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Starting Out: Grand Archive TCG Vol. 35 - 裁定集1:FTC Release Notesから

はじめに

実は、初弾であるDOA以外のすべての弾は、そのリリースと同時に公式からRelease Notesが発行され、その中でリリース時テキストエラッタや、同弾の新規カードにある処理に注意が必要なカードをピックアップして裁定を解説しています
本シリーズは、その裁定解説集です。
さすがに毎弾全部は大変なので、一部特に難しそうでよく出会いそうなところをピックアップします。
今5弾目であるAMBまでが出ているので、FTCからはじめて全4回のサブシリーズになる予定です。

FTC Release Notes

さっそくFTCから解説開始です。
対象になる公式記事は

です。
4枚のエラッタと共に、20数枚の裁定が掲載されています。
……FTCは90枚しかないはずなので、およそ29%に裁定がついていることになります。
なお、このシリーズでは、公式サイトの記事から他のサイトに動いてスクリーンショットして、って繰り返すのはあまりに面倒なので、公式サイトから直接スクリーンショットしています(つまり、元画像の所在はhttps://www.gatcg.com/article/fractured-crown-release-notes  です)。

Fireにありがちな効果です。

1.) If a unit hit by Corhazi Arsonist dies on the same turn, that unit is banished. This means that On Death effects won't trigger.
拙訳:1) Corhazi Arsonistからのダメージを受けたunitがそのターン中に破壊される場合、そのunitは代わりに追放される。これは、On Death効果は誘発しないことを意味する。

原文:https://www.gatcg.com/article/fractured-crown-release-notes

この効果は意外と多くのカードがもっています。
Release Notesとしての初出はこちらですが、場から直接Banishされる場合にはOn Deathが誘発しないという事実は覚えておく必要があります。
非常に素直で直感的ですが、今回を機に改めて覚えなおしましょう。

MRC期から急激に使われる機会が増えました。
……そりゃSlimeにこれあるだけでフィニッシュ1回回避できるからね。

1.)The type of damage that gets redirected to the linked ally stays the same.
2.) If damage from an attack is redirected to the linked ally, On Hit and On Kill effects can still trigger with normal conditions.
拙訳:1) LinkしたAllyにリダイレクトされるダメージの種類は変更されない。
2) Linkしたallyに攻撃によるダメージがリダイレクトされる時、On HitやOn Kill効果は通常通りの条件で誘発する。

原文:https://www.gatcg.com/article/fractured-crown-release-notes

1は、つまるところそれがcombatダメージならcombatダメージ、non-combatダメージならnon-combatダメージのままである、ということです。
リダイレクトだからといってnon-combatに統一される、ということはありません

2は、とりあえずダメージを与えたらOn Hitは(誰にダメージを与えたかを問わず)On Hitという状態が成立するし、On Killは元々Championを目指していようがそうでなかろうが、結果として相手のallyをその攻撃で破壊したならOn Killが誘発する、ということです。
もちろん、On Champion Hitなんかは、Championにダメージを与えていないので誘発しません。

あまり見ないカードだけど、この裁定の概念は理解しておく必要がありそうです。

1.) During the resolution of Dawn of Ashes' upkeep ability, if there are no cards in the controller's memory, then no card is revealed to check the element of and Dawn of Ashes won't be sacrificed.
拙訳:1) Dawn of Ashesのupkeep能力を解決する際、コントロールするプレイヤーのmemoryにカードが1枚もない場合、色を確認するカードが公開されず、結果としてDawn of Ashesは破棄されない。

原文:https://www.gatcg.com/article/fractured-crown-release-notes

つまるところ、概念的には0枚のカードを公開し、公開したカードの色を確認した結果normでない色のカードが公開されなかった、そのためupkeep基準は満たされ、そのまま破棄されない、ということです。
公開を行ったかより、処理の結果として「"Normでないカード"を公開したかどうか」が重要という解釈になります。
同様の効果は全て同様の処理になります(Prismatic Sanctuaryとか)。

