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「そちら側」へひっぱられていく話。
私が勝手な見解ではありますが、宝塚のファンになると途中から分かれ道があると思うのです。
ずっと「ファン」側にいる方。そして「そちら側」へひっぱられる方。
もちろん、どちらも沼であることには変わりませんけれども。
なんだかわかりませんが、ずっと「ファン」側にいる方は永遠に「ファン」側からは出てこない。でも、「そちら側」へひっぱられる方は、長い年月のファン人生の中で、ちょいちょい、こっちきてよ、と「そちら側」へひっぱられる。
勝手な認識、意味不明ですみません・・・
私がおもっている「そちら側」とは、私設ファンクラブなどの運営やお付きといわれるような生徒さんをお手伝いするような側のことです。
お花番とは?
さて、昔々の話。
はじめて入出に参加してから、何日かたち、ご贔屓Mさんとも直接お話もできるという至福の時間を過ごしていたある日、代表さんから「お願いしたいことがあるんだけど」と言われます。
入出があった頃は、入りが終わってから同じファンの方や同期のファンの方と、朝ごはんを食べに行ったりお茶をしたり、東京での公演中はたくさんの方と顔見知りになりました。
初日・新公・千秋楽に劇場にお花が届けられる文化があることは、なんとなく知っていた。
「お花を運ぶのを手伝ってほしい」
説明を受けて、断る理由もなかったし、何より生徒さんのためになる、と言われ即OKしました。
そして、さらに
「お花番もやってほしいんだけど」
・・・?
無知だった私には意味すらわからなかったので、それはそれは丁寧に説明を受けました。
ちなみに旧東京宝塚劇場での話です。
(今までこういう話はNGかなと思っていたのですがもう時効かなと思ってます!笑
令和の今でもNGでしたらごめんなさい。)
「お花番」とは、生徒さん宛てに送られてくるお花を劇場内に一時保管するのですが、旧東京宝塚劇場は舞台裏や楽屋の廊下などのバックスペースが大変狭くて置ける場所が限られており、その振り分けられた花をそれぞれの場所で監視する役目のこと。正面・外階段・奈落・楽屋廊下など、生徒さんごとに場所が指定されているので、朝から終演後に運び出すまでの時間、交代で見守る「お花の番人」。
このお花番、実は昇格スタイルで、初心者の私は、「外階段」でした。旧東京宝塚劇場の構造をご存知の方は、覚えておいででしょうか、1階客席に入るロビーの一番奥に、非常階段のようなコンクリの階段があったかと思います。そこが、楽屋口の方からも入れるようになっているので、「外階段」と呼ばれていました。
・・・ちなみに現在の劇場にもその名残がありますよね・・・
外階段は、下級生のお花置き場でした。そして、関係者の方などはほとんど通らないのと、ほとんど外なので冬は寒く夏は暑い、という場所なので、初心者向けということでした。
朝から終演後までの交代制のこの「お花番」、よく考えると時間によっては入出どころか公演を観られない、という仕事なんです。
私が外階段に配置されたのは、朝だったため、「入りはできないから会えないのか・・・」と思っていたところ、なんと、私のご贔屓Mさんは外階段の入り口からひょこっとのぞいてくださり、手招きをしてるじゃありませんか!会えないと思っていたので、驚きと喜びと嬉しさで、飛び跳ねたくなるくらいの気持ちでしたが、お花番は私語厳禁だったので、気持ちを抑え近づくと、ポケットからホッカイロを取り出して渡してくださいました。
代表さんがちゃんと伝えておいてくれたことの感謝と(ファンを働かせてるんだからそれくらいは当たり前かもとは思いますが、当たり前のことをしてくださってありがたかった!)、お気遣いが嬉しくて、寒い季節でしたがルンルンの気持ちのまま無事にその任務は終えました。
その日は私の記憶が正しければ新公で、お花番が終わって観劇をし、花運びをして出待ちに参加する、という急激に「そちら側」へひっぱられはじめた日でした。