OLYMPUS E-M1iiiとM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8でベトナム、サパを撮る
夜行列車に乗ってハノイからラオカイに到着。各車両に5つほど部屋があり、部屋には二段ベッドが二台ついている。ベッドは狭く、毛布は祖母の家のようなにおいがする。
ひとり分のスペースがあまりに狭いので、写真も撮れなかった。
早朝にラオカイ駅で列車を降りる。と、改札を出た瞬間にタクシーの運転手二人に客引きされる。どうやらこの町が目当てでないことは知っているらしい。サパに行く予定だというと即座に、おれのタクシーに乗れと勧誘される。
こういうのは当然ぼったくりに決まっているのだが、バスの停留所がわからなかったことと、運転手がびっくりするほどしつこいのでつい諦めて承諾してしまった。
そして当然のごとくぼったくられた。車窓から棚田が見れたのだけはよかった。
斜面がすべて田んぼ。
モノでも撮ってみる。
この日は棚田を見るためトレッキングを予約していた。10キロくらい歩くらしい。
ガイドの人と待ち合わせのため、市内へ入る。
やっぱり被写体によってはモノクロの方が質感を表現できる。タクシーも犬もカラーなら色に目が行ってしまうと思う。
色がないから、車のボディの艶ややわらかそうな毛並みが引き立つのだ。
いよいよ出発。
うしろ姿は現地ツアーのおばちゃん。
結構急な下りもある。
当たり前だが、ふつうに農作業している人もいる。
棚田というのはただの飾りではなくて、生活の場なのだ。
そんな場所を見世物でも見るように見に来ている私は、彼らにとってどのように映るのか? 憎しみの対象でないといいが、その可能性もある。
この日は朝は曇っていたのだけど、歩きだすころには晴れてきた。
写真を撮るにはよいのだけど、遮るものもなくおひさまサンサン、という感じで逃げ場もなく暑いのには参った。
とにかく平坦な道がないので、ひたすら上って下ってを繰り返す。
しだいにみんな無口になっていった。
田んぼ。棚田一つひとつの面積はとても小さい。わずかな土地を惜しむように作付けされている。
ガイドのおばちゃんが作ってくれたウマ。
ほどいて作り方だけ覚えて帰ろうと思っていたのに、ホテルについたらどこかへ行ってしまった。
石づくり?の家とか、坂の曲がり具合が良い。
二時間くらい歩くと、周囲を一望できる地点に到着した。圧巻だった。
こんな山中に水田を作る苦労というのはどれほどだっただろう?
開墾はもちろん、管理維持にかかる労力もふつうの田んぼとは比較にならないはずだ。
またしばらく歩くと、牧歌的な村が見えてきた。
4時間ほど歩いたのち、ちいさな村に到着した。ここでお昼ご飯を食べる。
食道に着くとテーブルに案内され、料理が出てきた。とくに説明はないのでなにがなんという料理なのかはわからなかった。
ベトナムの食べ物はどれもそれなりに美味しいし馴染みやすい。一週間ほど滞在したが、食べ物が合わずに日本食が恋しくなる、といったことはなかった。
村とはいえかなり広いし人口も多そう。結構栄えているのだろうか?
ここでトレッキングは終了。後半は舗装路だったので、トレッキング的なきつさはなかったが、地面が固いので足へのダメ―ジはそれなりにあった。
帰りは車なので送迎を待つ。
車に乗り込んだ途端、すさまじい勢いで雨が降り出した。ベトナムのスコールは短時間に強く降ると聞いていたが、ここまでとは。日本でいう台風の日くらいの雨量だった。
サパに着くと道路がなくなっていた。あるのは濁流の川。
これが日常なのだからすごい国だと思った。
サパのデパート?で雨が上がるのを待つ。一瞬車を出ただけでずぶ濡れになった。
30分ほどで雨は弱まった。水はどこかに流れてしまって跡形もない。
ホテルの前に戻ると、雨のせいだろうか、道路に大穴が空いていた。
なのにみんな気にせず平然と通り過ぎていく。この国ではこれも普通なのかもしれない。
ふいに自分の足元がこわくなった。