不妊治療の保険適用はどうなる?
保険適用の対象や保険点数などを決める中医協で7月21日から不妊治療について議論が始まりました。
中医協の議論では、日本生殖医学会がまとめた不妊治療の標準的なガイドラインが報告されました。
このガイドラインで推奨される項目について保険適応の対象を検討されます。
何が保険適用になる?
ガイドラインで「強く勧められる」とされたのは
「体外受精」
「培養」
「男性不妊治療」
などが挙げられています。
また、「勧められる」には、
「2回続けて流産した際の、着床前検査」
「35歳以上の女性に、2つの受精卵を戻す方法」
などが挙げられています。
体外受精、培養などはおそらく、「採卵から移植まで」のことだと思います。
もちろん「顕微授精」も含まれるはずです。
男性不妊治療はおそらく射出精子がほとんどいない方に実施される「TESE」という処置が含まれると思います。
どれくらいの経済的負担軽減になる?
厚生労働省の調査によると、体外受精の平均的な費用は約50万円となっています。
もし保険適用になると、3割負担になりますので約15万円になります。
都心部のクリニックだと、1回の体外受精で100万円近くかかるクリニックもあります。
また、不妊治療を受けたことのある5分の1以上の人たちが、100万円以上かかっているそうです。
僕自身も不妊治療を受けていて総額は100万円どころかその2倍以上かかっています。
何度も経済的な理由で諦めようと思ってきました。
それでもなんとか不妊治療を続けています。
個人的にも幅広く保険適用としてもらいたいです。
治療オプションは保険適用にならないので注意
不妊治療の分野では、その効果や安全性がまだよく分かっていない先進的な治療も行われていることも珍しくありません。
ガイドラインにも「有効性があるとは言えない」とされる治療方法も挙げられています。
そういったオプション的な治療に関しては保険適応となることは難しいです。
治療オプションは「先進医療」と位置付けて、保険適用された治療と併用することができるようです。
なので、治療オプションがたくさんあるクリニックで、オプションをフルコースで治療すると結局高額となるケースもありそうです。
それぞれの治療オプションにどれくらいの効果があるのかしっかりと説明を受けて決めたいですね。
保険適応の対象患者は?
現在は不妊治療の助成金制度があります。
初回だと30万円の助成を受けることができ、2回目以降は15万円で6回まで受けることができます。
ただし助成には制限があります。
「女性の年齢が43歳未満」
これは43歳を超えると体外受精で妊娠・出産できる可能性が低くなるというデータに基づいています。
助成金制度を参考にすると、もしかしたら「43歳未満」という年齢の壁が保険適用にもつけられる可能性があります。
また、助成の回数も「6回まで」となっていますが、この回数制限もつけられる可能性があります。
保険適応以外の政策にも期待
不妊治療は費用以外にも色々なハードルがあります。
通院は注射などで毎日通う必要がある場合もあります。
また、採卵や移植などで急な休みを取る必要もあります。
うまくいかない場合はそれを何ヶ月も続けなければなりません。
「不妊治療休暇」という制度がある会社もありますが、上司や同僚にも言いづらかったりするのであまり浸透していないのではないでしょうか。
また、出産してからも苦労は絶えません。
産後のメンタルケア。
保育所などの整備。
子育て支援。
育児しながらの働き方。
どれも十分とは言えないのが現状です。
出産したら終わり、ではなく安心して子育てできるような政策にも期待したいですね。
期待して待ちましょう!
不妊治療の保険適用に関してはまだ議論中なので不明な点が多いです。
ただ、ガイドラインが出されたことで少し推測はできました。
秋にはガイドラインの詳細版が出されるようです。
その頃には議論も進んでいると思います。
患者にとっていい方向になるように期待して待ちましょう^ ^