知らない紳士が帰ってきた夕方
夕方玄関で「ただいまー」と言う声
誰も帰る予定の時間でもないし
聞いたことがないしゃがれ声だった
玄関に行くと知らないおじいさんが立っていた
身なりのいいひとだった
紳士のようだった
なぜなら三つ揃いのスーツを着て
山高帽をかぶってたから
そんな身なりのいい紳士がなぜ
知らない家に帰ってくるのか?
私は「この人=となり✖️5 に数ヶ月前
引っ越してきた家族の一員だ」とピンときた
そこは短期貸しの大きな家だった
年齢もあって、家を間違えたのだ
しかし紳士は怪訝な顔をして
おばさんが間違えて俺の家にいる
という顔でこちらを見ていた
ダンディーな顔だった
私が静かに低ーい声で
「ここはあなたの家ではありません」
と言うと
後ずさりして帰っていった
怖すぎたかもしれない
身なりのいいおじいさんは観察していると
三つ揃いスーツに山高帽で
午前中よく出かけて行くが
一体何をしにどこへ、出かけるのか?
今度尾行したい欲が湧き上がった
しかし実現しないまま
風のように引っ越ししてしまった