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過去レポ 『1789〜バスティーユの恋人たち〜』 2016.05.14(土)ソワレ

とっても私の好みに合っていたのに、あまり観られなかった『1789』初演、2回目の観劇レポ。過去レポの中ではユニークなものだと思う。

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唯一の花總マリー観劇回となる、『1789』前楽公演に行ってきた。

私の持論は「観劇は2回目がいちばん理解が深まる」だが、今回もそれを実感した。2回目にしてようやく見えてくるものが多くて、それは私の集中力の弱さや物わかりの悪さにも起因してるとは思うんだけど、ホント、1回だけでは全体像をつかむのが精一杯で、なかなか味わうところまではいかない。

そして今回、改めて思ったことは、これは「世代交代のミュージカルなんだな~」ということ。
思い返せば、帝劇の年間スケジュールの半分を大地真央さんが占めていた時代から、ウィーンミュージカルの時代へ舵を切ったのが2000年。山口祐一郎さんとの相性が良かったことも大きかった。それ以来、帝劇のヨーロッパ系の新作には必ずと言っていいほど山口さんがキャスティングされていた。

今回、この『1789』には、山口祐一郎さんも鈴木綜馬さんも石川禅さんもいない。井上さんも石丸さんもいない。もちろん鹿賀さんも市村さんもいない。岡さんや吉野さんといった名脇役こそいるものの、マリーを除く主役たちは完全に若者になっている。その点でこそ、このミュージカルは新時代のミュージカルなんだな~、ということを理解した。

山口さんや大地真央さんのような圧倒的なオーラがなくても、それぞれが各自の良いところを光らせて、ひとつの作品を作り上げる感じ。
私には古川くんのルックスの良さも上原さんの歌のうまさもそれだけを切り取ってしまえば単独で大きな価値を感じるわけではないんだけど、舞台を壊さず作品を昇華させるという点ではとてもよい役目を果たしていたんだろうな、と思う。

これって、まさに山口祐一郎という国王の時代から、共和制へ移行してゆく当時のフランスの構図そのものだよね。このキャスティングの妙こそがまさに革命なんだな、と納得できた。

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