回収をすることによって後回しにされたり資金が削られたりする事業が必ず生じる。しかも安倍首相はどうにかしてオリンピックをやりたがっているので、さらに後ろ回しにされる事業となるだろう。それはいろいろあるだろうが、私は「教育」と「安全」について引き続き注視したいと考えている。今回は「安全」を取り上げてみたい。

安全が追いやられる

COVID-19の感染拡大で日本中の工事現場が作業を止めている。清水建設では現場従事者に感染者が見つかるなどしており、クラスターを引き起こす3密の条件が揃っていて危険だという声も多い。実際に各ゼネコンでもGWまでは原則閉所となっている。

https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2004/22/news085.html

建設業界は人出不足はもちろんのこと、より短い工期での作業が求められる風潮もあることから、このニュースが出た時に「この遅れをどこで取り戻すのだろうか」という疑問が浮かんだ。開催予定だったオリンピックが延期となったこともあり、緊急事態宣言が終了してから夏にかけて現場人員の需要が一気に高まると私は見ている。炎天下での連日の作業が行われることが想定されるため、熱中症等も含め労災件数が増えるのではないだろうか。つまり、現場需要の増大によって人員の安全が追いやられる可能性が高いと見ている。

加えて、現場で使用する備品等が十分に用意されないまま工事を進めてしまうような状況がここに加わる危険もあると私は感じている。これはCOVID-19による工場稼働の一時休止による生産遅れを取り戻そうとした結果、不良品が流通してしまうことによって、結果として現場における労災に繋がるという考えだ。

安全の危機は現場従事者だけではない

安全は現場だけではない。現場で作られた製品が消費者たる一般人の安全を脅かす事例もあるからだ。アベノマスクのような不良品の頻出はまだ優しい方だが、もっと大型の製品(たとえば乗り物や建築物)の仕様未達や整備不良によって多くの人命を失うようなことが起きないとは言い切れないし、その可能性が今高まっていると感じている。不良品の利用先が現場であるか消費者であるかの違いだ。

結局、最後に行き着くのは誰かの命なのである。

まとめ

今回の検討はあくまで”想定”であり、よほどのことがなければ起こり得ないし、仮に起こったとしてもそれがCOVID-19によるものと結論づけられることはないだろう。だが、安全が脅かされるのがどのような時か決まっている、「想定できなかった時」だ。今はなかなか感染者が減らず、その後まで議論が回らない段階(と言いながらも補正予算にその後の事業も含まれているのは何事だという意見も多いが)にあるが、安全に関しては常に一歩先を見据えた対策が必要であり、この記事が誰かの目に留まり、せめてその人だけでも気をつけてくれれば十分なのかもしれない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?