美味しいぼんじりが食べたいっ!
力屋 RIKIYA (錦糸町)
二回目の登場となる、錦糸町の「力屋(RIKIYA)」
写真は串焼き三本盛り合わせ(塩)、左からもも、つくね、せせり(だった気がする)、白レバー。
前回も触れたように、あくまでも三本盛り合わせをオーダーしているのだけれど、店主さんの計らいでこのような形で運ばれてくる。
「つくねは小さいのでサービスです」
端物というか、正規で出すにはちょっと……という品を常連さんへサービスとして出してくれる気持ちがうれしい。
このお店のことは二年ほど前に「うまい棒が一万本あったら」というエッセイでも紹介した。
力屋のある裏通りは、その昔、ソープランド(当時はトルコ風呂と呼んでいた)やピンサロなどが軒を連ねる風俗通りだった。
今では二、三件に減ったものの独特な猥雑さを残している。
そんなディープな街、錦糸町はこの本の舞台となっている烏賊川市(いかがわし)と似た香りがするような気がしないでもない。
「 #探偵さえいなければ /東川篤哉」の舞台となっている烏賊川市は、イカ釣り漁で栄えた街で、市内の中央を烏賊川が流れているという設定。
この時点でクスッと笑えるミステリーだというのは分かっていただけるだろう。
烏賊川市シリーズのタイトルをいくつか挙げてみる。
・密室の鍵貸します
・密室に向かって撃て!
・完全犯罪に猫は何匹必要か?
・ここに死体を捨てないでください
・はやく名探偵になりたい
複雑に絡み合った人間模様や、おどろおどろしい殺人事件、といったものはこれっぽっちも浮かばないタイトル群。
そのイメージ通りに、軽いタッチで皮肉の利いたミステリーが展開されるのだ。
珍しく熱く語ってしまったので、料理へと話を戻そう。
肉みそキャベツ。
お通しはもずく酢、枝豆のスモーク、ピリ辛こんにゃくでした。
ざく切りのキャベツに肉みそをつけて食べるというシンプルなものだけど、この肉みそが旨い。
甘目の味噌に鶏ひき肉と七味?などのスパイスを練りこんで、寝かした感じ。みずみずしいキャベツとの相性もばっちりだ。
鶏そぼろと納豆の豆富サラダ。
少し濃いめの味付けがしてある甘辛の鶏そぼろがアクセントに。
旬の限定メニュー、ぼんじりの西京味噌漬け!
焦げた味噌の芳ばしい香りがたまらない。
熱々の内にいただけば、ぼんじりの脂が口の中で溶けていきます。
そう、そもそも仕事終わりに力屋へ寄ったのは、知人のこの記事を見たからだった。
タイトルに反して、中身は美味しそうな焼鳥を始めとした鶏料理。
打合せで帰りが遅くなることは分かっていたので、ぼんじりを食べると宣言し、有言実行。
幸せな気分で家路についた。
――美味しいものと文庫本⑩――
★
実は私もミステリーを書いています。
謎解きIQ付き短編ミステリー集「謎と共に去りぬ」を公開中。
懐かしい「IQサプリ」や人気の「ナゾトレ」みたいな謎を、御曹司探偵・武者小路耕助がちゃちゃっと解いていきます。
ちょっと憎めない先輩をフォローしていくのが助手の鈴木くん。物語は彼目線で進んでいきます。ぜひ、ご一読を!