アムステルダムのKFCでモヤモヤしたこと
これは数日前、アムステルダムで起きた話。ヨーロッパの中でも特に憧れが強かったアムステルダムをついに訪れる事ができ、あいにくの天気とギリギリの予算の中でも精一杯旅行を楽しんでいた時でした。
事の発端はと言えば、アムステルダムの国立美術館のチケットを当日の直前に予約したために指定時刻まで1時間ほど空き時間があり、雨も降っていたため外で待つのではなくコーヒーでも飲みながら所蔵作品について勉強しようと決めた事です。カフェに行く金銭的余裕がなかった私はコーヒー片手に雨宿りをしようとKFCに向かいました。
列に何度も横入りされる
いざ入店したKFCは店内が大混雑で、注文用のタッチパネルにもたくさんの人が並んでいました。私は後ろに誰も並んでいない男性を見つけると、すかさずその後に並びました。隣の列には現地の女子高生と思われる若い4人組がいて、注文するのに時間がかかっている様子でした。そして、前に並んでいた男性が注文を終え、いざ私の番だとタッチパネルに手を伸ばしたその瞬間、彼女たちの1人が悪びれもなく割り込んできたのです。これには呆れましたが、数ヶ月のヨーロッパ生活を経てもいまだに面と向かって他人と向き合えない私は、(海外生活とか関係なくただのコミュ障です、はい)彼女を制止する勇気がありませんでした。自分の情けなさに自己嫌悪になりますが、こういう場面で自己主張をしようとすると出掛かった言葉が喉につっかえ出て来ないんです😭もどかしい思いをしながら彼女が注文を終えるのを待ち、やっとの思いでタッチパネルに手を伸ばすと、再び同グループの別の少女に割り込まれました。今度こそはと脳内でシミュレーションをしましたが、またしても出掛かった言葉を紡ぐ事はできず。シミュレーションなんてする必要がないのに、何事も考えすぎてしまう私はついに彼女たちに文句を言うことができませんでした。
人種差別?
少女たちは明らかに自分の存在に気づいていながら割り込みを続けていました。自分が気が弱そうなアジア人に見えたからこんな仕打ちをされたのかとつい考えてしまいます。もし並んでいたのが私ではなく白人だったらこれは起きていなかったかもしれません。公然と列に割り込む少女たちに対する怒り、そんな彼女たちに対して一言も言えない自分自身の対する怒りと自己嫌悪でコーヒーを飲む気も失せ、最悪の気分で来た道を戻ることとなりました。
自己主張ができない私
今回のようなあからさまな嫌がらせは初めてでしたが、これまでにも「多少無理矢理でもグイグイ行くべき瞬間」に自分の殻を破れなかったり自己主張が出来なかった事が原因で嫌な思いをした経験は数えきれないほどあります。これほどまでに嫌な思いをしても相変わらず自分の思いを声に出来ない自分に呆れますが、自分がこのような性格になったのは、中高6年間、自分の感情を押し殺して生きて来た事が原因かも知れません。親の勧めで入学した中高一貫校がミスマッチで友達が出来ず、常にひとりぼっちだった私。高校に入学するタイミングで学校を変える事も叶わず、6年間もの間孤独な学生生活を送る事となりました。常に一人ぼっちで感情を共有する相手がおらず、兄弟や従兄弟もいなかったため同世代との繋がりが非常に希薄だった当時の私。自然体の自分でいることよりも「周りから可哀想だと思われないよう気丈に振る舞うこと」を意識し6年間自分の感情に蓋をして生きて来た事もあり、こんな人格が形成されたんだと思います。
それでも…
私自身の過去にも少し触れましたが、自己主張が出来ない私の弱点を、自分の過去のせいにしたくはありません。もう少し時間はかかりそうですが、少しずつ、身近な事から自分の思いを声にする、自分の感情を表に出す練習を積み重ねていきたいと思います。思い出したくない過去ですが、学校で居場所がなかった事は、漠然と「海外に行きたい」と強く思うようになったきっかけでもあります。もしこの過去がなかったら、ルーマニアに留学し、留学期間終了後にヨーロッパ中を旅している今の私は存在しなかったかも知れません。孤独だった当時の自分をそっと抱きしめつつ、前を向いていきたいと思ったアムステルダムでの1コマでした。