渦 第2話
15歳になり、人間関係の歪みを味方につけて
渦の存在は強さをました。
気が付くと1日に1回は儀式をしなくてはいけなくなった
16歳になり、家族がそれぞれの人生を歩むようになり
家から1人、また1人といなくなっていった。
悲しいと思う前に、現実を日常に見せかける事に
必死になった。
お弁当を1時間かけてつくる。母親が作ったようにつくろう。
学校では、日常を過ごす。
学校、バイトを終えて深夜に家に帰る。
家族を立て直すために引っ越してきた静かな家。
捨てられて泣いていたのを拾って、貰い手が見つからず
母が飼おうと言って連れてきた2匹の子犬が
大きくなって私の帰りを喜んでいた。
犬の存在に癒されるには、私はまだ子供で自分自身に
必死だった。
残された家族の家具と捨てられた犬と私の生活は
わたしにとって、隠しておきたい現実となっていた。
隠せば嘘をつく必要があった。嘘をつくたびに
渦は厚みを増し回転はうねりになって強力になった。
視界のみを奪っていた渦は聴覚に進行し
私から音を奪っていった。
恐怖は増していった
『大丈夫。私は大丈夫』抱きしめる腕に力が入っていった