見えないもの
空を見ていると、とんびが円を描いていた。
羽ばたきはせず、くるうり、くるうりと大きく回っている。
その下の方の空を、カラスが飛んでいく。
パタパタと羽ばたきながら、東の方へ飛んでいった。
とんびは同じ場所で旋回している。
しばらく見ていると、とんびは羽ばたきを数回して場所を変えた。
そしてまた円を描き出した。
私の目には見えないけれど、空気の流れがあるのだろう。
とんびは、それをつかんで流れに乗っている。
そのうちとんびは再び羽ばたきをして、遠くに向かって行き、見えなくなった。
とんびは消えてしまったわけではなく、遠くの空でまた円を描いているのだろう。
見えないけれど、ある。
そのことが気になった午後だった。