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『       』

最近すっかり村上春樹初期作品のとりこになっている。

そして、しばらく聴いていなかった佐野元春の曲を昨日から聴いている。

佐野元春は、中学生になる頃知った。
中学、高校の頃、ずっと聴いていた。

久しぶりに聴くと、村上春樹の小説と重なる部分があるなと思った。
私は、こういう感じが好きなんだな。

今朝、歩きながら思い出した。
中学の卒業文集のことだ。

私の中学では、一人ひと言ずつ紙に書き、それを取りまとめてクラスごとに氏名とともに印刷された冊子が配られた。

私はどんな言葉にしようかと、いろいろ悩んだあげく、一度提出したものをキャンセルし、書き直して再提出した。

出来上がった文集を開けて自分の欄を見た。

『       』

見事に空欄だった。

卒業生のうちほんの数人だけ空欄の人がいた。
私はそのうちの一人だった。
逆に、強烈に自己主張をしているようにも見えた。

なんだかな、と思った。

私が再提出したものは
『本当の真実がつかめるまで Carry on』
というものだった。
これは佐野元春の『スターダスト・キッズ』の歌詞の一節だ。

現在私は、まさにその気分なのだ。

最初になんという言葉を書いて提出したのかは、まるで思い出せない。
空欄になってしまった言葉は、忘れない。

それもめぐり合わせかな、と思う。