見出し画像

映画「アステロイド・シティ」

毎週末は映画を観ることにしています。今週は「アステロイド・シティ(2023)」です。

アステロイド・シティとは

1955年のアメリカ西部の架空の砂漠の町「アステロイド・シティ」が舞台の物語です。天文学に関心を持つ少年たちが「ジュニア・スターゲイザー・コンベンション」に集まり、そこで大人たちや科学者と一緒に、奇妙な出来事に巻き込まれていきます。

アステロイド・シティの魅力

『アステロイド・シティ』の魅力は、大きく三つの要素に集約できます。

まず注目したいのは、物語と音楽が織りなす繊細な感情表現です。劇中劇の形式を通じて、登場人物たちは何かを失いながらも新たなつながりを求め、物語が進む中で切なさや孤独感が浮き彫りになります。この感情の流れを、キャラクターの所作に寄り添う音楽が一層引き立てます。キャラクターの行動やシーンの移り変わりに合わせ、音楽が物語の進行そのものを導き、展開を自然に感じさせます。

次に、美術とシーンの一体感による視覚的な魅力が挙げられます。ウェザリングを排除した清潔なセットは、ミニチュアのように精巧で、物語があえて「演出された世界」として描かれています。また、シーンの切り替えを省き、カメラの移動で展開を進める演出が、舞台劇のようなリアルタイム感を生み出し、鑑賞者を物語に没入させます。

最後に、シュールで皮肉なユーモアも作品の重要な要素です。列車に積まれた核弾頭や自販機で土地を売るといった不条理な設定が、ごく普通のことのように描かれ、未来社会や消費文化への軽妙な風刺が織り込まれています。1950年代のレトロフューチャー的な世界観が、楽観と不安が交錯する独特な雰囲気を醸し出し、観客に心地よい違和感を与えます。

どこで観られる?

Amazon Prime Videoで配信しています。

まとめ

『アステロイド・シティ』は、繊細な感情表現、視覚的美しさ、そしてシュールなユーモアが巧みに調和した作品です。一見奇妙な世界の中に、普遍的な感情が息づいており、観るたびに新しい発見がある一作です。

いいなと思ったら応援しよう!