後生なので鈴木あんずのソロ曲「シラユキヒメ」に触れてほしい話
あんずのソロ曲が出たよ、えへへ
VRアイドル「えのぐ」の鈴木あんずさんが個人名義でのソロ曲「シラユキヒメ」を発表しました。Youtubeのえのぐ公式チャンネルにおいてFull ver.を視聴することができます。
CDジャケットにおける鈴木あんず
曲に入る前にまずCDのジャケットについて触れていきたいと思います。これがジャケットに使われているジャケ写です(便宜上本稿ではこう呼びます)。こちらのビジュアルは前述のMVにも使用されています。
白と青をベースとした冬を感じさせる配色と寒さで少し赤みを帯びた鈴木あんずさんの頬の肌色が対比的です。
当初曲の公開前にチラ見せされた画像では本人の口元の部分を切り出す形だったので、真っ先に潤いを帯びた少し厚みを感じさせる唇に目が行くのですが、こうして全体が明らかになると青く透き通った大きな瞳、少し存在を主張する眉、マフラーに巻き込まれえんぺら状になった髪など着目すべきポイントがこれでもかと盛り込まれています。
これまでの「『えのぐ』の鈴木あんず」としてのビジュアルはややあどけなさを残しているようにも見受けられましたが、今回のジャケ写では幾分大人びた雰囲気を感じさせ、曲の雰囲気の演出にも一役買っていると思われます。
「シラユキヒメ」における鈴木あんずの声
この曲における彼女の声について着目してみたいと思います。私は、今回の「シラユキヒメ」を歌い上げる鈴木あんずさんの声の要素としては、「強さ」、「優しさ」が含まれると解しています。前者2つについてはよく通る芯のある声でありながら同時に柔らかさを感じさせる声、例えるならばよく磨き上げられた無垢材といったイメージでしょうか。2つの要素がうまく共存しているので高音になっても決して聴いていて耳に刺さるようなことはなく、スッと溶け込むように聴覚に入り込んできます。この辺りは曲のラスサビ後の「Ah...」を聴いていただけると感じ取っていただきやすいのではないかと思います。
さらに、この「シラユキヒメ」を歌い上げるにあたって「憂い」が隠し要素のように溶け込んでいるとも感じられ、後述の世界観を引き立たせていると思われます。
少し話がわき道にそれますが、鈴木あんずさんは時々ゲーム実況配信としてスプラトゥーンをプレイしています。その配信において彼女がゲーム中に窮地に立たされた時などはかなり大きな、悲鳴や絶叫に近いほどの声を上げます。それはさながら前述の彼女の声の要素として挙げた「強さ」のパラメータを最大にしたかのように。「シラユキヒメ」を歌った人と同一人物とは思えないほどのギャップですので未視聴で興味のある方は是非アーカイブを見てみてください。
その一方で、「優しい」にパラメータを振った場合はというと、数は極めて少ないのですがバイノーラル音声のアーカイブがあり、私個人としててはもっとそういった彼女の囁き声を求めていたりします……
鈴木あんずの歌う「シラユキヒメ」の世界
前月に発表された同ユニット「えのぐ」のヒナタナオ(日向奈央)さんのソロ曲においては、彼女自身が作詞を手掛けたこともあり、本人の心情がストレートに表現された歌詞となっていました。
一方本作では、詩的ともいえるような歌詞となっており、具体的な解釈についてはある程度聴き手の裁量に委ねられているようにも思われます。
曲名は「シラユキヒメ」ではありますが、有名な童話「白雪姫」を思わせる魔女や鏡、林檎や小人などは出てきません。その代わり、「白い(白く)」、「雪」という言葉が随所に散りばめられています。ただし、本作においてはこの白い雪は単に美しいものとは異なる意味合いで用いられています。
降り積もる雪が足跡を消し、思い出も消してしまう。絡ませあう指先も冷たく解けていく。「白い少女」と表現される「僕」が思いを寄せる人とは何らかの理由で別れたのか、もしくは失ってしまったのか。そしてその想い人との記憶も時が経つほどに徐々に薄れていく。それでもその人に触れていたい、愛おしくてたまらない、苦しいほどにその少女を想う様が描写されています。
しかしラストでは、転調と共に急激な場面転換が起こります。雪が解け、春の訪れに合わせ「僕」は「君」がここにいたことに気づきます。
正直なところ、この最後の部分をどう解するかはまだ考えあぐねているところです。暫定的に「君はいなくなってしまったけど思い出は僕の心の奥底にしっかり残っていた」と解釈しているのですがいまひとつしっくりこない……
終わりに
ここまで述べてきましたように、今回の鈴木あんずさんのソロシングルは「(ジャケットを)見てよし、(声を)聴いてよし、(歌詞を)読んでよし」と一粒で三度おいしい作品となっています。曲を聴くだけなら冒頭で貼ったYoutubeでも可能ですが、ここは是非ともCDを手に取っていただきたいところです。
現時点で判明している入手手段は12/8より開催される「えのぐに逢いに恋 in 秋葉原」での物販となっています。CDの在庫は十分にあるようですので秋葉原でのお買い物ついでにどうでしょうか?
<2020.4.27追記>
現在はCDが購入できるイベント等の開催予定はありませんが、DL販売やサブスクリプション配信で聴くことができます。