会社を辞める不安と希望とその先と
ぽんずさんの記事を読みながら、退職をすることを決めたあの時の、退職をすることを告げたあの時の、いざ「会社員」という肩書きを失ったあの時の、心の中がぎゅーっとする感覚が蘇った。
退職して次の道に進むことの、不安と希望。
そして退職する理由は、ポジティブかネガティブか、どちらか一方の白黒100パーセントではないこと。どちらも含んだグレーであること。
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わたしが退職を選んだ理由は、留学。
留学するために会社を辞めます、と言えば単純に、自分のやりたいことを実現するのだからポジティブに去っていくように聞こえるかもしれない。
現に「自分のやりたいことを実現する」というのはその通りで、留学することもいろんな選択肢の中から自分で選んで決断したのだから、決してネガティブな理由ではない。
だけれども、そうやって別の方向に舵を切りたくなったのは前向きな理由だけじゃない。そこに至るまでの違和感と葛藤の経緯があって、最終的にその結論にたどり着いたのだ。
その経緯は会社の人にはできるだけ黙っておくつもりだったのだけど、いざ上司に退職の意思を伝えると、ポジティブに留学したいだけが理由ではないと見破られてしまった。
決められたことに納得できない気持ちがあっても走り続けなければならないこの会社員生活を送っていくことにもう我慢ができなくなったこと、自分のやりたいことを実現するためにこの会社に残ってチャンスを探るほどもう気持ちが持たないことを、正直に話した。
自分の部下が、会社の体制、会社員として生きていくことに対して悲観的な意見を述べているにも関わらず、上司はうんうん、と聞いてくれて、最終的にわたしの選択を尊重してくれた。
わたしがここまで仕事を続けてこられたのはこの上司とチームの仲間のおかげだったから、この人たちともう一緒に仕事ができなくなると思うと、会社に出勤する最後の日、すごく寂しくなった。
そしていざ退職して、27歳で一旦「会社員」ではなくなって、「学生」という、わたしの中では人生最強の肩書きをもう一度手に入れたのに、新しい道を歩み始めてから不安で仕方なかった。
戻ろうと思えばいつだってもう一度日本で会社員に戻れる。でもそうじゃない道を経験するためには、今いる場所で足元を固めないといけない。
そんなプレッシャーと、ずっと望んだ新天地でのワクワク感と、時にもうだめかもと弱音を吐き、時に絶対食らいついてやると意地になり、右往左往しながらなんとか進んで、今もその決断の延長に生きている。
それでもまだまだ悩むことはたくさんある。
きっとこの先も悩んで悩んで決断しながら生きていくんだろう。
辛いこともあったし、これからもきっとある。
だけれども、この先どんな決断をしたとしても、死ぬ間際、後悔しない人生を送りたい。
だからこそ、いつでも真剣に悩んで、自分の気持ちを大事にして、数ある選択肢の中から一番納得いく道を。
ぽんずさんの、不安を包み込む温かい希望に溢れる文章に、なんとなく過ぎ行く日々が大半を占めてしまっていた日常の中で、改めてあの頃の気持ちを思い出した。
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ぽんずさん、よい旅を!
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