処理上あんまり関係ない細かいところですが、覚えておいて損はないはず。

1.) The target item or weapon loses all of its original types and subtypes.
2.) The target item or weapon retains its name and any stats that it has.
拙訳:1) 対象のitemまたはweaponは、その元々もつtypeとsubtypeを失う。
2) 対象のitemまたはweaponは、その名前と元々もつその他のスタッツを引き続き有する。

原文:https://www.gatcg.com/article/fractured-crown-release-notes

1は、この効果によって対象のカードのタイプ表記欄を「Phantasia - Cleric Fractal」として上書きしているということです。
ただし、2により、書き換えているのはタイプ表記欄と効果のみで、他の部分は何も書き換えないということを示します。
つまり、対象が1コストのカードであったなら引き続き1コストのカードであり、要求コストがmemoryコストならそのカードのコストもmemoryコストのまま扱う、ということ。
たぶんweaponのパワーとdurabilityも引き継ぎます。
ただし、Fractalは攻撃宣言時にもっていけないけど。

このゲームの打ち消しの基本形がこれ。

1.) If Frostbind negates an attack card, the combat phase never gets to begin. This means that On Attack effects will not trigger. The attacker remains rested if resting that unit was an additional cost of that attack card.
2.) The (2) in Frostbind's negate condition is a reserve cost, and can be paid by resting objects with reservable.
拙訳:1) Frostbindでattackカードをnegateした場合、combatフェーズは開始しない。これは、On Attack能力が誘発しないということである。アタッカーは、レストがそのattackカードの追加コストであるならば、レストしたままとなる。
2) Frostbindの打ち消し条件にある(2)は、reserveコストである。また、reservableをもつobjectをレストすることによって支払い可能である。

原文:https://www.gatcg.com/article/fractured-crown-release-notes

1が、このゲームの全ての「attackカードをnegateする」状況において共通でいえるとても大事なことです。
現状、attackカードはその追加コストでChampionをレストするので、attackカードを打ち消す場合、combatフェーズは開始しないがアタッカーはレストします。
また、combatが開始していないので、On Attackも誘発しません
この辺はVol. 14でも詳しく書いているので、あわせて確認してください。

2は、この手の追加コスト全般にいえることですが、効果テキストでも黄色ければreserveコストです。
2の内容は、negateのカードかどうかでなく、全てに共通していえることなので特筆するほどのことでもないのですが、覚える必須度でいえば、1よりむしろこちらのほうが高いでしょう。

Innervateサイクルはdelevelギミックです。

1.) The additional cost of recover 5 means that there must be five damage counters to remove from your champion to pay this card's cost. If there are less than five damage counters on your champion, the additional cost can't be paid.
2.) The targets and the amount of damage split to each target must be declared as Innervate Fury is being activated.
拙訳:1) 追加コストとしての"recover 5"とは、必ず5個Championからdamageカウンターを取り除くことをコストとして支払う必要があるということです。もしあなたのChampionに5個未満しかdamageカウンターが置かれていないなら、追加コストの支払いはできません。
2) ターゲットとダメージの分配それぞれは、Innervate Furyを起動する時点で宣言しなければなりません。

原文:https://www.gatcg.com/article/fractured-crown-release-notes

Innervate ○○というカードに共通する1と、その中でFireのInnervate限定で発生している2があります。
1について、Championのdelevel(レベルを下げて、Lineageの一番上にあったChampionのカードをMaterial Deckに戻す)と回復はどちらも追加コストなので、いずれも必ず実行可能でなければなりません
したがって、一番上のカードをMaterial Deckに戻すとChampionがいなくなってしまうLevel 0の状態ではInnervateサイクルのカードをプレイすることはできません。
ちなみに、一度delevelした後再度level upする場合はそのOn Enterは誘発するし、異なるChampionにlevel upし直すことも(Lineage制約が合法なら)可能です。
ただし、delevelしたときに下にあったChampionがもっているOn Enterは誘発しません
本裁定に記載はありませんが、基本的かつ重要な裁定なのであわせて覚えておいてください。
あと、当然ながら、コストとしてdelevelと回復を行うので、このカードが打ち消されてもdelevelと回復は可能です

