片足の土工
震災後、あちこちの修復に全国から作業員が集まり工事していた。
こちらも土砂崩れで通行止めになったルートを迂回しながら、毎日の現場に向かっていた。
いつもの商店街の交差点付近で、今日も道路工事をしている。
信号待ちをしてふと見ると、片足の土工が松葉杖を突きながら、踊るように、跳ねるように作業していた。片手に松葉杖、片手に角スコップ持って、重機の散らしたアスファルト片を掃除していた。関西訛りで仲間に何かしゃべりながら笑っている。
信号が変わり、クルマを発進させながら、バックミラーでその男の姿を追った。男はまた片手に松葉杖、片手にスコップ持って踊っている。
そこだけが、聖なる舞台のように輝いて見えた。