僕はトラベラー。 どんな音も匂いもジャンプする。 不規則、それがいい。 大人が思い出す過去なんて突拍子もない。 大人が思い描く未来なんて落書きだ。 僕はトラベラ…
上京したて、 夏前、誰にも言えない、到底言うことのできない秘密を持った。 本当に言えない。 こんなの、、こんなの。 思ってもなかった。 母からLINEが来た。 「仕事忙…
約束ができなくなった。 大人になってから。 ずっと健康でいられるとは思えない。 速く走れるとは思えない。 50m泳げないかもしれない。 60秒も息を止めれるかわからない…
5月1日。 雨。肌寒い。 3日前までは暑くて眠れなくて地球ももう終焉だとか思った。 気温に反して暦のせいか、窓を少し開ける。 カーテンを揺らす風が冷たい。 普通にやっ…
午前3時34分。 スマホで時間を確認してしばらく悩む。 2、3度、寝返りを繰り返したのち、重い身体を起こす。 エアコンで冷え切ったフローリングに脚先が触れる。 カーテン…
君を見送るために玄関へ駆ける。 君は狭い玄関でスニーカーをまごまごと履き、 ガチャっと扉を開ける。 真っ青な日差しが飛び込んできて、 私の顔をブワッと照らした。…
横浜青葉まで渋滞23km。 ナビの到着予定時刻がどんどん遅くなる。 フロントガラスの向こうに映る景色に目をやる。 赤いブレーキランプが永遠に並んでいる。 かつて青空を隠…
土曜、休日、10時半。 寝坊である。 家を出る5分前… 今日は会社の後輩と 中目黒へピザを食べに行く予定である。 「なんでこんなに寝ちゃったんだっけ…」 ぼんやり考えな…
家を出るべき時間の25分前に目が覚めた。 ここでまず諦めるのは朝食である。 今日は可燃ゴミをまとめて出さなければいけない。 コーヒーも諦める。 化粧水と乳液をパシ…
寝坊
2024年9月19日 00:24
僕はトラベラー。どんな音も匂いもジャンプする。不規則、それがいい。大人が思い出す過去なんて突拍子もない。大人が思い描く未来なんて落書きだ。僕はトラベラー。鍵盤の色なんて見分けずに軽やかに踏むのさ。過去の色も未来の色も大抵見覚えのある色彩だ。過去の香りを知ってる人が偉い?未来で輝く瞳を持てる人が偉い?僕はトラベラー。優しい人が偉いのさ。他人の気持ちで泣
2024年6月9日 01:47
上京したて、夏前、誰にも言えない、到底言うことのできない秘密を持った。本当に言えない。こんなの、、こんなの。思ってもなかった。母からLINEが来た。「仕事忙しいんでしょ?母さんのお小遣い貯めたから、旅行する?三島駅集合で。」「行く。」泣きそうな顔で返信した。誰にも言えない。でも人生は続くから、気をそらせるならそれで良かった。三島駅で母が地元から運転してきた車に乗り込んで
2024年5月21日 23:52
約束ができなくなった。大人になってから。ずっと健康でいられるとは思えない。速く走れるとは思えない。50m泳げないかもしれない。60秒も息を止めれるかわからない。ずっと働けるかわからない。今も楽しいのかわからない。家族ができるかわからない。心はいつ壊れてもおかしくない。「絶対自分はずっと元気でいる、約束する」絶対そんなこと、誰にも言えない。なんでだろう。なんとなく。今
2024年5月1日 22:49
5月1日。雨。肌寒い。3日前までは暑くて眠れなくて地球ももう終焉だとか思った。気温に反して暦のせいか、窓を少し開ける。カーテンを揺らす風が冷たい。普通にやっぱりちょっと寒い。友人が6年続けた花屋を昨日締めた。40歳目前にして衝撃的な異業界への転職。先週末最後に作ってもらったブーケは最高に可愛くて強くて美しかった。時折、窓際に生けた彼女たちが今夜の冷風に悦ぶようにサラサラと揺
2023年8月19日 06:05
午前3時34分。スマホで時間を確認してしばらく悩む。2、3度、寝返りを繰り返したのち、重い身体を起こす。エアコンで冷え切ったフローリングに脚先が触れる。カーテンの隙間から青白い光が滲み出している。歯を磨いて、熱いシャワーを浴びる。床に散らかった洋服たちを拾って洗濯機に放り込む。_カーテンを開けると、先ほどまで青白かった光は夏の朝日となって眩しく部屋を照らした。朝食にはまだ早い
2023年5月24日 00:24
君を見送るために玄関へ駆ける。君は狭い玄関でスニーカーをまごまごと履き、ガチャっと扉を開ける。真っ青な日差しが飛び込んできて、私の顔をブワッと照らした。思わず顔をしかめながら空を見上げる。「あかるいね。」そう言って視線を戻すと、君の瞳が真っ直ぐこちらに向いていた。「かわいいね。」君は満足げに笑って、またね、と帰っていった。ゆっくり閉まる扉をぼぅっと眺めて
2023年3月14日 00:31
横浜青葉まで渋滞23km。ナビの到着予定時刻がどんどん遅くなる。フロントガラスの向こうに映る景色に目をやる。赤いブレーキランプが永遠に並んでいる。かつて青空を隠していた灰色の雲たちはさながら深海の霧のように不穏に浮かんでいた。助手席の窓から空を見上げる私の頭を彼の手が撫でる。今朝、旅館を出た時からこの調子である。私はその手をそっと掴んで動かない景色を眺め続けた。ラジオが流れる
2022年12月18日 01:12
土曜、休日、10時半。寝坊である。家を出る5分前…今日は会社の後輩と中目黒へピザを食べに行く予定である。「なんでこんなに寝ちゃったんだっけ…」ぼんやり考えながら布団から這い出る。まあそんなこと考えても寝坊は寝坊か、と思いながらとりあえず後輩へ謝罪の連絡を入れる。駅から徒歩3分。スマホのマップから顔を上げると想像していた倍以上の客が並んでいた。入り口の扉から2組目の椅子に後
2022年12月14日 22:00
家を出るべき時間の25分前に目が覚めた。ここでまず諦めるのは朝食である。今日は可燃ゴミをまとめて出さなければいけない。コーヒーも諦める。化粧水と乳液をパシャパシャと肌に押し込みつつ、洗面台へ向かう。蛇口を回した左手をそのまま滑らし歯ブラシと歯磨き粉を手に取る。右手で歯磨き粉のキャップを回し、チューブを持ち替えて歯ブラシに乗せる。手を動かしながらベッドに腰掛け