Ryu T.

英語が好きな極度の甘党

Ryu T.

英語が好きな極度の甘党

最近の記事

先行詞+「関係節的な」節

英語を読んでいると,次のような英文に出くわすことがある。 (1) As I walked into the house through the kitchen, there were signs of activity that had been interrupted. (P. Auster, I Thought My Father Was God) さて,この太字部分は「中断された活動の形跡」と読んでもよいだろうが,「活動が中断された形跡」という解釈が直感的にしっくりく

    • 車の運転を教えることと英語を教えること

      去年の3-4月にかけて,これ以上先延ばしするのもと思って友達とノリで免許合宿に行った。この時に色々と考えていたことを最近また思い返すタイミングがあったから,丁度いい機会だと思ってメモ書きしておくことにする。 当時何を考えていたかというと,実は車の運転を教えることと英語を教えることは結構似ている,ということ(ただし,これにはぼくの理想とする英語教員像みたいなものが前面に出ていて,免許取得時の話もぼくの体験だけに基づいていることを先に断っておく)。特にどういう点で似ているかを書

      • Weak Definites

        学部1年の時に受けていた講義で,Weak Definites という概念について習った。まず例から見てみよう。(1)は最近読んでいる The Notebook という小説の一節から。 (1)Clem, his hound dog, came up to him and nuzzled his hand before lying down at his feet. “Hey, girl, how’re you doing?” he asked as he patted her

        • 多重関係節のメモ―関係詞の生起順序について

          英語のインプットと用例収集のため,2年ぐらい前から英語のペーパーバックを読み続けている。そうしていると,書き手によって使う言い回しや文法の「クセ」があることにだんだん気付いてくる。年明けに最初に読んだのはDolly Alderton の Everything I Know About Love という作品で,ストーリーもなかなか面白かったが,読んでいるうちに多重関係節が多用されていることに気付いた(ただし彼女の他の作品は読んでいないので,この作品だけかも)。 多重関係節(積

          疑似SVC/SVOC(描写構文と結果構文)とその主語

          いわゆるSVC/SVOCのパターンでは,Cには「S/Oがどうであるか」を表わす役割があると教えられる。要するに,(1)のSVCではSとC,(2)のSVOCではOとCの間に主語・述語の関係がある。 (1) He looks sleepy. (2) I found the movie interesting. そう考えると,次の(3)-(4)もそれぞれSVC,SVOCと一見考えられそうである。drunk は He,raw は the oyster の述語とそれぞれ解釈されるから

          疑似SVC/SVOC(描写構文と結果構文)とその主語

          表現のメモ(15)「男子校」・「女子校」の英訳

          最近,Everything I Know About My Love という自伝を読んでいる。内容はなかなか面白いのだけど,途中でこんな一文が目に留まった。 (1) Farly stayed on for sixth form at our all-girls school and when she arrived at university, having never spent any time around boys, she was like an uncut bul

          表現のメモ(15)「男子校」・「女子校」の英訳

          表現のメモ(14) figure/feature prominently

          figure/feature prominently (in A)で「(Aで)重要な役割を担う,大きな特徴である」といった意味。LDOCEでfigureを引くと,親切にも(1)のように太字で示してくれている。 (1) Social issues figured prominently in the talks. (LDOCE) (2) The problem of SDI featured prominently in the negotiations. (英和活用大辞典)

          表現のメモ(14) figure/feature prominently

          目的を表すto不定詞とfor+動名詞について

          数カ月前のある時,目的を表すto不定詞とfor+動名詞は何が違うのかという話題をもらった。たまたま調べる機会があったので,ここにまとめておこうと思う。 両者の例をそれぞれ(1)-(2)に挙げる。目的を表すto不定詞とは,「するために」と訳されるいわゆるto不定詞の副詞的用法のこと。 (1) I went into the kitchen to wash the dishes. (Murphy (2018: 124)) (2) The mug had been used fo