2は、他のInnervateサイクルのカードにはこういった効果がないので注がありませんが、これだけはtargetをとる都合で記載があります。
Targetをとる場合は、原則必ずプレイ時に対象を宣言する必要があります(※遅延誘発を除く)。
このカードは、7点を好きなように割り振ってダメージを与えるため、7点をどのようにどこへ与えるか、ということを過不足なく指定する必要があります。
たとえば、「3点をAlly A、4点をAlly Bとして対象に選び、Innervate Furyをプレイします」という感じでカードをプレイすることになります。

機能的な唯一性が非常に高いカード。
そういうのって、だいたい裁定がでる。

1.) The face down banished by Quicksilver Grail has no properties. It has no name, types, effects, or stats. This means that effects that interact with cards in banishment that require seeing a certain property such as "Sword" subtype won't be able to interact with this face down card.
2.) The owner of the face down card may look at it at any time.
3.) When Quicksilver Grail is banished to play the face down banished card, you play that card using its default play type. If the card has a reserve cost, that card is activated. If the card has a memory cost, that card is materialized.
4.) The face down banished card being played still checks for elemental requirements and its costs must be paid.
拙訳:1) Quick Silver Grailによって裏向きで追放されたカードは、propertyをもたない。名前、type、効果、スタッツもない。すなわち、banishmentのカードの"Sword"等特定のsubtypeを参照することを要求して作用する効果は、裏向きのカードとは作用しない。
2) その裏向きのカードの所有者はいつでもそれを見てよい。
3) Quicksilver Grailが、裏向きのカードのプレイのために追放された時、そのカードのプレイは既定のプレイタイプとしてプレイする。そのカードがreserveコストをもつなら、そのカードはactivateとなる。そのカードがmemoryコストをもつなら、そのカードはmaterializeとなる。
4) 裏向きのカードのプレイにおいて、色要件は参照され、そのコストは支払う必要がある。

原文:https://www.gatcg.com/article/fractured-crown-release-notes

とっても長い裁定ですが、ざっくりいえば、

  • 裏向きで追放されたカードは、何も書いてないただのカードとして扱うので、カードに本来記載されるどの要素も参照されない

  • プレイの際は、元々materializeで出すカードはmaterializeとして、元々activateで出すカードはactivateとして、通常と同じ条件/コストでプレイする

  • Quicksilver Grailによって追放されたカードの所有者はいつでもなんだったかを見てOK

と書いてある、ということ。
ちなみに、どんな状況でactivateによるプレイするカードがこのカードによって追放されるかというと、preservedのカードを選択した場合です。
やりたいかは別として、その挙動を定義するためには、カード表記としてはplayでなきゃいけない、ということですね。
その場合のpreservedカードも、(preservedのカードはMaterial Deck内で表向きですが、)Quicksilver Grailによって追放される際は裏向きになります。

裁定に書いていない大事なこととしては、追放したカードはすでにMaterial Deckを離れているということと、Quicksilver Grailの効果によってプレイするカードはプレイタイミングによらずQuicksilver Grailの効果によりプレイする機会をそのタイミングで得るので、結果としてFastスピードでプレイすることになるということ。
特に後者は、その挙動を活用して戦う戦術こそがこのカードをデッキに入れる主な理由なので、覚えておいたほうがいいです。
追放したカードがRegaliaだろうと、Fastスピードでプレイできるということになります。
ちなみに、Quicksilver Grailが何かしらの方法で裏向きのカードをプレイする前に場を離れて再度着地した場合、以前の着地で追放していたカードはプレイできなくなります
違うObjectによる追放という扱いですからね。

