渦 第5話
誰もこんな渦と戦ってない。
自分自身では消すことはできない。
もし私以外に戦っている人がいるとするなら
消してくれる人と一緒にいるのだろう。
それを運命の人と言っているのだろうか?
誰でもよいわけではないのだ。それならとっくに
私の渦は消滅しているはずなのだ。
しかし、渦は消えるどころか強くなっているのだ。
心から好きな相手、そうでもないけど安心する相手
自分を愛してくれる相手、すれ違っただけの人、人気者
既婚者・・・。消してくれるならどんな人でもよかったのだ。
心臓に突き刺さる重く黒い何か、手の震えと体の内側を
暴れ狂い体を突き破るような感覚と恐怖と絶望感
声にならない悲鳴は私を孤独にした。
解決されないまま、年齢は20歳を超えていた。
考えても誰も私の渦を消せないのだと諦めたとき
友が私に1人の男性を紹介したいと言ってきた。
田舎の小さなお祭りに誘われ、友と向かうと少ない50名にも満たない
住民の小さな漁村のお祭りだった。
ほとんどが高年齢の住民のなか、唯一くらい同年代であろう
男性が高年齢の女性たちの中にいた。