正しい指導法・誤った指導法 【語彙編】
今日はいまだにほとんどの人が間違っている語彙の導入法と正しい方法を話します。
なんでこういう話をするかというと、間違った指導法をしている人は次のような問題を授業で抱えているからです。
【予習としてわからない単語を辞書で調べてくるように生徒に要求する。】
なぜこれがダメなのかは、以前に書いたものを読んでいただければと思います。https://note.com/ryan_k/n/nd2def70528a9
英語が苦手な生徒なら、はじめからあきらめてしまうでしょう。苦手な子をさらに英語から遠ざけることになります。
そんな時間をかけさせるのであれば、正しいものを定着させる活動に使うべきです。
私は今から紹介する方法を授業中にやらせることで、単語の意味の確認とその定着、および発音練習による正しい発音の習得までを授業中に短時間で行えるようになりました。
その方法は何かというと
日本語の意味を先に伝えて、その意味に該当する単語を本文中から探させる
という方法です。
次の本文を例に考えてみましょう。
I was born and raised in Eatonton, Georgia, which is a town in the center of the state. According to my parents, Eatonton had hardly changed at all since they were children.
ほぼほとんどの問題集やワークブックでは、英単語が書いてあって、その横に日本語訳を調べて書き入れるための空欄があります。
1. raise [ ]
2. hardly [ ]
こんな感じに。
こういうやり方でやると、そもそも生徒は本文に目を通さないので、よくやってきた生徒でも、raiseであれば「あげる」と書いてくるぐらいです。もちろん読み方までしっかり調べてくる生徒なんて、ゼロとは言いませんが…とった感じですね。まぁ、「らいず」と読みますわ。
ではどうするか。これとは真逆にやるのです。例を書きます。
「問題:英文の中に、次の日本語の意味を持つ語(句)があるので、それを見つけて[ ]内に書きなさい。」
1.育てられた [ ]
2.ジョージア(国名) [ ]
3.~によると [ ][ ]
といった感じです。
これを難しくするには、本文に出てくる順番と与える日本語訳の順番を変えるという方法があるでしょう。
ただ、単語の場合は意味と発音を確認することが主目的ですから、その目的が果たせるように、さらっと進めてあまり時間をかけない方がいいです。
逆に簡単にするには、⑴語頭の文字を与える ⑵語末の文字を与える ⑶語頭と語末の文字を与える ⑷答えの単語が載っている行が何行目かを教える、などの方法があります。
このやり方のメリットは
⑴ 予習をさせなくてよい。
⑵ 生徒は本文全体に目を通すようになる。
⑶ 出口が日本語ではなく、英語になる。
(「出口が日本語」についてはhttps://note.com/ryan_k/n/na09b2ed02179を見てください)
などがあります。
答え合わせのやり方
答え合わせのやり方は以下の通りです。
⑴ 教師が答えの単語を1.から発音し、それを生徒が続いて発音する。
これは発音と答え合わせを両方やらなくてはならないので難易度が高いから、先に答えを教員が読み上げて答え合わせをしたのちに、発音練習をしてもいいです。
(教員が発音し、それに続いて生徒全体に言わせるが、全体が発音し終わったら個人を指名して一人で発音させるようにすると授業が締まります。)
やってはいけないのが、発音の仕方を教えていないのに、答え合わせで単語を言わせようとすることです。教えていないことを、生徒に要求してはいけません。間違えて発音してしまったら、それを修正するのはかなり手間がかかるからです。
⑵ 1から10まであったとして、1から10まで一通り終わったら、教師はランダムに日本語の意味を言って、生徒に答えさせる。もちろん指名するときの手順は、[日本語の意味を言う]➡[生徒の名前を言う]です。例えば「育てられる、田中さん」といったように。逆はダメ。当てられた人しか考えなくなるから。
その際のやり方として、教員が言った日本語に対して、生徒が対応する英単語を言うというもの以外に、教員が英単語を言って、生徒がそれに対応する日本語、もう一度英単語を言うという方法もあります。もちろん難易度は高くなります。
教 「hardly, 山田さん」
山 「ほとんどない、hardly」
難易度を下げる方法としては、答えの書いてあるプリントを見ながら答えてもいいというようにするやり方です。
この語彙の導入活動の後にも別の活動で覚えていくようになりますので、ここでは見ないで言えるというような完璧を求めなくても大丈夫です。
見ながら答えるとした場合、
「見ながら答えてもいいですが、そのかわり1秒以内に答えるように」
とするとゲーム間感覚でたのしくやれます。
⑶ ⑴と⑵の間に、ペアとなって⑵の活動をやらせてもいいです。その時は前もって⑵の活動をペアワークの後にやることを伝えておきます。そうすると生徒たちはほんと一生懸命やりますよ。
◎「スキ」をくださった人たちへ
ほんと励みになります。noteを始めてからまだ1週間もたっていないのですが、いつも書いていて、「もうめんどうだからちょっと手抜いて書こうかな」とか「めんどくさいからやめようかな」という誘惑にかられます。でも、「スキ」をくださる方がいて、それを見ると読んでくれている人がいると感じることができ、頑張ってみようという気になります。それがなければ、すぐにやめてしまうかもしれません。