このゲームで数少ないフェーズスキップを規定するカード。

1.) If multiple effects have a player skip the same phase, that player must skip that phase multiple times. For example, if two Resolute Stands were activated by a player without paying its reserve cost due to its ability, that player skips their next two draw phases.
拙訳:1) もし複数の効果がプレイヤーに同一のフェーズスキップを求めるなら、そのプレイヤーはそのフェーズを複数回スキップしなければならない。例えば、2枚のResolute Standがその効果によってreserveコストを払わず2枚起動されたなら、そのプレイヤーは次の2回のdrawフェーズをスキップする。

原文:https://www.gatcg.com/article/fractured-crown-release-notes

フェーズスキップを求めるカードはほとんどないんですが、非常に便利なこのカードはそれを規定しています。
裁定の例にある通り、同一ターンに2枚以上コストを払わずactivateした場合等では、drawフェーズがその枚数分飛ばされます
もちろん、何枚activateしても、それがreserveコストを払っていればフェーズスキップは発生しないので、できればコストを払ってactivateしたいですね。

これもまた部分的ですが、フェーズスキップ系のカードではある。

1.) When the combat phase ends abruptly due to Song of Frost, the combat phase clean up still happens. During this time, cards in intents are moved to the graveyard (they are not banished like activations on the stack).
拙訳:1) Song of Frostによってcombatフェーズが突然終了する時、combatフェーズclean upは依然発生する。この場合、intentにあるカードは墓地に送られる(stackにあるactivationのもののように追放されない)。

原文:https://www.gatcg.com/article/fractured-crown-release-notes

Combatフェーズのスキップとしての基本挙動がこちらのカードで定義されます。
Comprehensive Rulesにも"The end of combat step will always happen regardless if an attack has dealt damage; if a combat phase was initiated, there will be an end of combat step.(拙訳:Attackがdamageを与えたかどうかによらず、end of combatステップは必ず発生する。Combatがはじまったなら、end of combatステップは発生する)"と定義されるように、Combatフェーズの強制終了時には、必ずそのcombatに使われたものも強制終了させる必要があります
また、その場合のintentにあったカードの行き先はgraveyardということがこのカードによって定義されています。
もちろん、intentにあるregaliaがgraveyardに置かれる場合は、regalia supertypeの定義により、代わりにBanishmentに置かれます。

Allyでもあるが、Regaliaでもあるカード。
唯一性が高いので、やっぱり裁定あり。

1.) Because The Majestic Spirit is a regalia, if it would be sent to the deck, memory, or hand, it is sent to its owner's material deck instead. If it would die, it is banished instead (On Kill effects won't trigger).
拙訳:1) The Majestic Spiritはregaliaであるため、デッキ、memory、または手札に送られる場合、代わりに所有者のmaterial deckに送られる。破壊される場合、代わりにbanishとなる(On Kill効果は誘発しない)。

原文:https://www.gatcg.com/article/fractured-crown-release-notes

忘れやすい挙動シリーズでこちらも。
このカードはAllyではあるんですが、regalia(=Material deckのカード)でもあるので、regaliaとしての挙動が優先されます
すなわち、main deck、memoryや手札には送られません。
また、一番忘れやすい挙動ですが、On Killの誘発を発生させません。
これは、On Killは「Allyがfieldからgraveyardに送られること」がその誘発の定義に含まれるためです。
一般のAllyでもこれに似た状況は発生しますが、一般のAllyと違って、意識的にOn Killにさせないためにbanishするという状況じゃなくてもbanish=On Kill誘発がない、ということなので、忘れやすいんじゃないかと思います。

まとめ

2弾目=Release Notesが出た最初の弾だけあって、基本的な説明が非常に多い弾でした。
挙動を規定するカードも多いので、Release Notesシリーズの中でも特に見返すことが多い内容が多いのではないかと思います。
また、取り上げていないカードも、同様に重要なものではあります。
改めて原文を読み、裁定を確認しておきましょう。
Twitter(現X)やDiscord等で私宛に連絡をいただければ、各裁定の日本語訳はできるので、お気軽にご連絡ください。

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