白い巨塔をあんまり知らない人が予想するドラマ「白い巨塔」
ドンドンドン.. ドンドンドン..
「すいませ~ん 巨塔です。誰かいませんか?」
ドンドンドン..
巨塔(きょとう)は都内の広告代理店に勤めるパートタイムジョバニストであり、夜は桜の木にJPEGを埋め込むバイトをしている。
また、かつてはマグロにデニムを履かせたら人知れず似合ったので、
マグロごとベストジーニスト賞みたいなやつにもノミネートされた経歴を持つ。
巨塔の得意な営業方法は、ドアを叩くと見せかけて、実は曲を奏でているという「ステルスドアドラム」である。
ドンドンドン.. ドンツドンドンドンツドンドン..
ガチャ
ドアが開いた。
「いまの米米CLUB/浪漫飛行のラスサビ前ですよね?」
こうなると巨塔は一気に仕掛け、綿棒を次々に揚げ始める。
ジュ~ ジュ~
「わ!おいしそう、塩が合いますかね?」
「抹茶塩とかヒマラヤ岩塩もありますよ」
ここでお客さんは初めて、「ヒマラヤ岩塩」と「83円」のイントネーションが同じことに気づき、
思わず親に電話をするのである。
しかし親は駅前留学に行ったまま帰化したので、もう二度と大阪の実家に帰ってくることはないのである。
「巨塔~!ごはんよ~!」
「今日は巨塔の好きな、牛乳入りミルクの煮びたしよ~!」
一階から呼ぶ親の声、蘇る思い出____
すごいせつないので世界が終わるまで巨塔と二人でWANDSWANDS泣いていると、
財前教授が現れ、ぶっきらぼうにこう言った。
「印刷物かわい~」
そこで巨塔は説明した。
「印刷物がかわいいわけではありません、
印刷した『そのもの』がかわいいのです。
私にまかせてみませんか、私、絶対失敗しないので」
巨塔は深くうなづき、こう言った。
「わかりました」
ところが財前教授はそれに腹を立て、パン作りの準備を始めた。
江口洋介みたいな人も確か、いた。
「『怒りの形』は尖っているわけではない、
ただただ『熱い』だけ_____」
こう言いながら小麦粉の袋を開けると、力が入り過ぎていたのか破裂し、
すべての粉が地面に落ちた。
そしてその粉を浴びた巨塔が、ゆっくりとこちらに顔を向けた。
それを見た財前はこう言った。
「白い巨塔_______________」
主題歌
そのへんのおじさんのコーチジャケットが擦れる音