          目的を表すto不定詞とfor+動名詞について

          表現のメモ(13) parallel

          最近読んでいるジャッケンドフの The Foundations of Language という本によく parallel という語が登場する。形容詞で「平行な」の意味はお馴染みと思われるが,以下の例ではいずれも名詞として使われている。 (1) Most of these idioms are not attested in other languages. […] The others have hardly been looked for (though Toivonen

          表現のメモ(13) parallel

          非制限的に名詞を修飾する分詞節―分詞構文との関係

          高校英語教科書『CROWN English Communication II』に,次のような英文がある。 (1) In the Temple of Seti I, built around 1280 B.C., there is a hieroglyph showing what appears to be a helicopter. (p. 35) さて(1)の太字部分はどのように考えればよいか。直感的に直前の名詞句 the Temple of Seti I を修飾してい

          非制限的に名詞を修飾する分詞節―分詞構文との関係

          (the) people around them「周りの人たち」―definitenessの強さ

          6月14日付のNYTのある記事の,出だしの1文目がこう始まっている。 (1) Children learn languages from the people around them. (The New York Times) 言語獲得についての記事で,言うまでもなく「子供は周りの人たちから言葉を学ぶ」の意味になる。個人的に面白いと思ったのは,「周りの人たち」という時に the people around them と定冠詞が使われているところ。自分が和文英訳をした時に瞬間

          (the) people around them「周りの人たち」―definitenessの強さ

          the thing(s) whichの意味を持たない関係代名詞what

          関係代名詞のwhatは「こと,もの」の意味で,文法的には先行詞を内蔵していて,the thing(s) whichと言い換えられると一般に言われている。例えば(1)-(2)の太字部分はthe thing which you have in your bag とも言える。 (1) What you have in your bag smells awful. (滝沢 (2017: 178)) (2) Please show me what you have in your ba

          the thing(s) whichの意味を持たない関係代名詞what

          SVO+to不定詞は第何文型?

          最近「want 人 to doみたいな構文のto不定詞って何用法?」という相談を受けた。個人的にもこのパターンの学校文法での扱いには引っかかるところがあるので,せっかくの機会とみて専門書と学習参考書を行ったり来たりしつつ,特に5文型との関係について簡単にまとめておく。 まず次のようなパターンを指して「SVO+to不定詞」と言う。 (1) I expected the President to resign soon. (稲田 (1989: 49)) (2) Fred for

          SVO+to不定詞は第何文型?

          S is believed to be C のパターンについて

          よく「と言われている・思われている」といった意味で用いられるパターンについて訳あって調べ物をしていたので,ついでにメモ。これは受験でもおなじみの構文で,次のような種類がある。例文は主にSwan (2016, Sec. 6.63-64)から。 A. S believe/feel/say/think/etc. that S V 型 (1) We felt that he was the right man for the job. (2) The newspaper say th

          S is believed to be C のパターンについて

          「あなた」の意味で「自身」

          この前,プレゼントの乳液を買いに行った時のこと。プレゼントを選んだ後に店員さんがぼくの分の試供品を持って来てくれて,確か 「こちらご自身の分もご用意致しましたので是非お使いください」 といったようなことを言われた。直感的に「ご自身」がぼくを指していることは分かる。「お客様自身」とか「君自身」みたく英語の再帰代名詞(強調用法)に近い使い方であればしっくりくるのだけれど,この単独での「ご自身」の使い方にはちょっと違和感を覚えた。 実は何か月か前にも同じことを思ったことがあって

          「あなた」の意味で「自身」

          表現のメモ(12) put sb in a(n) ... position

          よく聞く割に自分ではなかなか使えないなあと思う表現の1つに,put sb in a(n) … position がある。日本語だと「(人)を…な立場・状況に置く」くらいだろうか。この前あるネイティブとの私信で, (1) I know that asking you this puts you in an awkward position. と言われて日本語だったらどう言うだろうかとしばし考えてしまった(センスのかけらもない「こんなお願いしたら気まずい・面倒くさいと思うんだけど

          表現のメモ(12) put sb in a(n) ... position